「真っすぐに、清く正しく駆け抜けることができました」山本耕史(石田三成)2 【真田丸 インタビュー】

2016年8月22日 / 14:06

 NHKの大河ドラマ「真田丸」で豊臣家の重臣、石田三成を演じている山本耕史。秀吉(小日向文世)の死後、離反する家臣らの人心と徳川家康(内野聖陽)の動きに警戒心を強める苦悩を語る。

 

●32_37_030三成は上杉、毛利に自らの思いを託す。-収録は半年間にわたりましたね。

 せりふが大量な上に、難しい言葉が多いから、たくさん乗り越えなければいけないシーンがありましたけど、あっという間でした。とにかくせりふが漢字ばかりなので、台本が真っ黒なんですよ(笑)。周りの人は自分の気持ちをしゃべることが多いのですが、三成は日にちや地名が多い。それに秀吉は自分で説明すればいいのに、すぐに「治部(三成)」って振ってきますから(笑)。でも大変そうに見えると三成じゃないので、きっちり演じました。それは(真田)信繁(堺雅人)も同じで、堺さんとは「僕たち相当高度なことをやっているよね」って言い合っていました。

-秀吉の老いを三成はどう見ていましたか。

 一つの時代が終わる寂しい感じと、踏ん張らねばという思いが両方ありました。ただ、もう少しざっくばらんに臨機応変に捉えることができれば、もっと柔軟な生き方もできたのかもしれません。そこが「忠義の人」と三成が人々から今も愛されるゆえんでもありますが。

-秀吉が亡くなった後、何が違ってきましたか。

 三成はやるべきことが多くなります。以前なら秀吉の鶴の一声で動いたけど、今や家臣の意見を取りまとめないといけない。でもどの事項を核としてやればいいのか分からなくなる。三成には人望がない。台本を読んでいて心が痛くなりました。これだけ頑張ったのに、誰にも好かれない。忠義の深さはあるんだけど、行き過ぎた空回りのように見えてしまう。そこがとっても切ないんです。

-挙兵するまでの大谷吉継(片岡愛之助)とのシーンはいかがでしたか。

 いろんな人に断られ続けた末に吉継が加勢するというシーンだったので、友のおかげで突っ張っていたものがはずれた気がしていいシーンでした。とても心強い、これで負けても悔いはないというぐらい心が決まった瞬間だったのではないでしょうか。

-逆に家康との対面は緊張感があふれていました。内野聖陽さんとの演技についてはいかがですか。

 実は三成は人と対立してやり合うことはあまりないんです。初めてそうなったのが家康だったので、対面した時に家康の大きさが分かりました。家康が立ち上がって三成に近づくかどうかを内野さんと入念に相談しました。

-「真田丸」では鍛え抜かれた肉体を見せるシーンが何度かありましたね。

 三谷(幸喜)さんは結構僕を脱がすんです(笑)。1度目のシーンが終わって、三谷さんに体を見せると「鍛え過ぎ。むしろ気持ち悪い。でももったいないので、もう1回脱がします」って言われて、もう1回どこかで脱いでいます。最後、打ち首になるところでも「脱ぎます?」って監督に聞いてみたら、「ありだな」みたいな顔をしたから、「うそうそうそ」って必死で止めましたよ(笑)。

-今回の三成のキャラクターはいかがでしたか。

 三成じゃないと言えないせりふがいっぱい出てきます。「私はほとんど間違えることはないが、何かたまに失敗することもある。その時は遠慮のう教えてくれ」と信繁に言うんですよ。本当に三成らしい。そういうかわいくてチャーミングなところがいいですね。ただ今後は三成が感情的になるので、視聴者の皆さんも三成にぎゅっと引き寄せられ、味方になってくれるんじゃないでしょうか。

-この三成役は山本さんにとってどんなものになりましたか。

 「新選組!」でも俳優の幅を広げてもらったように、三谷さんは転機になるような役を振ってくださる人。三成は三谷さんがすごく好きな人物。その役を僕は生き抜いたなと本当に思えます。不器用だけど、この「真田丸」において真っすぐに、清く正しく駆け抜けることができました。寂しさはありますが、悔いなく現場を去れます。結婚してからこれだけ長く役にかかわるのは初めてですし、思い出深い役になると思います。


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