「長い間ため込んだ貯金を散財するような気持ちで演じています」和田正人(松下常慶)【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年10月29日 / 20:50

 かつて山伏の姿で諸国を行脚し、井伊家にさまざまな情報をもたらしてきた松下常慶。井伊家が絶えた後、幼い虎松(寺田心・後の万千代)を養子に迎えた松下源太郎(古舘寛治)の弟であり、今では直虎(柴咲コウ)と共に、徳川家に仕える万千代(菅田将暉)を支える存在となっている。演じる和田正人が、初の大河ドラマ出演で感じたこと、常慶役に込めた思いを語った。

松下常慶役の和田正人

-初めての大河ドラマ出演が決まった時のお気持ちは?

 この作品のプロデューサーの岡本(幸江)さん、脚本家の森下(佳子)さん、音楽の菅野よう子さんは、僕の役者としての転機になった朝ドラの「ごちそうさん」(13~14)と同じチームなんです。その皆さんが再びタッグを組んだ大河に出させてもらえたということは、すごくうれしかったです。難しい役ですが、役者として新たな課題を与えられたようで、愛を感じています。

-常慶は序盤、謎の山伏といった雰囲気で登場しましたが、虎松が松下家に養子にくる頃から兄・源太郎が登場するなど、プライベートな部分が見えてきました。演じる上で、気持ちの変化などはありましたか。

 山伏の姿をしていた第38回ぐらいまでは、密書を届けたり、影で情報を伝えたりする役割だったので、喜怒哀楽を出さないように淡々と演じていました。松下家が正式に徳川に仕えるようになった第39回あたりからは、人が変わったと見られないように気を付けながら、人間味のある部分を出すようにしています。

-映画と違ってテレビドラマの場合、結末が分からないまま演じていくことになります。後半、人間味のある姿を見せていく上で、難しさを感じた部分はありますか。

 最初に、井伊と徳川をつなぐ存在という大まかな話は聞いていましたが、常慶自体がどんな紆余(うよ)曲折を経て変わっていくのかということまでは分かりませんでした。そのため、最初は淡々と演じていたのですが、途中から矢本(悠馬/中野直之)くんや田中美央(奥山六左衛門)さんが生き生きと演じているのを見たら、「ちょっと違うかな…?」という気になったというのが、正直なところです。ただ、いつか松下家にフォーカスが当たった時、これが長い前振りになって生きるんじゃないかと思って耐え忍んできました。だから、今は長い間ため込んだ貯金を散財するような気持ちになっています(笑)。

-徳川に仕えるようになった常慶は、山伏姿から衣装が変わりました。

 半年以上、あの山伏姿でしたが、数多い登場人物の中でも色合いや衣装が独特なので、気に入っていました。徳川に仕えるようになった後、どう変わるのか楽しみでしたが、山伏の時の衣装を生かしたものになっていて、徳川家臣団の中でも少し違う雰囲気があるので、面白いです。やっと腰に刀も差せるようになりましたし(笑)。

-万千代役の菅田将暉さんとは過去にも共演経験がありますが、今回、改めて共演した印象はいかがでしょう。

 菅田くんが登場する第39回、40回あたりの台本を頂いて読んでみたら、演じている姿が頭に浮かび、思わずおなかを抱えて笑ってしまいました。時代劇は初めてだそうですが、経験が無いからぶつかっていくしかないという姿勢が、まさに万千代にぴったり。現場に立った時の瞬発力にも目を見張るものがありますし、一緒にお芝居をするのはとても楽しいです。ちなみに、初めて共演した「ごちそうさん」では「源太おじさん」と呼ばれていたのですが、今回も万千代の叔父役。だから、菅田くんからは「和田さんはいつもおじさん役ですよね」と言われました(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】“映画の始まり”を知ることができる『カツベン!』

映画2019年12月13日

 舞台は、映画が活動写真と呼ばれ、まだサイレント(無声)だった大正時代。周防正行監督が、映画を説明する「活動弁士」に憧れる染谷俊太郎(成田凌)の夢や恋を描いた『カツベン!』が公開された。  弁士の語りはもちろん、活動写真風のスラップスティッ … 続きを読む

【2.5次元】舞台「鬼滅の刃」小林亮太&本田礼生インタビュー 「全員が気を引き締めて挑まなきゃいけない」

舞台・ミュージカル2019年12月12日

 2020年1月18日から舞台「鬼滅の刃」が上演される。原作は『週刊少年ジャンプ』に連載中の人気漫画。人と鬼との切ない物語に鬼気迫る剣劇と時折コミカルに描かれるキャラクターたちが人気を呼び、2019年4月から放送を開始したTVアニメも絶大な … 続きを読む

【インタビュー】舞台「この声をきみに~もう一つの物語~」尾上右近、演劇作品への挑戦が「自分にとって豊かな財産になっている」

舞台・ミュージカル2019年12月11日

 2017年に放送された、大森美香脚本によるNHKオリジナルドラマ「この声をきみに」がスピンオフとして舞台化される。竹野内豊が主演した同ドラマは、朗読教室を舞台に、現代に生きる大人たちの恋愛を描き、高い評価を得た。舞台版では、大森自らが脚本 … 続きを読む

【インタビュー】『カツベン!』周防正行監督、成田凌 「これが映画の始まりなんだ、ということを、意識して見てほしいです」

映画2019年12月11日

 今からおよそ100年前の日本。活動写真と呼ばれ、まだモノクロでサイレントだった映画をより楽しむため、楽士の奏でる音楽に合わせて、自らの語りや説明で映画を彩った活動弁士(通称カツベン)がいた。弁士に憧れる若き青年を主人公に、映画黎明(れいめ … 続きを読む

「東京オリンピックの聖火リレー最終ランナーという重要な役。プレッシャーを感じています」井之脇海(坂井義則)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

ドラマ2019年12月8日

 いよいよ大詰めを迎えた「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」。次回、最終回でついに田畑政治(阿部サダヲ)らの悲願であった1964年東京オリンピックが開幕する。その開会式の見せ場となる聖火リレー最終走者に抜てきされたのは、広島に原爆が … 続きを読む

page top