「この1年を振り返ると、そんなにたっていた?という感じです」柴咲コウ(井伊直虎)4【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年11月6日 / 14:46

 波乱の人生を歩む直虎(柴咲コウ)を幼い頃から見守ってきた母・祐椿尼(財前直見)が、井伊谷の人々に見守られながらこの世を去った。若い万千代(菅田将暉)や万福(井之脇海)が徳川家康(阿部サダヲ)の下で活躍する一方、これまで直虎を支えてきた人物が1人また1人と姿を消し、物語はラストスパートに突入しつつある。終盤を迎えた今、主演の柴咲に改めてこれまでを振り返ってもらった。

井伊直虎役の柴咲コウ

-直虎が城主の座を降りて、農民として暮らし始めてから、いい意味で力が抜けてきた印象があります。ご自身ではどのように感じていますか。

 城主の頃は、頑張った方がいい役だった、そのためだと思います。自分のことをよく“スネ夫タイプ”と言っているのですが、私は本来、リーダーシップを取るような人間ではありません。だから、素質はないけど、頑張ってリーダーをやらなければいけない直虎という人物に、そういう性格的なものがうまく生かされたのかなと。その分、城主を降りた後、気楽になったことは確かですし、土にまみれた農民の格好も安心感があって、ニュートラルでいられます。その一方で、近藤(康用/橋本じゅん)さんにうまいことを吹き込んで材木を調達させたりするあたりは、本来の自分の性格に近いので、よりそういうふうに見えるのかもしれません。

-城主の座を降りた直虎は、まるで引退を決めたスポーツ選手のように、すっきりした表情をしていますね。

 本当は戦いたくないのに、なぜ戦(いくさ)が起きるのだろうという思いを抱えたまま、城主の座にいなければならない。ずっとそういう矛盾を抱えながら生きてきたので、やっと解放されるという安堵感があったのだと思います。スポーツ選手に似ているという意味では、戦わなくても済むというホッとした気持ちの一方で、ちょっとしたむなしさみたいなものも感じていたのではないでしょうか。

-農民となってから、直虎は龍雲丸(柳楽優弥)と一緒に暮らしていた時期があります。その頃の気持ちはどんなものだったのでしょうか。

 南渓和尚(小林薫)が「片方の翼」と呼ぶほどかけがえのない存在だった政次(高橋一生)を失って、弱っていた時期を支えてくれたのが龍雲丸でした。さらに直虎から見れば、龍雲丸には何ものにも縛られない風のような自由さがある。土地を愛し、その土地に根付いて生きている自分にはない部分に引かれたんだと思います。

-その後、龍雲丸から堺に行こうと誘われながらも、最終的には行かないという決断をしました。

 その土地に暮らす人々への愛があったからでしょう。もし、一緒に行くことができれば、別の土地で新しく作物を作ってやっていける人だとは思います。ただ、その土地に根付いている人たちを愛し、そのことに責任を持って生きている人だから、それがなくなると自分の支えも失ってしまうに違いありません。私自身とは全く違いますが…。私はどちらかというと一カ所に止まれないタイプで、引っ越しばかりしているので(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】“映画の始まり”を知ることができる『カツベン!』

映画2019年12月13日

 舞台は、映画が活動写真と呼ばれ、まだサイレント(無声)だった大正時代。周防正行監督が、映画を説明する「活動弁士」に憧れる染谷俊太郎(成田凌)の夢や恋を描いた『カツベン!』が公開された。  弁士の語りはもちろん、活動写真風のスラップスティッ … 続きを読む

【2.5次元】舞台「鬼滅の刃」小林亮太&本田礼生インタビュー 「全員が気を引き締めて挑まなきゃいけない」

舞台・ミュージカル2019年12月12日

 2020年1月18日から舞台「鬼滅の刃」が上演される。原作は『週刊少年ジャンプ』に連載中の人気漫画。人と鬼との切ない物語に鬼気迫る剣劇と時折コミカルに描かれるキャラクターたちが人気を呼び、2019年4月から放送を開始したTVアニメも絶大な … 続きを読む

【インタビュー】舞台「この声をきみに~もう一つの物語~」尾上右近、演劇作品への挑戦が「自分にとって豊かな財産になっている」

舞台・ミュージカル2019年12月11日

 2017年に放送された、大森美香脚本によるNHKオリジナルドラマ「この声をきみに」がスピンオフとして舞台化される。竹野内豊が主演した同ドラマは、朗読教室を舞台に、現代に生きる大人たちの恋愛を描き、高い評価を得た。舞台版では、大森自らが脚本 … 続きを読む

【インタビュー】『カツベン!』周防正行監督、成田凌 「これが映画の始まりなんだ、ということを、意識して見てほしいです」

映画2019年12月11日

 今からおよそ100年前の日本。活動写真と呼ばれ、まだモノクロでサイレントだった映画をより楽しむため、楽士の奏でる音楽に合わせて、自らの語りや説明で映画を彩った活動弁士(通称カツベン)がいた。弁士に憧れる若き青年を主人公に、映画黎明(れいめ … 続きを読む

「東京オリンピックの聖火リレー最終ランナーという重要な役。プレッシャーを感じています」井之脇海(坂井義則)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

ドラマ2019年12月8日

 いよいよ大詰めを迎えた「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」。次回、最終回でついに田畑政治(阿部サダヲ)らの悲願であった1964年東京オリンピックが開幕する。その開会式の見せ場となる聖火リレー最終走者に抜てきされたのは、広島に原爆が … 続きを読む

page top