エンターテインメント・ウェブマガジン
「ウィキッド」のミュージカルを見た後で見ました。80年以上も前の映画ですけど、あの時代にこのセットで、この演出でやったのがすごいなと。そこに魅力を感じました。今回の映画は最先端の技術とアナログなセットが混ざっていて、昔の『オズの魔法使』ではできなかったようなことをCGなどを織り交ぜてやっていると感じました。
この映画はエルファバを通して、自分で自分を認める。誰に何と言われようとも、自分の信じる道や信念を貫く。たとえ世界中から後ろ指をさされても、悪い魔女と言われようとも、自分の信じる正義を貫くことを描いていると思います。だから、自分の思っていることを声に出せなかったり、何かもどかしい気持ちになっている方たちには勇気を届けられる話だと思います。一方、グリンダは、自分の信念や正義を、ちょっと折り曲げて解釈している部分があって、それもまた今を生きる私たちに近いものがあると思います。そんな2人の対照的なところが大好きだし、何よりそれを女性が主役で演じている、作られていることに時代の最先端だと感じます。
どのシーンもすてきで素晴らしかったんですけど、特にほかのミュージカルとは違うと思ったのが、フィエロ(ジョナサン・ベイリー)がソロで歌うシーンの演出で、胸がときめきました。それから、ミュージカル舞台のバージョンだと、エルファバが空を飛んだりするところはありますが、シズ大学の仕掛けはあまりないんです。だからこの映画では『ハリー・ポッター』のような感じもあって、そんなところを見て楽しめるのもすごいと思いました。
最近ミュージカル映画のヒット作が多いと思いますが、この映画のすごいところはメッセージ性だと思います。ミュージカル映画は、華やかさや、歌がすごい、ダンスがすごいという印象で終わってしまうこともあると思いますが、この映画にはそれを超えたメッセージ性があります。例えば、エルファバの緑の肌や話をする動物たちの姿を通して、いろいろな差別的なことや、世の中の課題を抽象的に描いています。おとぎ話の延長線上的な感じで、どんな役にも感情移入できるところが、この映画の素晴らしさだと思うので、見に来ていただけたら、そうしたことを感じ取っていただけると思います。
(取材・文・写真/田中雄二)
(C)Universal Studios. All Rights Reserved.
映画2025年3月14日
『プレゼンス 存在』(3月7日公開) 崩壊寸前の4人家族が、ある大きな屋敷に引っ越してくる。10代の娘クロエ(カリーナ・リャン)は、家の中に自分たち以外の何かが存在しているように感じる。 “それ”は一家が引っ越してくる前からそこにいて、 … 続きを読む
映画2025年3月11日
3月2日(日本時間3月3日)に行われた映画の祭典・第97回アカデミー賞は、『ANORA アノーラ』(公開中)が作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞、編集賞の5冠に輝き、旋風を巻き起こした。6部門ノミネートで助演男優賞を除く5部門受賞という結 … 続きを読む
ドラマ2025年3月9日
-瀬川の切ない気持ちが伝わってきて、胸打たれるシーンでした。 しかもその直後、「俺がお前を幸せにしてぇの!」と、思ってもいなかった言葉が蔦重の口から飛び出して。その驚きとうれしさはありながらも、甘い雰囲気にならないところが、この2人らしい … 続きを読む
ドラマ2025年3月7日
-奥平大兼さんとの撮影時のエピソードを教えてください。 大兼と初めて撮影した日は、撮影の中で言葉を交わすのは一瞬だったのですが、絶対に仲良くなってやろうと思って、僕がグイグイ詰め寄って、その日に連絡先を聞きました。「御上先生」の教室で撮影 … 続きを読む
映画2025年3月7日
『35年目のラブレター』(3月7日公開) 65歳の西畑保(笑福亭鶴瓶)は、戦時中に貧しい家庭に生まれ、ほとんど学校に通えなかったこともあり、文字の読み書きができない。そんな保を妻の皎子(きょうこ・原田知世)が支えていた。 若き日、保(重 … 続きを読む