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物事は、ある程度加速がつき、歯車がスムーズに回り始めれば、少ないエネルギーで進んでいくようになりますが、スタートするときは膨大なエネルギーが必要です。この作品もそういう過程を経て、ようやく彼が笑顔を見せられるようになったのかと思うと、ストイックに見えた最初の頃は、想像を絶するエネルギーを使っていたんだろうなと。そう考えると、今の彼の笑顔を守りたい。そのためには、僕も全力で取り組まなければ、と思います。
「ないものねだり」は、誰にでもあるものだと思うんです。だから、僕自身は自分の中でそれを許容するようにしています。自分にないものを持つ誰かをうらやましく思う。ということは、きっと他の誰かも僕をうらやましく思っているときがあるはず。そう考えれば、“お互いさま”ですよね。お互いさまだから、自分にできることをやるしかない。ただし、特定の人をうらやましがると、その人に固執しかねないので、みんなをうらやましく思うようにして、特定の誰かを妬む気持ちを生まないように心がけています。
だからといって、自分のやったことに対して「よくやったな」という“誇り”みたいなものが、ないわけではないんです。でも、それを誇示するつもりもなくて。むしろ、やや軽く見られるくらいでもいいのかなと。それでも、ひとつひとつ積み重ねてくると、「風間さんみたいなやり方、すごいですよね」と褒めてくださる方もいるので、ありがたく思いながら、その褒め言葉をむさぼるように、血肉に変えてやっています。
僕が育ったのは、通っていた中学校のすぐそばに江戸東京博物館があり、道を歩けば線路沿いの壁に街を彩るアートとして浮世絵が描かれているような環境でした。劇中にもなじみ深い地名がたびたび登場しますし、放送後の「べらぼう紀行」でも、よく知る場所が紹介されるたび、そんな歴史的な場所だったのかと驚くばかりで。今まで当たり前に見ていたもののすごさを、改めて実感しているところです。僕は地元愛の強い方だと思っていますが、それは自分が育った土地だから、というだけで、これまでルーツについてはあまり考えたことがなかったので、この作品が故郷を知るいいきっかけになっています。
今まで2人はライバル関係でしたが、これからは“仲間”という形に変わっていきます。
そうですよね(笑)。といっても、鶴屋がコロッと変わるわけではありません。例えば、蔦重が「何かを始めたい」と言ったとき、「蔦重のやりたいようにやればいいよ。応援するから」というのが歌麿(染谷将太)だとすれば、「気持ちはわかりました。でも、気持ちだけでできるんですかね?」といった感じで、耳の痛いことを言うのが鶴屋です。それでも、必要なことは教えるし、「そのために私はこれをやりましょう」と協力もする。そんなふうに、今までの鶴屋らしさは残しつつ、仲間と感じていただけるようになると思います。そこが森下(佳子)さんの脚本のすてきなところだと思いながら、僕も楽しく演じているところです。ぜひ楽しみにしていてください。
(取材・文/井上健一)
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