「現場が第二の家族になりつつあります」高畑充希(小橋常子) 【とと姉ちゃん インタビュー】

2016年3月28日 / 05:10

 4月4日から始まるNHKの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。“父親代わりの長女”小橋常子が、生前の父が教えてくれた「当たり前の生活がいかに大切か」という教えを胸に、2人の妹と母を守って型破りの大奮闘を見せる。戦後、焼け野原の東京で常子は「女の人たちのために雑誌を作りたい」と家族と共に出版社を設立し、一冊の生活雑誌を作って世に送り出す。そんなヒロイン常子を演じる高畑充希が、役への思い、撮影現場での様子を語った。

 

小橋常子役の高畑充希

小橋常子役の高畑充希

-朝ドラのヒロインを演じた心境はいかがですか。

 (事前に)いろんな人から、「朝ドラは大変だよ!」と、脅かされて撮影に入りましたが(笑)、思っていたより大丈夫です。今まで過ごした撮影期間をあと2回したら終わってしまうんだなと思うと、それが寂しいです。

-朝ドラは「ごちそうさん」にも出演されましたが、ヒロインを演じる上での苦労はありますか。

 常子は本当にずっと出ているので、スケジュール表に(常子の)常、常、常…って書いてあって(笑)。なので「ご飯行きたいね」という話はたくさんするのに行く時間がありません。それはちょっと悲しいです。

-しっかり者の常子ですが、常子のキャラクターとご自分が似ているところと、そうではないところを教えてください。

 似ているところは、何か事件が起こった時に「なんとかなるでしょ」と思うところ。私もあまりマイナス方向に考えることがなくて、結構能天気に生きているタイプ。ただ、常子は基本的に人のために生きている人で、家族の人生を豊かにするために自分は何をすべきかをずっと考えている。私は、もっと自分中心なところもあるし、自分がしたいと思ったように動くことが多い。だからそういうところは素直にすごいなって尊敬できるし、自分は(常子のようには)なれないかなって思います。

-常子から刺激をもらってご自身の中で変わったことは?

 変わらないですね。今まで通りです。NHKを一歩出たら普段の私に戻っちゃいます(笑)。

-常子が生きた戦前、戦中という時代は、今とは価値観が大きく異なる時代です。役作りで特に留意したことはありますか。

 やはりその時代に生きた女性なので、最初に「常子を丁寧なキャラクターにしたい」という話を演出家さんや脚本家さんとしました。というのも、常子の家が結構礼儀作法を重んじる家なんです。女性はこうあるべきだとか、押し付けがましいことは全然言われていないけど、お箸の扱い方とか、靴のそろえ方とか、そういう細かいところは体に染み込んでいるという設定です。だから、いくら常子のテンションが上がったシーンでも畳のへりは踏まなかったり、いくら落ち込んでいても靴はそろえるとか…、そういうことは結構気を付けながらやっています。

-西田征史さんの脚本を実際に演じてみていかがですか。

 もしかしてロケが冬だということを知らないで書いたんじゃないかと(笑)。寒空に裸足に下駄で、すごく寒くて、そのたびに西田さんに連絡して「どういうつもりですか!?」って言っています(笑)。

-笑えるシーンも多いですね。

 そうですね。でも、西田さんの脚本は、笑わせようとするせりふはないのに、クスッと笑える感じなんです。せりふが面白いというよりは、それぞれのキャラクターが何か“おかしい”。そうしたキャラクターがあってのほっこりとした笑いなので、味が濃過ぎないところがいいですね。

-小橋家という家族の一員になって、高畑さんはどう感じましたか。

 家族全員の考え方が“とと”を中心に出来上がっているんです。当時の父親は家長で大黒柱。とても声を掛けづらい存在だったと思います。でも小橋家ではちゃんと、ととが相手を対等に見てくれる。子どもだって尊重するし、3人の娘たちの意見もちゃんと聞くし、奥さんもそれに寄り添う。みんなに発言権があって。みんなの意見がそれぞれ聞ける人たちが一緒にいるので、それはいいなと思います。風通しがいいですね。

-そんな家族のスタイルを、高畑さんご自身の家族と比べてみるといかがですか。

 小橋家は本当に笑顔が絶えなくて、みんなすごくいい人なんです。高畑家もいい人の集まりです。とても仲がいいし、一人っ子だから両親にも割と何でも話せます。ただ、小橋家は(相手を)思いやったらそれを言葉にしたり、行動に移せる人たち。それに比べて私たちはそういうのは照れがあって、関西人なので笑いに変えてしまったりすることが多いですね。

-現場で刺激を受けている共演者がいたら教えてください。

 それぞれの方がとても面白いです。意外な感じの人も多いし…。例えば、かか役の(木村)多江さんも、和風美人というイメージで、しっとりと生きている印象だったのですが、実際はおちゃめで私たちとも一緒になってふざけてくれます。基本的に母親と娘3人のシーンが多いので、ずっと爆笑していることが多くて。一緒になって遊んでくれるのがうれしいです。

-現場は和気あいあいとした雰囲気ですね。

 お正月明けに会った時に、みんなが「こんなことがあったよ」とか、機関銃みたいにしゃべっていてすごかった(笑)。それぐらい、今しゃべりたい相手なんだと思います。第二の家族になりつつありますね。

-とと役の西島秀俊さんとは共演シーンがないと伺いました。

 共演シーンを作ってもらいたいです(笑)。西田さんにもう一度言います。朝ドラで親子なのに共演できないことがあるのかと驚きました。この前も、取材会で「幽霊役で出してほしい」と言ったんですけど…。西島さんは本当に穏やかな方。台本のとと以上に温かいととになっていました。

-最後にドラマの見どころを教えてください。

 一番の魅力は会話ですね。こういうことが起こるので見てください、というのはないです。淡々と日々の温かい感じをじんわりと感じていただければ。毎日朝ごはんを食べながら家族と何となく見て、あっ、良いものを見たなと思えるようなドラマになっていると思います。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

オダギリジョー「麻生さんの魅力を最大限引き出そうと」麻生久美子「監督のオダギリさんは『キャラ変?』と思うほど(笑)」『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』【インタビュー】

映画2025年10月17日

 伝説の警察犬を父に持つオリバーとそのハンドラーを務める鑑識課警察犬係の青葉一平(池松壮亮)のコンビ。だが、なぜか一平だけにはオリバーがだらしない着ぐるみのおじさん(オダギリジョー)に見えており…。  この奇想天外な設定と豪華キャストが繰り … 続きを読む

【映画コラム】初恋の切なさを描いた『秒速5センチメートル』と『ストロベリームーン 余命半年の恋』

映画2025年10月17日

『秒速5センチメートル』(10月10日公開)  1991年、春。東京の小学校で出会った遠野貴樹(上田悠斗)と転校生の篠原明里(白山乃愛)は、互いの孤独を癒やすかのように心を通わせていくが、卒業と同時に明里は栃木に引っ越してしまう。  中学1 … 続きを読む

大谷亮平「お芝居の原点に触れた気がした」北斎の娘の生きざまを描く映画の現場で過ごした貴重な時間『おーい、応為』【インタビュー】

映画2025年10月16日

 世界的に有名な天才浮世絵師・葛飾北斎。その北斎と長年生活を共にし、自らも絵師“葛飾応為”として名をはせた娘・お栄の生きざまを描いた『おーい、応為』が10月17日から全国公開となる。劇中、北斎(永瀬正敏)の弟子の絵師“魚屋北渓”として知られ … 続きを読む

黒崎煌代 遠藤憲一「新しいエネルギーが花開く寸前の作品だと思います」『見はらし世代』【インタビュー】

映画2025年10月15日

 再開発が進む東京・渋谷を舞台に、母の死と残された父と息子の関係性を描いた『見はらし世代』が10月10日から全国公開された。団塚唯我のオリジナル脚本による長編デビュー作となる本作で、主人公の蓮を演じた黒崎煌代と父の初を演じた遠藤憲一に話を聞 … 続きを読む

草なぎ剛「今、僕が、皆さんにお薦めしたい、こういうドラマを見ていただきたいと思うドラマです」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」

ドラマ2025年10月14日

 草なぎ剛主演の月10・新ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時/初回15分拡大)が13日から放送スタートとなった。本作は、妻を亡くし、幼い息子を男手一つで育てるシングルファーザ … 続きを読む

Willfriends

page top