【花燃ゆインタビュー】井上真央「文がようやく自分の足で歩き始めます」 兄・吉田松陰の死後も波瀾万丈の人生を生きたヒロイン文役

2015年5月15日 / 16:37

 NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」の主人公で、兄の吉田松陰(伊勢谷友介)を信じ続け、松下村塾の塾生だった久坂玄瑞(東出昌大)の妻となった文を演じている井上真央。兄が処刑され、夫も命を落とす悲運に見舞われながらも、文は家族や塾生を支え、自らも奥女中となって毛利家に仕え、藩主の嫡男の守り役を務める。井上がドラマの中盤に向けての抱負を語る。

 

 ドラマの中盤に向けての抱負を語った文役の井上真央

ドラマの中盤に向けての抱負を語った文役の井上真央

-松陰処刑の前後で、文の気持ちはどのように変化していくのでしょうか。

  文が野山獄に入った兄に最後にできたことは、兄を日常に戻してあげることだけでした。その後、文が坂本龍馬さんに自分の思いを吐露するシーンがあるんですが、そこで心の中でもやもやしていた部分が晴れて、ようやく文は前を向けた気がします。兄の志は塾生が引き継いでいくんだというように考えて、前を向く姿が描かれていくと思います。

-文の成長をどのように感じていますか。

  前半は、女性は待っているとか、おにぎりを持っていってあげるとか、そういうことしかできないのが歯がゆくもありました。国を変えるのだと意気込んでいる塾生たちに、日常の幸せを気付かせてあげるような役割しかできないものなのかとも思ったりもしました。でも徐々に女性なりの戦い方というものが増えていく中で、ようやく文が自分の足で歩いていく部分が出始めてきたところです。女性としての成長を感じます。

 -撮影現場や周りの雰囲気はいかがですか。

  家に帰ってもんもんと考えたり、台本とにらめっこをしたりすることもあります。でも現場へ行くと、そういうことも忘れて、いいものを作らなきゃと思えるし、楽しいと思わせてくれる現場なのでありがたいです。

 -女台場(外国船の砲撃に備えて長州藩士の妻らが築いた土塁)のシーンなど、女性だけのシーンも増えてきましたね。

  ええ、とてもいいですよね。男性が多い撮影だと「この役は史実ではこうだった」とか「筋肉のつけ方はどうする」とか、そんなことが話題なので、私が話に入っていけないことがあるんです(笑)。女性の間では足袋靴下がはやっていて、みんな気付いたら色違いのおそろいの足袋靴下を履いていたこともあったりして、とても楽しいんですよ。

-文はこれから奥御殿に入りますね。どんな心境ですか。

  杉家とは装いも違いますし、奥御殿には階級や激しい女の戦いもあります。まるで違う現場のようなので、どんなバトルをするのかちょっとドキドキしますね(笑)。

-文の生涯についてどう思いますか。

  出会った人たちが次々と亡くなり、旦那さまもいなくて、女の城に入り、そして夫の血を継ぐ子どもが現れたかと思えば、義兄と再婚と、本当に波瀾(はらん)万丈なんです。でも文は人と出会うことでいろんなことを吸収して成長していった人なのだと思います。

-井上さんご自身は文のどこが好きですか。

 相手を信じ切るのはすごく勇気や覚悟の要ること。その点、文の愛する人を信じる気持ちの強さはやはりすごいなと思います。

-頑張りを支えてくれるものは?

  例えば人で傷つくことはありますが、救ってくれるのも人。人の言葉や共演者の花燃ゆへの思いを聞くと救われますし頑張れます。めげてはいられないなと。甘い物には毎日頼っていますけど(笑)

-今後の「花燃ゆ」を主役としてどう考えていますか。

  なぜ文という無名の人を主人公にしたのか。ここから意味が出てくると思います。時代に翻弄(ほんろう)されながらも生き抜く強さが、「花燃ゆ」を見ている人たちへの勇気や励ましにつながればうれしいです。いろんな人の死があって、悲しいシーンが続きますが、それは避けられないこと。やるからには希望をちゃんと描いていきたいですし、吉田松陰の魂を引き継いで生きていくたくましさや強さを視聴者の方へ伝えたいですね。いろんな人の思いを背負って毛利家の奥御殿へあがりますが、その文の生き方は、通常の幕末物にはないものが描かれていくと思います。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

上白石萌歌「小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います」『トリツカレ男』【インタビュー】

映画2025年11月11日

 何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペ(声:佐野晶哉)は、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれている。ある日、ジュゼッペは、公園で風船売りをしているペチカに一目ぼれし、夢中になるが…。作家・いしいしんじの同名小説を … 続きを読む

八木莉可子「相反する二面性をどちらも大切にしたい」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」【インタビュー】

ドラマ2025年11月10日

 草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む

目黒蓮が抱いた“継承への思い” 妻夫木聡、佐藤浩市から受け取った“優しさ”と俳優としての“居住い” 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」【インタビュー】

ドラマ2025年11月9日

 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」への出演発表時、“物語の鍵を握る重要な役どころ”という情報のみだった目黒蓮演じる謎の人物。そこから約2カ月、11月2日放送の第4話でようやくその正体の一端が解禁された。男の名は中条耕一、佐藤浩市演じる山王 … 続きを読む

堤真一、三宅唱監督「実はこういうことも奇跡なんじゃないのということを感じさせてくれる映画だと思います」『旅と日々』【インタビュー】

映画2025年11月6日

 三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

Willfriends

page top