「希望にあふれ、明日に向けて軽やかな気持ちになれる最終回に」岡本幸江(制作統括)前編【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年12月16日 / 12:00

-そのあたりの計算があった上で、森下佳子さんに脚本を依頼したのでしょうか。

 それは違います。大河を担当することになったとき、「今、オリジナルで大河を書けるのは森下さんしかいない。だから、森下さんとやりたい」という考えが先にありました。その上で、題材はこれ、という形です。

-おっしゃる通り、全50回を手掛けた森下さんの脚本が見事でした。その魅力はどんなところでしょうか。

 まず一つは、ストーリーテラーとしてのうまさ。歴史的に分かっている事実の裏に、こういう人と人との関係があったというストーリー運びのアイデアの豊かさと奇想天外な発想。そして、それが最終的に実際の出来事に合流していくあたりの自由自在でドラマチックな構成が実に見事です。もう一つは、せりふの説得力がすごい。例えば、みんなが死んでしまったつらい状況の中から立ち上がっていくとき、「こう言われたら、立ち上がらざるを得ない」という説得力あるせりふを書かれるんですよ。「こんな気持ちだろうな」と、なんとなくモヤッとしているものがバチッと言葉になって出てくる気持ち良さ。そういう言葉そのものの持つ力がすさまじい方です。

-出演者の皆さんも、台本が面白いとおっしゃっていましたね。

 そうですね。皆さんも台本を愛して寄り添ってくださって、どうお芝居をするかということを真摯(しんし)に考えてくださったので、非常にありがたい現場でした。

-1年を通じてドラマを盛り上げた菅野よう子さんの音楽も大変魅力的でした。どんな印象をお持ちでしょうか。

 菅野さんは天才です。どんなジャンルの音楽も生み出し得る人で、戦国風のものから若々しい打ち込みの曲、アジアの民族系のものまで、バリエーション豊かにやっていただきました。加えて、脚本の読解力が素晴らしい。一つのせりふや一つのシーンの向こうに連なる世界観とかテーマみたいなものを読み取って、大きな世界を提示してくれるんです。井伊谷という土地の小さな国衆の話ですけど、そこに流れる悲しみや苦しみ、目指す理想みたいなものをとても大きく描いてくれました。私たちは日々収録に追われ、せりふの一言、二言にこだわっていると、どうしても地面の方を見がちですが、菅野さんの音楽を聞くと、うつむいて歩いていたことに気付いてハッとさせられました。

-それでは、最終回の見どころを教えてください。

 最初に直虎の生涯を知ったとき、この人はきっと自分の人生に満足して、未来に希望を感じながら亡くなったんだろうなという気がしていました。歴史や社会というものは、どこかで終わることはなく、人が変わってもずっと続いていきます。私たちは変化の激しい時代に生きていて、一つとして変わらないものはありません。そんな中で、大事にしていたものがきちんと次の世代につながっていくであろうと希望を抱くことができるのは、とても素晴らしいことではないでしょうか。そういう希望にあふれ、明日に向けて軽やかな気持ちになれる最終回に仕上がっていますので、楽しみにしてください。

-直虎の思いを受け継ぐ万千代(菅田将暉)の活躍も気になります。

 直政(=万千代)は“赤鬼”といわれたりして、乱暴者のような伝承も残っていますが、歴史的に彼がしたことを考えると、実は優秀な外交官だったのではないかと思っています。外交や交渉というのはなかなかドラマになりにくいのですが、最終回ではこの物語の集大成として、森下さんがそのあたりを非常に生き生きと書いてくださっています。演者の皆さんもはつらつと演じてくださっているので、ぜひ期待してください。

(取材・文/井上健一)

小野政次を演じた高橋一生

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

竹内涼真、5年ぶりの舞台に「リニューアルした自分で臨む」 ミュージカル「奇跡を呼ぶ男」でゴスペルにも挑戦【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年1月17日

-ミュージカルでは歌とダンスがありますが、今、どんな心持ちで準備をされていますか。  すごくラッキーなことに、僕は(2025年の)2月までダンスを踊っていたので、5年前にミュージカルに出演したときより、相当、レベルが上がっていると思います。 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(10)石浦神社で語る「八田與一と嘉義農林学校」

舞台・ミュージカル2026年1月16日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。  語りは、土地と人を結び直します。 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第2回「願いの鐘」豊臣兄弟の家族から直、寧々、市まで、女性キャラの活躍に期待【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年1月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=藤吉郎/池松壮亮)と共に天下統一を成し遂げるまでの奇跡を描く物語だ。1月11日に放送された第2回「願いの鐘」では、一度は故郷の村 … 続きを読む

原田美枝子、松田美由紀監督「映像のワンカットワンカットを体感してもらいたいと思います」「たくさんの謎がある映画なので、ぜひそれを解読してください」『カラノウツワ』【インタビュー】

映画2026年1月15日

-今回は、初老の謎の女性と年下の男の子の話でしたが…。 松田 これは、ラブストーリーとか、いろいろな解釈で見る方がいると思いますが、実はだまし合いの話なんです。主人公の文子は、もともとは詐欺師だったのかもしれない。お金を元手に何かを搾取した … 続きを読む

菅⽣新樹、2026年の抱負を語る「役者として地に足が着いてきた。やっとここからだなと」

ドラマ2026年1月14日

-ルッキズムは人格形成にも影響があると思います。菅生さんが幼少期から育つ中で、周囲の人から影響を受けたことはありますか。   両親が見た目ではなく「君の1番いいところはここだよ」と内面の個性を伸ばす形で育ててくれたので、幼い頃から家族の中で … 続きを読む

Willfriends

page top