【インタビュー】ミュージカル「GHOST」 咲妃みゆ「課題は『自立した女性の色気』」名作映画のミュージカル版の再演に挑む

2021年3月3日 / 08:00

 1990年に公開され、世界中で大ヒットした映画『ゴースト/ニューヨークの幻』のミュージカル版「GHOST」が3月5日から上演される。日本では2018年に初演された本作は、同作で第63回アカデミー賞脚本賞を受賞したブルース・ジョエル・ルービンが手掛ける脚本・歌詞と、デイブ・スチュワートとグレン・バラードによる、切なくも激しい楽曲が一体となって誕生した感動作。モリー役を桜井玲香とのダブルキャストで演じる咲妃みゆに、ミュージカル版の見どころやモリー役への思いを聞いた。

咲妃みゆ

-初演に続いてモリー役での出演が決まった心境は?

 再びミュージカル「GHOST」に携われることが純粋にうれしかったです。私にとって、この作品も、モリーというお役も、すごく思い入れの強いものでしたので、再演ではありますが、新たな気持ちで挑戦させていただきたいと思いました。

-初演時は、どんなところを意識してモリーを演じたのですか。

 モリーは、芯の強い女性です。ですが、私のモリーは、どこか幼さが残ってしまっていたので、初演の頃は、特に(演出の)ダレン・ヤップさんから「ノット キュート」と、本当に口酸っぱくご指摘いただきました(笑)。なので、初演のときはもちろん、今回も自立した女性であるという点は意識して演じています。

-初演時に本作を演じる上で、一番苦労したのはどんなところですか。

 これは、舞台ならではのものだと思いますが、モリーには(浦井健治が演じる)サムが見えていないけれど、舞台上には存在しているという、ある意味、矛盾する状況が大変でした。サムは幽霊なので、モリーには見えません。でも、実際には、浦井さんはそこにいらっしゃって、(森公美子が演じる)オダ・メイとせりふのやりとりをしているのも聞こえている。モリーの私はサムと目が合ってもいけないし、せりふを聞いてしまってもいけない。でも、つい見ちゃうんですよ(笑)。今回も、久しぶりにお稽古をしたら、見えてはいけないサムさんが見えてしまったので、そこは気をつけて演じています。

-初演を終えて、手応えは感じていましたか。

 私にとって初めてダブルキャストというお役回りで公演に携わったので、そういった意味でもいろいろな初体験ができ、達成感はすごく大きかったです。千秋楽を迎えることが名残惜しかったですし、かなうことならいつかまたチャレンジさせてもらいたいという思いは、ずっとありました。

-今回は桜井さんとのダブルキャストですが、それについては、どのような思いがありましたか。

 自分自身が携わる舞台を客観的に見ることができるという点ではものすごく貴重な時間になったと思います。モリーという女性についてもそうですが、モリーの周りで起こる物事にも、冷静に目を向けることができたので、発見もたくさんありました。初演は、秋元才加さんとダブルキャストで演じさせていただいたのですが、才加さんが演じられている姿を見て、じゃあ、私はこういうアプローチをしてみようかなと考える時間にもなったので、視野を広げるという意味でもとてもいい体験でした。

 今回は、玲香とダブルキャストになりますが、初めての共演とは思えないぐらい、一緒にモリーを見つめていけている実感が持てています。再演から携わる玲香にはさまざまな思いが巡っていると思いますが、物おじせずに意思をしっかりと伝えてくれるので、モリーとリンクすると感じました。一緒に過ごす時間がすごく心地いいです。しっかりと地に根を張っていく玲香のお役との向き合い方が、私にはすごく刺激的で、勉強させてもらっています。

-では、モリーを演じる上で、咲妃さんらしさはどういった形で表現したいと思っていますか。

 今回の自分の課題は、「自立した女性の色気」です。この作品は、色気を大々的に必要とする作品ではないのですが、自分の道が明確に見えているモリーのような女性は、私にとってはとても魅力的に映ります。自分自身の目標を見すえて、そこに向かってしっかりと歩みを進める女性に引かれるので、そうした部分をお見せできるよう演じたいと思っていますし、揺るぎない恋人への愛情を大切に、丁寧に表現できたらと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『楓』(12月19日公開)  須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む

北香那「ラーメンを7杯くらい食べたことも」天野はな「香那ちゃんのバレエシーンは見どころ」 「ラーメン」と「クラシック・バレエ」が題材のコメディーで共演 NHK夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」完成会見

ドラマ2025年12月19日

 12月19日、東京都内のNHKで、1月5日からスタートする夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の完成会見が行われ、主人公・千本佳里奈(ちもと かりな) 役の北香那、佳里奈の親友・二木優美(ふたぎ ゆみ) 役の天野はながドラマの見どころを語ってくれ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(9)浅間神社で語る「厄よけの桃」

舞台・ミュージカル2025年12月18日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。  前回は、玉田家再興にあたり「三つ … 続きを読む

石井杏奈「人肌恋しい冬の季節にすごく見たくなる映画になっています」『楓』【インタビュー】

映画2025年12月17日

 須永恵(福士蒼汰)と恋人の木下亜子(福原遥)は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在、亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・涼だ … 続きを読む

染谷将太 天才絵師・歌麿役は「今までにない感情が湧きあがってきた」 1年間を振り返る【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語も、残すは12月14日放送の最終回「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」の … 続きを読む

Willfriends

page top