【花燃ゆインタビュー】井川遥「知的好奇心が強かったからこそ、獄の中で松陰と交流できたんだと思います」 吉田松陰が心を通わせた高須久子役

2015年2月8日 / 08:12

 NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、吉田松陰(伊勢谷友介)が投獄された萩の野山獄にいた囚人、高須久子を演じている井川遥。名門の生まれで、婿を取って子も産んだが、夫を亡くしてから歌舞音曲に入れ込むなどの振る舞いが問題視され、親戚に強制的に投獄された。井川が、松陰が思いを寄せた唯一の女性との説もある久子の秘めた思いを語る。

 

高須久子役の井川遥

-オファーがあったときのお気持ちは?

 とてもうれしかったですね。

-今回は舞台が獄中で、しかもただ一人の女囚です。

 (久子は)本来は慈愛に満ちた人なんじゃないかなと思っています。「慎みを欠いた振る舞い」を理由に獄に入れられたわけですが、それも時代によって価値観が変わってきますから。彼女は獄が取り壊される時まで、自分の意思では獄を出なかった。そこまで厳しく自分を律するというのはどんな気持ちからだったのかというところを、いろいろ勉強しているところです。

―牢獄のセットはいかがでしたか。

 獄中はかなり無機質な所だと思っていましたが、中庭からの木漏れ日がきれいで、居心地はそんなに悪くなかったです(笑)。

―久子という人物のことを知って、どう思いましたか。

  松陰が、プラトニックにしても実際に恋心を寄せた女の人がいたというエピソードは知りませんでした。久子が晩年に残したものにも、恋に似たような表現があるということですし、すごくロマンチックですね。本来、高須久子という人の知的好奇心がとても強かったからこそ、こういう交流が獄の中で行われていたんだなと思いました。

―松陰の妹で主役の文を演じる井上真央さんはどんな印象ですか。

 好奇心が旺盛でエネルギーがあり、人懐っこくて人のために何かしたいという文の人物像は、井上さん自身が醸し出すものと同じだと思います。

―伊勢谷友介さんはいかがですか。

 松陰のように知的で、お話好きな人ですね。お会いするのは久しぶりだったのですが、すっと自然に話ができました。人を引き付ける力がある方だと思います。

―久子役は女性の部分と母の部分を演じ分ける必要がありそうですね。

 自分では胸からあふれるものがありつつ、それを抑えるというようなことができればと。演じ分けるというよりも、そこで感情が思わず出てしまうということでいいのかなと思っています。

―「花燃ゆ」の見どころはどういうところだと感じていますか。

 幕末物というのは維新で時代を変えた男たちを描くことが多いと思うのですが、文の目線で描くと分かりやすいですし、男たちのエネルギーだけではなくて、家族愛や友情も含めた人間ドラマとしても楽しめる作品になっているのではないでしょうか。

―ドラマの舞台となる萩には行ったことがありますか。

  デビュー当時、キャンペーンで回った時に、山口の方々に良くしていただいたので、すごく思い出に残っています。遠縁の親戚もいまして、先日も収穫したお米が届いたところなんです(笑)。

―久子は軸がぶれない人という感じがしますが、井川さん自身はいかがですか。

 何テークか撮影するときも、良い意味で慣れていきたくないと思っていて、テークごとに一度真っさらにして演じていけるといいなと思っています。

―たくさんの共演者がいるのは大河ならではですね。

 これだけたくさんの俳優の方が一堂にいて、そして物語に従ってそれぞれの役柄の人間関係が変化していく。それをこれだけ月日をかけて作っていけるのはとても楽しみです。学ぶべきことがたくさんあります。それとやっぱり、井上さんの女優としてのあり方を見ていてとても魅力的だと思ったので、近くでお芝居できるのが楽しみですね。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

 元禄時代に実際に起こった仇(あだ)討ちを題材に歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作「忠臣蔵」が、上川隆也主演、堤幸彦演出によって舞台化される。今回、吉良上野介を演じるのは、高橋克典。高橋はデビ … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。謎の絵師“写楽”が、蔦重の下で歌麿(染谷将太)ら当 … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

Willfriends

page top