「西郷さんを支えながら子どもを育てる糸の強さを見せられるように」黒木華(岩山糸)【「西郷どん」インタビュー】

2018年1月14日 / 20:50

-黒木さんは、時代劇では控えめで古風な役の印象が強く、糸のような元気のいい人物を演じることは珍しい気がします。

 自分の中ではそんなにやっている印象はないのですが、時代劇では誰かを支えるような役のイメージが強いみたいですね。だからこそ、全部一緒に見えてしまうのではないかという不安もあるので、ちょっとした動作やアクティブさという部分で糸を表現できればと。「こんな黒木さん、見たことない」ではなく、「糸さんはこんな人だったのかも」と思ってもらえるように頑張りたいです。

-西郷隆盛をどんな人物だと考えていますか。

 とても優しくて力持ちで、カッコいい人ですよね。何に対しても熱い人で、女性からも男性からも好かれたということがよく分かります。今までは犬と一緒に立っている銅像や、坂本龍馬と薩長同盟を結んで明治維新を成し遂げた人という表層的なイメージしか持っていませんでした。でも今回、いろいろなエピソードを知り、この人が時代を変えたんだということを改めて実感しました。そんな人物を、鈴木亮平さんが生き生きと演じていますが、亮平さん自身の人の良さと入念な役作りが相まって、本当に吉之助(隆盛)さんがいたらこういう人だったのではないかと思うほどです。

-鈴木亮平さんと共演した感想は?

 「花子とアン」(14)や「天皇の料理番」(15/TBS系)でも共演していたので、もう身内みたいな感覚です(笑)。役者として相談をすれば「ああしたらいいんじゃない」、「こうしたらいいんじゃない」とすごく気に掛けてくださるので、本当に頼りになるお兄さんです。ただ、今までは義理の兄の役が続いていましたが、今回は奥さんなので、今までよりも一緒にいるシーンが多くてうれしいです。一緒にお芝居をしているとものすごく熱量を感じますし、勉強にもなって楽しいです。

-鹿児島ロケにも行かれたそうですね。

 今回、初めて鹿児島に行きました。すごく暑かったのですが、こういう気温の中で、こういうにおいの中で(糸は)生きてきたんだ、ということを体感できてよかったです。ご飯もすごくおいしくて、人も優しいですし。屋台村に行ったら、平日なのに人がたくさん集まっていて、みんな明るくて…。帰るときは店主の方たちが「応援しています」と言ってくださって、皆さんが期待していることが分かったので、改めて「頑張らなくちゃ」と思いました。今までは周りに鹿児島の人がいなかったのですが、今回、桜庭(ななみ/西郷琴役)さんや沢村(一樹/赤山靱負役)さんが鹿児島出身なので、少しずつお話を聞いていきたいです。

-中園ミホさんの脚本の魅力は?

 「花子とアン」のときは女性が主人公だったので、女性の気持ちや心の動きをとても上手に書かれる方という印象がありました。今回は男性が中心なので、どういうふうになるのかと思っていましたが、人と人との関わりがうまく書かれていて、やっぱり面白いです。少し先に、糸が吉之助さんに思いを伝えるシーンがあるので、そこは自分の中でも大事にしたいと思っています。

(取材・文/井上健一)

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

風間俊介「横浜流星くんと談笑する機会が増えてきたことが嬉しい」蔦重と和解した鶴屋喜右衛門役への思い【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年6月29日

-それが変わってきたということでしょうか。  物事は、ある程度加速がつき、歯車がスムーズに回り始めれば、少ないエネルギーで進んでいくようになりますが、スタートするときは膨大なエネルギーが必要です。この作品もそういう過程を経て、ようやく彼が笑 … 続きを読む

栗田貫一「今回はルパンたちが謎の世界に迷い込んで謎の敵と戦って、しかも前に倒した連中もよみがえってくるみたいな感じです」『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』【インタビュー】

映画2025年6月27日

-30年間やってきて、栗田さんなりのルパンに対する思いや魅力について。また栗田さんにとってルパンとはどういう存在でしょうか。  やっぱりルパン三世の声は、パート2や『ルパン三世 カリオストロの城』(79)の頃の、山田さんが一番元気だった頃の … 続きを読む

光石研、大倉孝二「ちょっと重いけれどちゃんとエンターテインメントになっていると思います」『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』【インタビュー】

映画2025年6月27日

-三池崇史監督の演出や映画に対する姿勢についてはどう感じましたか。 大倉 あまり無駄なことはおっしゃらないです。すごく明確な演出をなさいます。僕の場合は、校長と薮下先生との間に挟まれているという、スタンスにちょっとよどみがあったのかもしれな … 続きを読む

【週末映画コラム】『トップガン マーヴェリック』と兄弟のような『F1(R)/エフワン』/過酷な救急医療現場にリアルに迫った『アスファルト・シティ』

映画2025年6月27日

『アスファルト・シティ』(6月27日公開)  犯罪と暴力が横行するニューヨークのハーレム。クロス(タイ・シェリダン)は医学部への入学を目指し勉学に励む一方で救急救命隊員として働き始める。  ベテラン隊員のラット(ショーン・ペン)とバディを組 … 続きを読む

桐山照史「ジュリエットは時生でなければできない」 柄本時生、「見ていいよ」の言葉で「女子になれた」 「泣くロミオと怒るジュリエット2025」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年6月25日

-5年前の初演が初共演でしたが、お互いの印象は? 桐山 同じ事務所の人たちでも同級生が少ないんですよ。なので、ようやく同い年の役者さんとご一緒できるとすごくうれしかった記憶があります。初演が終わってからはそれほど頻繁に連絡を取っていたわけで … 続きを読む

Willfriends

page top