「歴史の教科書で太字にならない人が僕も三谷さんも好き」 堺雅人(真田信繁)2 【真田丸インタビュー】

2016年3月23日 / 00:00

 NHKの大河ドラマ「真田丸」の主人公で、有力な大名に囲まれ、常に政治的な駆け引きや調略を必要とした真田家の次男として生まれた真田信繁を熱演している堺雅人。波乱の時代を好奇心旺盛に生き抜いていく信繁の成長を語る。

 

真田信繁役の堺雅人

真田信繁役の堺雅人

-久しぶりの三谷幸喜脚本作に出演した感想は?

 13話までの部分は1話1話がぎゅっと詰まっていて、短編として見ても面白い作品が13話そろっていた感じでした。濃密な時間が流れていましたね。

-どんなことが印象に残っていますか。

 平岳大さんが演じた武田勝頼が皆さんからいい殿様だと言われたのがうれしかったし、草刈正雄さんの演じるわが父上(昌幸)の何を考えているのか分からないあの感じが視聴者の皆さんに届いているところが面白いです。歴史や人物をちゃんと掘り下げて描くと面白いということを教えてもらった。こんなにたくさんの魅力的な人たちに囲まれてお芝居ができているのは幸せです。

-三谷さんと連絡は?

 ばったり会って20~30分立ち話をしました。歴史の教科書で太字にならない人が僕も三谷さんも好きなようで、実はこの人はこうだったみたいな話をしました。

-放送が始まる前後で変化は感じましたか。

 撮影現場と書き手である三谷さんの頭の中が行き来できるようになって、キャッチボールが始まった気がします。それが人物やシーンを生き生きとさせている。特に西村雅彦さんが演じている室賀正武の使い方が生き生きとしてきました(笑)。「黙れ小童(こわっぱ)」という決まり文句をここまで重ねてくるとは。ぜひ流行語大賞を狙ってほしいです(笑)。

-時には暗殺も辞さないなど、昌幸のやり方には信繁も恐怖を抱くことがありますね。

 三谷さんはなるべく人の死から何かを引き出したいと考えていると思います。無名の人にもそれぞれの人生があり、その死から何かを学ぶことができる。誰かが死ぬことで主人公の信繁の心が動き、少しずつ成長する。そのことで誰かの死が物語上は無駄にならない。すごく緻密に計算された三谷さんの配慮だと思います。

-重要な武将があっさりナレーションで死んでいたりしますね。

 もともと信繁が見ていない部分は省略すると聞いていました。今回の大河で一番楽しんでいただけるのは「見通しの悪さ」(笑)。今の時代でも、この先国際情勢がどうなるのかは誰にも分かりません。戦国時代にしても徳川家康も含めて誰がいつ滅亡するのか分からない。みんなぎりぎりのところで奮闘しているのが今回の大河だと思います。

-信繁は父親になりますね。

 今まであちこち飛び跳ねていた人が初めて大地を意識する。それが多分、梅(黒木華)という存在だと思います。とてもいい祝言でしたが、その裏で血なまぐさい事件も起きる。そこも含めて、祝福と呪いを同時に受けているよう。今回の台本はその連続です。長編小説を読んでいるような、一筋縄ではいかない感じです。

-大坂編が始まるまでの回でお薦めのシーンを挙げてください。

 僕が六文銭の旗を持って敵を挑発し続けて、兵をおびき寄せるシーンです。ずいぶん長いシーンで、ウォーとかワオーとか叫ぶシーンではないんですが、合戦の迫力はそのままに、切り口をちょっと変えている。とにかく45分間相手をばかにし続ける。役者もへとへとになりましたし、撮る方も手間暇懸けていました。でもなかなか人は死なないし、三谷さんらしいですよ。

-演技でこだわったことは?

 以前、上田にロケに行った時に地元の獅子舞の踊りがすごく面白いと思ったんです。3頭の獅子舞がいて、前にいるてんぐみたいな人につられながらやるんです。その動きを撮影のどこかで入れたいなとずっと思っていて、「そうだ挑発の動きに使おう」と監督に相談しました。日本舞踊の洗練された動きとはちょっと違う、野性味あふれる足運びだったので、真田の山の民らしさが出るのではないかと思いました。ぜひご覧ください。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

松本怜生 豊臣兄弟を支える忠臣・石田三成を好演中「演技について家臣団で話し合っています」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年10月11日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=羽柴秀長/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡跡を描く物語は快調に進行中だ。劇中、秀 … 続きを読む

柚香光「つややかで、あでやかで、華やか、そして情に深く」 最後の「髑髏城の七人」に挑む思い【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月11日

 作・中島かずき、演出・いのうえひでのりによって生み出された劇団☆新感線を代表する演目である「髑髏城の七人」。7年ごとに繰り返し上演され、そのたびにさまざまな工夫を凝らし進化をし続け、これまで11バージョンが上演されてきた。そして、今回「髑 … 続きを読む

堤真一「自分なりの演じ方」で描き出す 濵田崇裕、ローマは「僕が出会ったことがない人間」 「グレンギャリー・グレンロス」で初共演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月10日

 堤真一と濵田崇裕が初共演にしてダブル主演を務める、Bunkamura Production 2026/DISCOVER WORLD THEATRE vol.17「グレンギャリー・グレンロス」が、11月6日から上演される。本作は、1983年 … 続きを読む

戸田菜穂「スッとあの時代に入っていけるような空気がありました」名作漫画の実写映画化で、昭和の母を好演『遥かな町へ』【インタビュー】

映画2026年10月9日

 10月9日から全国公開となる『遥かな町へ』は、「孤独のグルメ」「神々の山嶺」で知られる漫画家・谷口ジローの名作を実写映画化した作品だ。  建築デザイナーとして活躍する48歳の中原博史(大谷亮平)が、故郷・鳥取県の倉吉で母親の墓参りを済ませ … 続きを読む

【映画コラム】9月の公開映画から

映画2026年10月8日

「バックルームズ」(9月4日公開)★★★ 出口のない迷宮が生む恐怖  “あるはずのない隙間”から、黄色い壁に囲まれ蛍光灯に照らされた迷宮のような空間へ迷い込んだ男(キウェテル・イジョフォー)が、出口を求めてさまよう。インターネット発の都市伝 … 続きを読む

page top