エンターテインメント・ウェブマガジン
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」がいよいよ今週、最終回を迎える。過酷な運命に立ち向かい、戦乱の世を、知恵と勇気で生き抜いた主人公・井伊直虎(柴咲コウ)に魅了され、近づく別れを惜しんでいる視聴者も多いことだろう。そこで今回は、本作の企画から携わり、制作統括を務めた岡本幸江氏に、作品に込めた思い、最終回の見どころなどを聞いた。
私自身、一度もその目線からこの物語を作ったことはありません。男性に対する女性ではなく、メジャーに対するマイナー、強者に対する弱者が、自分の居場所や自分が生きる道をどう確保して切り開いていくかという目線で作ってきました。現代社会では、もしかしたら男性に対しては女性が弱者になるのかもしれませんが。ただあくまでも、私の中では世界における日本、日本の中でも中央に対する地方、あるいは、日本にも日本人だけでなくいろいろな方がいますので、そういう幅広い目線を意識していたつもりです。
女性としての生き方と捉えると、選択肢が限られてしまう気がします。直虎自身も、女性でありながら出家をするので、もはや男でも女でもなく、ただの人です。だからこそ、大胆な選択をして思いも寄らないところから道を切り開いていくことができる。そういうところにとても魅力を感じましたし、だからこそ主人公足り得ると思っていました。
テレビドラマというものは、今を生きている人、あるいは今より先を生きる人に向けてのメッセージだと思っています。だから、舞台そのものは450年前だとしても、今の人に届くものでなければなりません。そういう意味では、ものすごく意識しています。今の社会の問題が、この方法で解決するとは思いませんが、例えば財政赤字の問題や人手不足の問題をどう解決していくのか、あるいは、心や体に負った傷とどう折り合いをつけて生きていくのか。そういった現在の日本や世界で起きていることと、どこか合わせ鏡になるような題材は、意識して盛り込んだつもりです。
あまりなかったです。直虎の生涯で、井伊谷が直接戦火に巻き込まれたのはほんの1、2回なので、合戦を描くとしても限られた回数になると思っていました。私自身も合戦そのものがドラマチックだと思ったことがあまりないんです。それよりも、合戦に至るまでの駆け引きや、なぜそういう事態に至ってしまったのかという前段の部分、起こってしまった後の勝者と敗者の悲しみにこそドラマがある。だとすれば、合戦こそしないけれども、多くの人を奪われ、多くの物を失いながらも、生き永らえ、後に大きな家になる井伊家でも十分ドラマチックになると思っていました。
映画2025年9月12日
ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年9月12日
YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む
ドラマ2025年9月12日
NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、ついに『アンパンマン』の誕生にたどり着いた。 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年9月11日
中山優馬が主演する舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~が10月10日に再始動する。本作は、天藤真の小説「大誘拐」を原作とした舞台で、2024年に舞台化。82歳の小柄な老婆が国家権力とマスコミを手玉に取り、百億円を略取した大事件を描く。今 … 続きを読む
映画2025年9月9日
ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロが自身の出生地・長崎を舞台に執筆した長編小説デビュー作を、石川慶監督が映画化したヒューマンミステリー『遠い山なみの光』が9月5日から全国公開された。1950年代の長崎に暮らす主人公の悦子をはじめ、悦子 … 続きを読む