山本舞香「改めて、声優さんはすごいなと思いました」 映画『ブレット・トレイン』プリンス役ジョーイ・キングの吹き替えを担当【インタビュー】

2022年8月29日 / 07:00

 伊坂幸太郎の小説『マリアビートル』を、『デッドプール2』のデビッド・リーチ監督が映画化した『ブレット・トレイン』が9月1日から公開される。本作で、ブラッド・ピットが演じる主人公レディバグを翻弄(ほんろう)する謎の女子学生プリンスを演じたジョーイ・キングの日本語吹き替えに山本舞香が起用された。吹き替え初挑戦となった山本に話を聞いた。

山本舞香(ヘアメーク/KUBOKI(Three PEACE)/スタイリスト/津野真吾(impiger) ) (C)エンタメOVO

-今回はどういうきっかけで、吹き替えをすることになったのですか。

 最初は、マネジャーから「ハリウッド映画の吹き替えどう?」という連絡が来て、「えっ、どうしよう。私でいいんですか」みたいな感じでした。でも、せっかく声を掛けていただいたので、やってみたいなと思い、挑戦してみました。自分の声にはコンプレックスがありましたが、声を掛けてくださった方が、私の声が好きだと思ってくださったのなら、それに応えたいなと思いました。

-では、初めての吹き替えはいかがでしたか。

 まず、試写を見て、プリンスのキャラクターや、ジョーイ・キングさんの声のトーンを勉強し、あまり懸け離れないようにしようと思いました。なので、地声からツートーンぐらい上げる感じでいいのかなと思って、ブースに入ってから監督と話し合いながら、作っていった感じです。

-吹き替えをする上で、気を付けたことは?

 声のトーンを上げることと、涙で震える声を何回か練習しました。ただ、私は、感覚でやってしまうところがあるので、一度やってみて、駄目だったらもう一度違う形でやってみようという感じでした。それほど作り込んだり、深く考えずにやった感じです。一人でブースにいると、いろんなことを考えます。一度映像を見てから、声を出してみて、ちょっと違うなと思ったら、「もう一度やらせてください」と何度もお願いしました。今回はとても監督に助けられました。

-普段の演技とは違う感じですか。

 気持ちとしては、普段のお芝居の方が楽です。どちらにしても私は感覚派なので、台本を読み込んだり、演技プランを練るわけでもないので、相手のお芝居を見て、それにハマるものができたらいいなと思っています。

-では、自分の吹き替えも含めて、日本語版を見てどう思いましたか。

 実は、一定のテンションでしゃべってしまい、やる気がなさそうに聞こえる自分の声があまり好きではありません(笑)。だから、日本語版を見ても、何か、慣れない感じがして恥ずかしかったです。その経験を踏まえて、改めて、声優さんはすごいなと思いました。好きな声優さんがやっていると、なおさらです。自分がやってみて、吹き替えに対する考え方が変わりました。声優さんは、声に懸けているんだなと思いました。実在しないものを演じる難しさはもちろんですが、知らない人の声を当てるというのは、その人の性格など、いろいろなことを考えなければできませんよね。それに、表情で表現できないことを声だけでやっているのはすごいと思いました。

-また吹き替えをしてみたいと思いましたか。

 今のところは思っていません(笑)。一度やっただけで、自分から「声優をやりたい」とは言えません。そんなことを言ったら、声優さんに失礼ですし。だから、また声を掛けていただけたら、自分の芝居の幅も広がっていくので、やりたいとは思いますが。自分から安易に「やりたいです」とは言えません。

-ジョーイ・キングとはほぼ同年代ですが、彼女の印象は? また、プリンスという役についてどう思いましたか。

 アフレコをしているときに、サプライズでコメントを頂いたのですが、その感じだとすごく明るい人なんだなと思いました。役としてはサイコパスを演じていたので、22歳でここまでできるのはすごいなと思いました。私も、何か闇があって、というような役が多くて、ハッピーな人物はあまり演じたことがないので、ちょっとつかめば、すぐに入り込めるのかなという気はしました。

-彼女の演技を見て、何か参考になるようなところはありましたか。

 何か取り入れたいなとは思いましたが、日本人が演じるのとは違いますから。日本人がああいうお芝居をすると、見る人は気持ち悪く感じますよね。だから、そこは難しいところだと思いました。

-主演のブラット・ピットについては、どう思いましたか。

 彼の映画は結構見ていて、素晴らしい方だと思っています。「いつか共演したいです」と言いましたが、それは夢のまた夢の話であって、多分無理だと思います(笑)。こうして、間接的にでも共演できたことは、すごくいい経験になったと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『六人の嘘つきな大学生』(11月22日公開)  大手エンターテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用の最終選考に残った6人の就活生への課題は「6人でチームを作り、1カ月後のグループディスカッションに臨むこと」だった。  全員での内定獲得 … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

Willfriends

page top