【インタビュー】『ポンチョに夜明けの風はらませて』太賀「高校卒業前に親友たちと旅に出るロマン」中村蒼「3人のめちゃくちゃ加減や、ばかばかしさに共感」矢本悠馬「2週間の撮影が3日ぐらいに感じた」

2017年10月28日 / 14:47

 卒業式を間近に控えた高校生の又八、ジン、ジャンボは、将来に夢も希望も持たず、何となく日々を過ごしていた。そんなある日、ジャンボの父の車を勝手に持ち出した3人は、ひょんなことから当てのない旅に出ることに…。『ぼくたちの家族』などで知られる早見和真氏の小説を映画化した本作は、平凡な高校生3人組が珍道中を繰り広げる青春ロードムービー。高校生役で息の合った共演を見せた太賀、中村蒼、矢本悠馬が、撮影の舞台裏を振り返った。

(左から)矢本悠馬、太賀、中村蒼

-皆さんのやり取りが絶妙で、最後まで笑いっ放しでした。3人そろったのは初めてだそうですが、共演した感想はいかがでしょうか。

太賀 映画の全体像として、この3人の空気感がすごく重要になってくるだろうと思っていました。その上で、いざ撮影の初日を迎えてみたら、最初に3人が一緒になった時、スッと空気が出来上がって、居心地の良さを感じたんです。現場でもジョークを言い合ったりしていたので、そういう空気感がいい具合に映画に反映されたと思います。

中村 2人と共演したことはあったのですが、今回は久しぶりだったので、また違った感覚が味わえるんだろうなと思っていました。だから、撮影はすごく楽しかったです。楽しい時って、楽しいだけで終わっちゃうこともあるんですけど、今回は映画を面白くするための大人な楽しみ方みたいな、いいバランスで撮影を進められたのも良かったです。

矢本 僕も台本を読んで、3人の空気感が作品を大きく左右するなと感じていました。でも、撮影が始まったら一瞬で打ち解けて、いい感じの空気が出来上がったので、それがそのままこの映画に反映されています。撮影は2週間ぐらいかかったのですが、楽し過ぎて3日ぐらいに感じました(笑)。

-3人でお芝居について話し合うようなことはあったのでしょうか。

太賀 あったっけ…?

矢本 黙っていても大丈夫みたいな感じじゃなかった?

中村 あまりに自然だったので、「こうした方がいいんじゃない?」みたいなことがなさ過ぎて、逆に手応えがよく分からないぐらいで(笑)。

矢本 でも、目指している雰囲気のベクトルは、暗黙のうちに分かっていました。蒼くんとは以前もよくしゃべっていたし、太賀とも最近共演していたので、「そうそうこの感じ、この人ってこれだよね」みたいな感じで(笑)。

-ロードムービーという形式については、どう感じましたか。

太賀 この作品に関して言えば、高校を卒業する間近、社会に出るまでのモラトリアムな時間に、親友たちと旅に出るということにものすごくロマンを感じました。やっぱり、そういうロマンのある映画って必要だと思うし、それが周りから見て、いかにばかげていても、本人たちが真面目に一生懸命青春しようとしている姿には意味がある。そういう青春ロードムービーをやれたことは、僕にとってもすごく意味のあることでした。

中村 ロードムービーには、ある種の憧れみたいなものがあります。こういう仲間と旅をするみたいなことができたらいいなとは思っていましたが、現実的には僕は学生の時から仕事をしていたのでできなかった。だから、この作品でそういうものを体験できたのが良かったです。劇中の3人のめちゃくちゃ加減や、ばかばかしさにも共感できます。

矢本 車って、学生時代の最後に手に入れる最強の武器ですよね。ずっと自転車に乗っていたのが原付になって、バイクになって、18歳でやっと車の免許が取れる。そうやって最強の武器を手に入れたところで、3人でさあ何をしようかとワクワクしながら今まで遊んでいた区域から出ていくんだけど、結局、未熟なせいでいろいろなトラブルに巻き込まれてしまう。そういうところに青春のロマンを感じます。ロードムービーというと旅に出るイメージがあるので、少し遠い世界に感じるかもしれないけれど、これは近場でいろいろなことが起きる話なので、親しみやすいんじゃないかなと。

 
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