【吉原裏同心 インタビュー】野々すみ花、元宝塚のトップ娘役が遊女の頂点に  「薄墨太夫は人のために生きられる女性」

2014年7月8日 / 18:10

 6月26日からスタートしたNHK木曜時代劇「吉原裏同心」で、吉原3千人の遊女の頂点に立つ薄墨太夫を演じる野々すみ花。2009年に宝塚歌劇団宙組のトップ娘役に就任、12年に退団してからは、女優として舞台、テレビなどで幅広く活躍している。

 原作は佐伯泰英氏の同名小説。江戸の遊郭・吉原を陰で守る神守幹次郎と妻・汀女が遊女たちに舞い込む事件を情愛を持って颯爽と解決していく痛快時代劇。

 野々にとって初の連続ドラマ出演となる本ドラマに対する思いを語ってもらった。

初の時代劇で薄墨太夫を演じる野々すみ花

 

- 初めて連続ドラマに出演した感想はいかがでしたか?

 連続ドラマも初めてでしたし、時代劇も初めてで、テレビの世界ではまだ新人です。時代劇はずっと憧れで、いつか挑戦したいと思っていましたが、こんなに早く時代劇に出演できるとは思っていなかったので、とてもうれしいのと同時に緊張しています。しかも太夫の役ということで、とんでもないことになってしまったなと(笑)。でも、自分にできる限りのことをやりたいと思っています。

 

-宝塚時代はトップ娘役、今回の薄墨太夫も頂点に立つという点では同じですが、何か共通するものはありますか?

 遊郭も宝塚も外から見ると華やかな世界ですが、そこには光と陰があります。そこに至るまでの努力も必要ですし、自分の大切な何かを犠牲にしても、その世界に全てを懸けるという覚悟も必要だと思います。その点はとても共感できます。女性として大変な決断をし、人のために生きられる強さと誇りを併せ持つ太夫はとてもすてきです。

 

-日本舞踊の花柳流の名取でもいらっしゃいますが、どのような役作りをされましたか?

 昨年末に名取を取らせていただいたのですが、その直後にこの役をいただき、何かご縁のようなものを感じました。ただ太夫の所作は日本舞踊の動きとはちょっと違い、しなだれかかるような、しなやかさを表現しなければなりません。最初のころは、まず江戸時代の女性の暮らし方を体で覚えようと自宅でずっと着物で過ごしたりもしましたし、太夫の曲線の美しさを研究するために浮世絵画もたくさん見にいきました。時代劇のDVDも見ましたし、書道や…いろいろな習い事にも通いました。

 

-共演した小出恵介さん(神守幹次郎)、貫地谷しほり(幹次郎の妻・汀女)さんはどのような印象でしたか?

 小出さんは、とても穏やかな方です。肩の力が抜けていて、小出さんがいらっしゃるだけで場の雰囲気がなんだか和む気がします。それにいろんなことをさりげなく教えてくださるんです。例えばあるとき助監督さんが「白味を挟みます」(芝居の途中で回想などのカットを挟むシーンを撮るとき、その分の間を空けること)とおっしゃったのですが、私が意味が分からずあたふたいていると、小出さんがそれを察して、丁寧に教えてくださったり。貫地谷さん演じる汀女さんは遊女たちの手習いの師匠でもあり、現場でもいつも笑顔でいらっしゃってムードメーカーのような存在です。小出さんと貫地谷さんお二人は、何も会話をしていないのに同じ空気感があり、信頼し合っている関係がこちらにも伝わってきて本当の夫婦のようで、とてもすてきです。

 

-今後の見どころを教えてください。

 吉原という浮世離れした世界の中で幹次郎さんと汀女さんというピュアな人々が、明るく生きていこうとする姿、そして薄墨太夫の人のために生きられるという真の強さ、そこを見ていただけたらきっと勇気をもらえると思います。たくさんの方に楽しんでいただきたいです。

 

 ドラマはNHK総合テレビで毎週木曜午後8時から。全12回。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

 グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む

毎熊克哉「桐島が最後に何で名乗ったのかも観客の皆さんが自由に想像してくれるんじゃないかと思いました」『「桐島です」』【インタビュー】 

映画2025年7月3日

 1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を、高橋伴明監督が映画化した『「桐島です」』が、7月4日から全国公開される。本作で主人公の桐島聡を演じた毎熊克哉に話を聞いた。 -桐島 … 続きを読む

磯村勇斗&堀田真由、ともにデビュー10年を迎え「挑戦の年になる」 ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」【インタビュー】

ドラマ2025年7月2日

 磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少 … 続きを読む

蓮佛美沙子&溝端淳平「カップルや夫婦が“愛の形”を見直すきっかけになれたら」 グアムで撮影した新ドラマ「私があなたといる理由」【インタビュー】

ドラマ2025年7月1日

 ドラマ「私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間~」が、7月1日からテレ東系で放送がスタートする。本作は、グアムを訪れた世代が違う男女3組のとある1週間を描いた物語。30代の夫婦(蓮佛美沙子、溝端淳平)、20代の大学生カップ … 続きを読む

風間俊介「横浜流星くんと談笑する機会が増えてきたことがうれしい」蔦重と和解した鶴屋喜右衛門役への思い【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年6月29日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。6月29日放送の第25回「灰の雨降る日本橋」では、浅間山の噴火によっ … 続きを読む

Willfriends

page top