田村芽実「この映画のすごいところはメッセージ性だと思います」『ウィキッド ふたりの魔女』【インタビュー】

2025年3月11日 / 13:10

-「ウィキッド」の基は映画『オズの魔法使』(39)ですが、ご覧になりましたか。

 「ウィキッド」のミュージカルを見た後で見ました。80年以上も前の映画ですけど、あの時代にこのセットで、この演出でやったのがすごいなと。そこに魅力を感じました。今回の映画は最先端の技術とアナログなセットが混ざっていて、昔の『オズの魔法使』ではできなかったようなことをCGなどを織り交ぜてやっていると感じました。

-この映画を見ると、悪い魔女がかわいそうに見えてきます。それからジェンダー、女性差別、人種の問題など、いろんなメッセージも入っています。そこが新しい視点ですね。

 この映画はエルファバを通して、自分で自分を認める。誰に何と言われようとも、自分の信じる道や信念を貫く。たとえ世界中から後ろ指をさされても、悪い魔女と言われようとも、自分の信じる正義を貫くことを描いていると思います。だから、自分の思っていることを声に出せなかったり、何かもどかしい気持ちになっている方たちには勇気を届けられる話だと思います。一方、グリンダは、自分の信念や正義を、ちょっと折り曲げて解釈している部分があって、それもまた今を生きる私たちに近いものがあると思います。そんな2人の対照的なところが大好きだし、何よりそれを女性が主役で演じている、作られていることに時代の最先端だと感じます。

-完成版を見た印象を。

 どのシーンもすてきで素晴らしかったんですけど、特にほかのミュージカルとは違うと思ったのが、フィエロ(ジョナサン・ベイリー)がソロで歌うシーンの演出で、胸がときめきました。それから、ミュージカル舞台のバージョンだと、エルファバが空を飛んだりするところはありますが、シズ大学の仕掛けはあまりないんです。だからこの映画では『ハリー・ポッター』のような感じもあって、そんなところを見て楽しめるのもすごいと思いました。

-映画の見どころも含めて、これから見る観客や読者に向けて一言お願いします。

 最近ミュージカル映画のヒット作が多いと思いますが、この映画のすごいところはメッセージ性だと思います。ミュージカル映画は、華やかさや、歌がすごい、ダンスがすごいという印象で終わってしまうこともあると思いますが、この映画にはそれを超えたメッセージ性があります。例えば、エルファバの緑の肌や話をする動物たちの姿を通して、いろいろな差別的なことや、世の中の課題を抽象的に描いています。おとぎ話の延長線上的な感じで、どんな役にも感情移入できるところが、この映画の素晴らしさだと思うので、見に来ていただけたら、そうしたことを感じ取っていただけると思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

-治済に対する仇討ちのため、対立関係にあった蔦重と松平定信(井上祐貴)がタッグを組む展開にも驚かされると同時に、思わず胸が熱くなりました。 藤並 白河藩に戻った後の定信は、それまでとは打って変わって、大田南畝や山東京伝に本を書かせているんで … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

-戦場で、田丸が絵や漫画を描くことにどのような意味があったと思いますか。  功績係に任命された田丸には、もちろん何かを書き記すという使命感もあったでしょうが、いつ自分や仲間が命を落とすか分からない状況の中で、自分の世界の中で向き合えるものが … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  -雰囲気のいい現場だったようですね。  中でもしのぶさんは、「これはこういうことなのかな?」といった感じで、積極的に質問をされるんです。その上、「私、緊張しちゃう」などと、ご自身の気持ちを織り交ぜながら現場にいてくださるので、私も質問が … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  ―確かにその通りですね(笑)。  ただ、大半は史実通りですが、(小田)新之助(井之脇海)とふく(=うつせみ/小野花梨)ととよ坊の一家、序盤に登場した蔦重の恩人の花魁・朝顔(愛希れいか)など、一部に私が創作したオリジナルキャラもいます。と … 続きを読む

Willfriends

page top