【花燃ゆインタビュー】麻生祐未「自分の子どもだけはなんとしても助かってほしいと思っていたのでは」 吉田松陰と共に密航を企てる金子重輔の母、金子ツル役

2015年2月1日 / 08:23

 NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、吉田松陰(伊勢谷友介)の弟子、金子重輔(泉澤祐希)の母・金子ツルを演じている麻生祐未。ツルは夫と共に染物屋を切り盛りするしっ かり者で、深い愛情を持って重輔を育てていたが、松陰の思想にのめり込んだ重輔は黒船に乗り込むのに失敗して獄中で衰弱していく。コミカルな役柄から優し いお母さん役まで幅広い演技を見せる麻生が、激動の時代に最愛の息子を奪われたツルの悲痛な思いを語る。

 

金子重輔の母、金子ツル役の麻生祐未

-井上真央さんの演技はいかがですか。

  とてもかわいい人ですね。今の前向きな文(ふみ)さんにぴったりです。エネルギーがあふれているオーラがあって輝いている感じがします。

-重輔役の泉澤さんはいかがですか。

 泉澤さんは時代劇も現代劇も似合う人。とても真面目な人で、重輔はぴったりな役です。重輔は常に一生懸命ですから。ああいう時代に何かすがるものが見つかると、他は見えないようにしないと自分を貫けないのかもしれません。誇りに思う部分もありますが、やはり悲しみの方が大きいですね。子どもが死んでもいいと思う人は誰もいない。自分の子どもだけはなんとしても助かってほしいと思っていたのではないでしょうか。

-大河ドラマは、「武田信玄」以来ですね。

 そうですね、ずいぶん前です。あの時はちょっとお邪魔する感じでしたが、今回はスタッフも知っている人がいるし、監督も連続テレビ小説「カーネーション」でご一緒した方なので、あまり構える感じではなくて、和やかな現場です(笑)。

-今回の大河のテーマでもある女性の生き方について感じることは?

  情報がない時代ですから、自分に近い人をどれだけ信じられるか。そういった信頼関係が大事だっただろうと思います。当時の女性も男の人と同じぐらい命懸けだったと思います。激動の時代の人は、毎日毎日必死で自問自答しながら生きていたと思います。

-台本を読んでみてドラマ全体の印象はどうでしたか。

  話し合ってみんなで考えようというパワーを感じました。それはいつの時代にも通じること。一人一人が頑張って人間性を磨いて成長していこうというのは良いことだ、というテーマが貫かれている印象を受けました。

 -今後共演を楽しみにしている人は?

  伊勢谷友介さんは初めてです。声がとってもすてきで、リーダーとして引っ張っていくエネルギーのある人だと思いました。それと、獄の管理をしている田中要次さんは「サラリーマンNEO」(2010年のシーズン5)で一緒にコントをやっていた間柄です。

-歴史物を演じるに当たって気を付けていることはありますか。

 実在の人を演じるのは難しい。責任もありますし。でも時代劇は好きですね。「型」があるのが面白い。着物や所作とか制限がある中で、現代物とは違う動きができますので。

-衣装についてはいかがですか。

  染物屋をやっている設定なんですが、草履まで藍色に染まっていて、服も普段から着てみたいと思うぐらいすてきな感じでした。実際、身に着けてみて思ったのは、ツルさんは仕事に誇りを持っていた人なんだろうなということ。子どもたちも商売を手伝っていたし、将来は子どもたちと一緒にやっていくと思っていたはずなので、重輔のことは残念です。

-印象的なシーンは?

 文さんと一緒に荒々しい海のそばでおにぎりを食べるシーンかな。それと最後にうそをついて別れるシーンがあるんです。文さんが「きっと(息子さんに)会える日が来ます」ってかわいい笑顔で私に言うシーンなんです。そこが一番印象に残っていますね。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、ついに『アンパンマン』の誕生にたどり着いた。 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

 中山優馬が主演する舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~が10月10日に再始動する。本作は、天藤真の小説「大誘拐」を原作とした舞台で、2024年に舞台化。82歳の小柄な老婆が国家権力とマスコミを手玉に取り、百億円を略取した大事件を描く。今 … 続きを読む

Willfriends

page top