尾美としのり 演じる平沢常富の活躍に「“さがせ”の頃の方が面白かった、と言われないか心配です」【「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

2025年3月23日 / 20:45

(C)NHK

-平沢は、“宝暦の色男”とも呼ばれていますね。

 演じるにあたって、そこをどう捉えるべきか、「吉原に通い慣れていて、遊び方がキレイな人」と僕は解釈しています。とはいえ、自称らしいので、そうすることで女郎や花魁に楽しんでもらい、それを自分も楽しんでいるのかなと。そういう遊び方ができるという意味で、“色男”なのかなと思っています。

-第12回では吉原で行われた“俄祭り”に関連し、早速、蔦重の依頼を受けて「明月余情」の序文を執筆していました。

 “俄祭り”をすてきな言葉で表現した上、本人の人柄もにじみ出た見事な序文で、文才のある人だったんだなと。人柄といえば、「どうだろう、まあ」という口癖にも、物事をはっきりさせない平沢の人柄がよく表れているので、お気に入りです。

-俄祭りのシーンは撮影も大規模だったそうですね。

 伊藤(淳史/大文字屋市兵衛役)さんと本宮(泰風/若木屋与八役)さんが火花を散らして戦っていて、今風に言えば“ダンスバトル”ですよね。皆さんかなり練習を積まれたらしく見事な踊りでしたし、大河ドラマらしいスケール感と忠実な再現度で、視聴者の皆さんも楽しめたのではないでしょうか。僕も現場で、平沢として楽しく見物させていただきました。吉原でこういうお祭りが行われていたと知ることができたのも、面白かったです。

-平沢を演じる上で、どんな準備をしていますか。

 江戸ことばになじむように、現場の行き帰りなど、時間をみつけて廓話を中心に落語を聞くようにしています。「ひ」が「し」になったり、「らりるれろ」が巻き舌気味になったりするのも江戸ことばの特徴なので、せりふを言うときはその辺も気を付けています。また、時代劇ということで、撮影のときはふんどしを着用するようにしています。ふんどしなら、下着のラインが出る心配もありませんし、万一、下着が映っても問題ありませんから。20代の頃、時代劇でご一緒した中村吉右衛門さんから、ふんどしを着用しているとお聞きして以来、僕も見習っているんです。だから、時代劇に出演すると、自宅の物干し場にふんどしがひらひらとはためくことになります(笑)。

-これから平沢は蔦重に協力していくようですが、蔦重役の横浜流星さんの印象はいかがですか。

 とても真面目な青年で、気持ちよく、いい刺激を受けながら、楽しくお芝居しています。驚いたのは、運動神経のよさです。第2回で、僕が「源内先生!」とあいさつした直後、蔦重が「平賀源内先生だったんですか?」と座敷に駆け込んでくるシーンで、演出の大原(拓)さんから「正座で滑り込んでみて」と現場で急に指示されたんです。にもかかわらず、正座のままスーッと滑り込み、源内の前でピタッと止まって。それを一発でかっこよく決めた様子を見て、すごいな、と。

-今回は還暦の60歳を迎える節目の年の大河ドラマ出演ということで、意気込みをお聞かせください。

 還暦はまったく意識していません。還暦と言えば、落ち着いた大人のイメージがありますが、まだまだ自分はその域に達していませんし。ただ、若い頃から大人に憧れ、そば屋でお酒を飲んだりしていたのですが、そういうことが肩肘張らなくても自然にできる歳になったのかなと。それが、還暦ということなのかもしれません。でも、それを意識して妙に意気込むのも変ですし、頑張る姿は人に見せるものでもありませんから、今まで通りやっていくつもりです。でも、そう言われたら、きっと頑張ってしまうんでしょうね(笑)。

(取材・文/井上健一)

(C)NHK

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】8月の公開映画から

映画2026年9月4日

「ミニオンズ&モンスターズ」(8月7日公開)★★★ 映画のパロディーが満載  最強最悪のボスを求めて旅を続けるミニオンズがたどり着いたのは、1920年代のハリウッド。西部劇の撮影に乱入したことから映画スタジオに入り込み、人気スターと … 続きを読む

山口馬木也 柴田勝家の最期は「不思議な体験でした」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年8月30日

-劇中では、秀長と秀吉に対する「認めたくないが、認めざるを得ない」という勝家の複雑な心情が見事に表現されていました。秀吉役の池松壮亮さんとのお芝居はいかがでしたか。  仲野太賀さんと池松壮亮さんは、周囲に対する気配りを欠かさない素晴らしい俳 … 続きを読む

パク・ジョンミン「一人二役は想像以上に大変でした」韓国のヒットメーカーが「ガス人間」に続いて送り出すサスペンス・ミステリーで熱演『顔 -かお-』【インタビュー】

映画2026年8月28日

-劇中ではそんなご苦労を感じさせない名演でした。  実は、最初にオファーをいただいたのは、ドンファン役だけだったんです。でも、脚本が面白かったためについ欲が出てしまい、僕の方から「ぜひヨンギュもやらせてください!」とヨン監督にお願いしたんで … 続きを読む

【映画コラム】「生き残る」とは何か『ラスト・サバイバー』『シェルター』が描く極限の人間ドラマ

映画2026年8月28日

『シェルター』(8月28日公開)  スコットランド沖の孤島に建つ灯台を隠れ家にして、愛犬と共にひっそりと暮らす元特殊部隊員マイケル・メイソン(ジェイソン・ステイサム)。  ある日、週に一度、叔父と共に船で生活物資を届けに来る少女ジェシー(ボ … 続きを読む

安田章大「僕が演じられたのは、のんちゃんのおかげ」のん「安田さんとの出会いは衝撃でした」自閉スペクトラム症の兄とその妹役で初共演『平行と垂直』【インタビュー】

映画2026年8月28日

-お二人の息の合った現場の様子が伝わるすてきなお話です。劇中でも本当の兄妹のようで、初共演とは思えませんが、撮影中、お互いの共通点を感じたことはありますか。 安田 のんちゃんは、何かを伝えようとするとき、自分の言葉でこんなふうに伝えたいと、 … 続きを読む

page top