「全登は徐々に『魔界転生』のジュリーみたいになっていきます」小林顕作(明石全登)【真田丸インタビュー】

2016年10月8日 / 08:00

 NHKの大河ドラマ「真田丸」で真田幸村と改名した信繁(堺雅人)と共に大坂の陣に参戦した武将、明石全登を演じる小林顕作。キリシタンとしての思いを胸に奮戦した全登について語る。

 

明石全登役の小林顕作

明石全登役の小林顕作

-出演までの経緯は?

 知り合いのプロデューサーから連絡をもらい、絶対うそだと思っていたら、「いい加減、一度あいさつに来い」と言われまして、行ってみたら大河ドラマのプロデューサーがいらっしゃったんです(笑)。実は、私がEテレの「みいつけた!」でやっているオフロスキーというキャラクターのうた「じだいげきだよオフロスキー」を、そのプロデューサーと三谷幸喜さんがお子さんと一緒に見ていて、「あっ」と思ったそうなんです。いろんな偶然が重なりまして、もう宝くじに当たるような(確率の)話というのはこのことだなと。

-その後、三谷さんから何か指示はありましたか。

 ある日、新幹線に乗っていたら三谷さんから電話があり、どうやら撮影済の映像を見たらしくて、「駄目、あんなの。硬い、硬い」って言われました。キャラクター設定を聞いてみたら、「映画『魔界転生』のジュリー(沢田研二)」だと言うんです。「もっと妖艶に。この後、仕事がなくなると思うぐらいやってください」って。だからこの後、(全登は)徐々にジュリーになっていっています(笑)。

-『魔界転生』のジュリーとはどんな感じですか。

 (魔界の力を借りて死の世界からよみがえった天草四郎時貞役の)沢田研二さんが「エロイムエッサイム」という呪文を唱えながら、首が取れて「ははははは」って笑うやつですよ(笑)。呪文を唱えるところなんか色っぽいんです。三谷さんから話を聞いた後は、讃美歌や祈りの文言で声を張り、幸村を紹介する時も大声で言ったら、(後藤又兵衛役の)哀川翔さんから「うるせえよ」って言われましたけど(笑)。

-実際に演じてみて、全登について感じたことはありますか。

 嫌がっていたのに親戚に勧められてキリシタンになったらしいんですが、その後、身についた、責任感がすごくある純粋な人だというのは守りたいと思っています。

-キリシタンの研究は?

 所属しているダンスカンパニーのコンドルズでいろんな国を回った時、教会に行ったら楽しかったんです。宗教の持つ静けさはこの感じだなというのが身についています。日本の教会では研究していませんが、そんな経験が役に立っています。

-何度も幽閉先の九度山に迎えに行くなど、全登が信繁に入れ込んだ理由は?

 キリスト教を守るためにはこの人しかいないという気持ちが強かったのかなと。

-堺さんの印象は?

 ものすごくフレンドリーで、気を遣ってくれます。お互いに小劇場出身なので、共通の知り合いが多くて、話が速いんですよ。見ていた景色が似ているので話がしやすいです。

-全登とオフロスキーと小林さんは似ていますか?

 ええ。僕はよく「つかみどころのない人ですね」って言われますし、肩書も俳優、演出家、ダンサーで振り付けやミュージシャンもやっています。オフロスキーも謎に包まれたキャラクター、全登さんもそういう人なのかもしれない。見ている人が勝手に考えるということなのかもしれません。歴史に詳しい友達に「ぴったりですね」って言われていますしね。

-「大河ドラマだなあ」と思ったことはありますか。

 スタッフワークかな。とにかくいい絵が撮りたくてしょうがない人たちの集まりなんです。「時間ねえぞっ」とか「今日終わんねえぞ、これ」とか、とにかくかっこいい(笑)。ふとした時間に、いま何をやっているんだろうと見てみると、柿が揺れるところを撮っていたりする。「もういくらでも待ちます」って気になりますよ。そんなぜいたくな気持ちにさせてくれる場所です。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

安田顕「水上くんの目に“本物”を感じた」水上恒司「安田さんのお芝居に強い影響を受けた」 世界が注目するサスペンスで初共演&ダブル主演「連続ドラマW 怪物」【インタビュー】

ドラマ2025年7月5日

 韓国の百想芸術大賞で作品賞、脚本賞、男性最優秀演技賞の3冠を達成した極上のサスペンス「怪物」。WOWOWが世界で初めてそのリメイクに挑んだ「連続ドラマW 怪物」(全10話)が、7月6日(日)午後10時から放送・配信スタート(第1話・第2話 … 続きを読む

TBS日曜劇場「19番目のカルテ」が7月13日スタート 新米医師・滝野みずき役の小芝風花が作品への思いを語った

ドラマ2025年7月5日

 7月13日(日)にスタートする、松本潤主演の日曜劇場「19番目のカルテ」(TBS 毎週日曜夜9時~9時54分)。原作は富士屋カツヒト氏による連載漫画「19番目のカルテ 徳重晃の問診」 (ゼノンコミックス/コアミックス)。脚本は、「コウノド … 続きを読む

南沙良「人間関係に悩む人たちに寄り添えたら」井樫彩監督「南さんは陽彩役にぴったり」期待の新鋭2人が挑んだ鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』【インタビュー】

映画2025年7月4日

 第42 回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃の小説を原作にした鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』が、7月4日公開となる。浪費家の母(河井青葉)に代わってアルバイトで生活を支えながら、奨学金で大学に通う主人公・宮田陽彩が、過酷な境遇を受 … 続きを読む

紅ゆずる、歌舞伎町の女王役に意欲「女王としてのたたずまいや圧倒的な存在感を作っていけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月4日

 2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。  物語の舞台は歌舞 … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

 グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む

Willfriends

page top