「希望にあふれ、明日に向けて軽やかな気持ちになれる最終回に」岡本幸江(制作統括)前編【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年12月16日 / 12:00

 NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」がいよいよ今週、最終回を迎える。過酷な運命に立ち向かい、戦乱の世を、知恵と勇気で生き抜いた主人公・井伊直虎(柴咲コウ)に魅了され、近づく別れを惜しんでいる視聴者も多いことだろう。そこで今回は、本作の企画から携わり、制作統括を務めた岡本幸江氏に、作品に込めた思い、最終回の見どころなどを聞いた。

井伊直虎を演じた柴咲コウ

-女性の殿様が主人公ということで、当初は、女性の時代を象徴する作品という受け止め方もあったかと思います。そのあたりについては、どのようにお考えでしたか。

 私自身、一度もその目線からこの物語を作ったことはありません。男性に対する女性ではなく、メジャーに対するマイナー、強者に対する弱者が、自分の居場所や自分が生きる道をどう確保して切り開いていくかという目線で作ってきました。現代社会では、もしかしたら男性に対しては女性が弱者になるのかもしれませんが。ただあくまでも、私の中では世界における日本、日本の中でも中央に対する地方、あるいは、日本にも日本人だけでなくいろいろな方がいますので、そういう幅広い目線を意識していたつもりです。

-女性の立場だけではないということですね。

 女性としての生き方と捉えると、選択肢が限られてしまう気がします。直虎自身も、女性でありながら出家をするので、もはや男でも女でもなく、ただの人です。だからこそ、大胆な選択をして思いも寄らないところから道を切り開いていくことができる。そういうところにとても魅力を感じましたし、だからこそ主人公足り得ると思っていました。

-そういう意味では、今の時代にふさわしい主人公ということになりますが、物語も随所に現在の日本と重なる部分が見受けられました。例えば、借金だらけの井伊家を立て直していく様子は財政赤字の日本の姿と重なりますし、井伊谷が武田に焼かれるあたりは東日本大震災など、全国で頻発する災害を連想しました。そういった比喩的な部分が物語に深みを与えていたと思いますが、どの程度意識して作っていたのでしょうか。

 テレビドラマというものは、今を生きている人、あるいは今より先を生きる人に向けてのメッセージだと思っています。だから、舞台そのものは450年前だとしても、今の人に届くものでなければなりません。そういう意味では、ものすごく意識しています。今の社会の問題が、この方法で解決するとは思いませんが、例えば財政赤字の問題や人手不足の問題をどう解決していくのか、あるいは、心や体に負った傷とどう折り合いをつけて生きていくのか。そういった現在の日本や世界で起きていることと、どこか合わせ鏡になるような題材は、意識して盛り込んだつもりです。

-戦国時代を舞台にしたドラマというと、一般的には昨年の「真田丸」のように、合戦や覇権争いを繰り広げるイメージが強いと思います。今回、綿花の栽培や材木の商売など、生活に近い部分を中心に据えることに対して、不安はありませんでしたか。

 あまりなかったです。直虎の生涯で、井伊谷が直接戦火に巻き込まれたのはほんの1、2回なので、合戦を描くとしても限られた回数になると思っていました。私自身も合戦そのものがドラマチックだと思ったことがあまりないんです。それよりも、合戦に至るまでの駆け引きや、なぜそういう事態に至ってしまったのかという前段の部分、起こってしまった後の勝者と敗者の悲しみにこそドラマがある。だとすれば、合戦こそしないけれども、多くの人を奪われ、多くの物を失いながらも、生き永らえ、後に大きな家になる井伊家でも十分ドラマチックになると思っていました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【インタビュー】The Brow Beat HAKUEI×Ryuji「破竹の勢いで進み続けたい」 待望の全国ツアーに向け発進!

音楽2018年12月11日

 PENICILLINのHAKUEIトータルプロデュースのもと、俳優・佐藤流司がアーティスト「Ryuji」として結成したバンドプロジェクト「The Brow Beat」。2019年1月1日には、待望の2nd Album「Hameln」の発売 … 続きを読む

【インタビュー】『青の帰り道』清水くるみ「台本を読んで、母親とぶつかった反抗期の自分を思い出しました」

映画2018年12月10日

 夢への挑戦、挫折、葛藤…。誰もが経験する青春の痛みと成長を、真野恵里菜、横浜流星ら注目の若手俳優総出演で描いた群像劇『青の帰り道』が、12月7日に全国公開された。母親との関係に悩みながら、さまざまな経験を経て成長していく少女キリを演じたの … 続きを読む

「学芸員の先生が『桂久武は井戸田さんにピッタリ』と言ってくれたおかげで、気持ちよく演じることができました」井戸田潤(桂久武)【「西郷どん」インタビュー】

ドラマ2018年12月9日

 名門・島津家の血筋に生まれ、家老を務めるなど、幕末から明治初期にかけて活躍した元薩摩藩士・桂久武。西郷隆盛(鈴木亮平)とは若い頃から深い親交を結び、西南戦争にも同行することとなった。演じたのは、人気お笑いコンビ、スピードワゴンの井戸田潤。 … 続きを読む

「新八を演じたこの1年、とても貴重な経験をさせていただきました」堀井新太(村田新八)【「西郷どん」インタビュー】

ドラマ2018年12月9日

 ついに幕を開けた西南戦争。新政府軍と反乱士族たちの争いであると同時に、幼なじみである西郷隆盛(鈴木亮平)と大久保利通(瑛太)にとっては苦渋の戦いとなった。そしてもう1人、西郷と共に戦う道を選んだ幼なじみが、村田新八である。かつては共に島流 … 続きを読む

【映画コラム】実話を基にしたアジア映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』『暁に祈れ』

映画2018年12月8日

 今回は相次いで公開された、実話を基にしたアジア映画を2本紹介する。  まずは、インド映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』から。こちらは、愛妻を楽にしたい一心で始めた工夫が、安全で安価な生理用品の普及につながったというひょうたんから駒 … 続きを読む

page top