小出恵介、「吉原裏同心」で時代劇初主演 「演じながら人間性を矯正されている」

2014年6月27日 / 18:17

 NHKの木曜時代劇「吉原裏同心」に出演する俳優の小出恵介がインタビューに応じ、時代劇初主演の感想と手応え、稽古を積んで挑んだ本格的な殺陣について、さらには今後の時代劇出演についての意欲を語った。

 本作で小出が演じるのは、かつて豊後岡藩の下級武士だった神守幹次郎。幼なじみの汀女(貫地谷しほり)が夫から乱暴を受けているのを見かねた幹次郎は、汀女と共に故郷を飛び出し、江戸の吉原に流れ着く。薩摩示現流の使い手である幹次郎は、正義感の強さと剣の腕を見込まれて吉原の自警組織“四郎兵衛会所”で裏同心として働くことになる。

薩摩示現流の使い手、神守幹次郎を演じる小出恵介

-ドラマの話を最初に聞いたときの印象とやってみようと思った決め手を教えてください。

  最初は正直なところ「まいったな。とても無理だ」と思いました。でも、時代劇には早めに挑戦してみたかったし、立ち回りも自分の体が動けるうちにやっておきたいと思っていたので、これはいい機会だと思って飛び込みました。

-撮影に入る前に参考にした作品はありますか。

  三船敏郎さん、仲代達矢さん、勝新太郎さんなど、立ち役の方に注目しながらいろいろな映画を見ました。ところが皆さんのスタイルがまるで違ったので、結局「何でもありなんだ」、「自分なりの立ち役の在り方を見つければいいんだ」というところに行き着きました。それが時代劇の立ち役の醍醐味(だいごみ)なんだと思うと逆にテンションが上がりました(笑)。

-先生についての殺陣の稽古のほかに個人的な練習はしましたか。

  “手に付く”という感覚を身に付けたいと思ったので、劇用の刀を家に持って帰って触ったり、撮影の空き時間にも常に触るようにしていました。実際には本番をこなすことが何よりも成長につながります。稽古でやったことも本番を終えるとまた違った形で上達したことが実感できます。今まではそれを積み重ねてきた感じです。今でも週に1~2回は稽古をしています。殺陣をすると今まで使ったことのない筋肉の疲労や体のだるさは感じますが、やればやるほど本当に楽しいです。

-現代劇と時代劇とでは演じ方に違いはありますか。

 時代劇は現代劇と比べるとリアリティーの置きどころがないので、やっぱり違うと思います。それに現代劇を演じる場合はどこかに逃げ場がつくれますが、僕は時代劇については何も知らないし自分の中で何の手だてもないので難しい。だからこそ思い切って飛び込みたいと思いました。武士の生き方や言葉遣いを崩すのではなく、自分から近づいていきたいと思ってやっています。

-ご自身の役どころをどう捉えていますか。

 名前が“幹次郎”というぐらいですから、正統派時代劇の立ち役という感じの性格で、真っすぐでたくましい人です。今まではこういう役をほとんどやってこなかったので、最初は幹次郎の“核”を見つけるのが大変でした。でもこの役は、細かいことをいろいろと考えてやる役ではないと気付きました。今は自分の中にある恥ずかしさや照れ、自信のなさを克服すれば、とても楽しく演じられる気がしています。幹次郎は頭のてっぺんから足の爪先まで正しく真っすぐな人なので、自分とはだいぶ性格が違いますが、そこがいいですね。幹次郎を演じることによって、自分もポキポキと補正されているみたいです。人間性の矯正ベルトみたいな感じで(笑)。

-小出さんから見た時代劇の魅力や時代劇に対する思いを教えてください。

  悪いやつをどんどん成敗していくというストーリーなのですごく魅力があると思います。見ている方も思い切って(ドラマに)酔えばいいのかなと思います。僕はよく歌舞伎を見に行きますが、それに近い感覚です。登場人物も悪いやつは気持ちいいぐらいに悪いし、いいやつはあくまでかっこいいところが魅力です。気持ちよくてあっぱれという展開も魅力の一つかなと思います。

-このドラマは、新たな時代劇のスターが成長していく姿を見る“時代劇版の朝ドラ”という感じもしますが。

  最初は、やらなければいけないことをこなすだけで精いっぱいでしたが、今はあまりいろいろなことを意識せず、自然にその場にいられるようになりました。慣れたこともありますが、自分の主体性みたいなものが演技の中に出せるようになってきました。言葉遣いも、最初からナチュラルにしゃべるよりは硬い方がいいと思っていました。自分で言うのも恥ずかしいんですけど、下手くそが頑張ってそれっぽくやっている方が、見ている方には気持ち良く映るのかなと思いました。

-今後も時代劇には継続して出てみたいという思いはありますか。

  まだ撮り終わっていないので、自分の中ではまだまとまっていないんですけど、感覚としては(時代劇は)素直に楽しいです。違う作品や違うチームでやるとまたいろいろと勝手が違ってくるとは思いますが、今回に関しては非常に楽しくやらせてもらえたなと思っています。

 ドラマはNHK総合テレビで6月26日午後8時から毎週木曜オンエア。全12回。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

二宮和也「子どもたちの映画館デビューに持ってこいの作品です」『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY』【インタビュー】

映画2025年5月17日

 テレ東系で毎週月~金、朝7時30分から放送中の乳幼児向け番組「シナぷしゅ」の映画化第2弾。番組のメインキャラクター「ぷしゅぷしゅ」と相棒「にゅう」が、バカンスで訪れた「どんぐりアイランド」を舞台に繰り広げる冒険をオリジナルストーリーで描き … 続きを読む

【週末映画コラム】異色ホラーを2本 デミ・ムーアがそこまでやるか…『サブスタンス』/現代性を持った古典の映画化『ノスフェラトゥ』

映画2025年5月16日

『サブスタンス』(5月16日公開)  50歳の誕生日を迎えた元人気女優のエリザベス・スパークル(デミ・ムーア)は、容姿の衰えによってレギュラー番組を降ろされたことから、若さと美しさと完璧な自分が得られるという、禁断の再生医療「サブスタンス= … 続きを読む

新原泰佑、世界初ミュージカル化「梨泰院クラス」に挑む「これは1つの総合芸術」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年5月16日

 世界中で大ヒットを記録した「梨泰院クラス」が、初めてミュージカル化される。主人公のパク・セロイを演じるのは小瀧望。日本・韓国・アメリカのクリエーターが集結し、さまざまな人種が混じり合う自由な街・梨泰院で権力格差や理不尽な出来事に立ち向かう … 続きを読む

グレッグ・ターザン・デイビス「とにかく、ただ純粋に面白い映画を撮ることだけが、自分たちに与えられたミッションでした」『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』【インタビュー】

映画2025年5月15日

 トム・クルーズ主演の大ヒットスパイアクション「ミッション:インポッシブル」シリーズの第8作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』が、5月23日の公開に先駆けて17日から先行上映される。前作『ミッション:インポッシブル/デッ … 続きを読む

研ナオコ、認知症のおばあちゃん役で9年ぶりの映画主演「主演女優賞を狙ってます(笑)」岡﨑育之介監督「研さんの人生の奥行きがにじみ出た」『うぉっしゅ』【インタビュー】

映画2025年5月12日

 人生に迷いながらソープ嬢として働く若い女性・加那と、彼女に介護されることになった認知症の祖母・紀江の交流を明るくポップなタッチで描いたユニークな映画『うぉっしゅ』が絶賛公開中だ。  本作で、加那を演じる若手注目株の中尾有伽と共に、紀江役で … 続きを読む

Willfriends

page top