村井國夫「ハリソン・フォードさん的には、レッドハルクに変貌するところが注目です」『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』【インタビュー】

2025年2月19日 / 12:15

 アメリカ大統領サディアス・ロスが開く国際会議でテロ事件が発生。それをきっかけに生まれた日本を含む各国の対立が、世界大戦の危機にまで発展してしまう。この混乱を食い止めようとするキャプテン・アメリカことサム・ウィルソンにレッドハルクと化したロス大統領が襲いかかる…。“正義の象徴”を受け継いだ新たなキャプテン・アメリカの物語『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』が2月14日(金)から日米同時公開となった。本作で米大統領ロスを演じたハリソン・フォードの日本版声優を務めた村井國夫に話を聞いた。

村井國夫 (C)エンタメOVO

-長い間ハリソン・フォード氏の吹き替えを担当されていますが、村井さんにとって彼はどのような存在ですか。

 僕が初めて吹き替えたのがハリソンさんでしたが、その時はこんなに長く続くとは思いもしませんでした。もう40年以上も一緒で、それこそ長い旅路になりました。ハリソンさんがお元気で、何年かに一度彼の吹き替えができることは、自分が健康で吹き替えができる状況にいられることも含めて大きな喜びです。『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(23)でシリーズを終えられたので、これで最後かなと思っていました。けれどもハリソンさんは生涯現役だとおっしゃって…。今回の映画ではちょっと考えられないような、ここまでやるかと思うぐらい吹っ切ってやっていたのが刺激的でした。こうして刺激を与えてくださるのは非常にうれしい気がしました。元気なハリソンさんを見ていると、自分も頑張らなくてはと思います。

-これまでいろいろな役のハリソン氏の声を吹き替えてきましたが、ご自分の中で印象に残っている映画はありますか。

 実は吹き替えをやったものよりも、やっていないものに対しての思いが強いんです。例えば、『刑事ジョン・ブック 目撃者』(85)は僕はやっていないんです。その悔しさがあります。だから「磯部(勉)め」と思ってね(笑)。それからインディ・ジョーンズの4作目の『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(08)も僕じゃないんです。ミュージカル仲間の内田直哉がやりました。だから1作目から3作目と5作目はやれたけど心残りだったんです。それを録り直してくださるというので、これでコンプリートできたなと思いました。そういうことが印象として残っています。昔はテレビ局によって吹き替える人が違ったりしたので、何本かできなかったものもあって、それが心残りでした。

-ハリソン氏はアクションとシリアスの両方ができる俳優ですが、村井さんはどちらの彼がお好きですか。

 それは甲乙つけがたいですね。やっぱり躍動するハリソンさんも見ていたいし、少し渋めの落ち着いた、年齢とともに変わってきた彼も好きですから、どちらが好きとは言えないです。でも、やっぱり動きのある方がチャーミングですよね。インディ・ジョーンズでショーン・コネリーさんと親子役をやった時(『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(89))はすてきでした。色気もあるし、ちょっとわがままなところもあって。お父さんとけんかするところは、相手が天下のショーン・コネリーですから。僕はコネリーさんが世界で一番すてきな俳優だと思っているぐらいなので、親子の声での共演でしたが、そうやってできたことはとてもうれしかったです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。謎の絵師“写楽”が、蔦重の下で歌麿(染谷将太)ら当 … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。これまで、いくどとなく視聴者を驚かせてきたが、第4 … 続きを読む

Willfriends

page top