大塚明夫「この世界で泳いでいたい」 山寺宏一「全て傑作、全て名作」プレミア音楽朗読劇 VOICARION XIX『スプーンの盾』【インタビュー】

2024年12月26日 / 08:00

 外画・アニメ・ゲームなどで数多くの代表作を持ち、渋みのあるボイスで聞く者を魅了する大塚明夫。声優としてだけでなく、ドラマや舞台、バラエティー番組まで、マルチに活躍する山寺宏一。そんな人気と実力を兼ね備えたベテラン声優の2人が、2024年12月28日から開幕するプレミア音楽朗読劇 VOICARION XIX(ヴォイサリオン 19)『スプーンの盾』に出演する。

 藤沢文翁が原作・脚本・演出を手がける「VOICARION」シリーズは、声優界・演劇界の豪華キャストが出演する贅沢な音楽朗読劇。再々演となる『スプーンの盾』は過去最多となる51名(65役)が出演。フランス革命のあと、皇帝ナポレオン・ボナパルトと料理の帝王と呼ばれたアントナン・カレームを軸に、料理の力で、血の一滴も流すことなくフランスを守った人々の世界一“美味しい”戦争の物語を描く。今回、初演からナポレオン役で出演し、本作からタレーラン役も演じる大塚と、前回からタレーラン役で出演している山寺に本作の見どころなどを聞いた。

大塚明夫(左)と山寺宏一 (C)エンタメOVO

-『スプーンの盾』が再々演となりますが、出演にあたって現在の心境は?

大塚 再々演ともなると、初出演の人と比べたら慣れているだろうという目で見られるのでちょっとプレッシャーではありますけど、ナポレオン役と今回は初めてタレーラン役もやりますので、初演時を思い出しながらワクワクしています。

山寺 僕は前回から参加で、またタレーランを演じることができてうれしく思っています。とにかく全体の出演者数と組み合わせがいくつあるんだろうという中で、それが一体どうなるのかも楽しみです。それから、明夫さんが僕のタレーランを気に入ってくれたみたいなのに、今回は明夫さんもタレーランを演じたいという話をしていて、どういうことかと思っています(笑)。

大塚 初演でナポレオンを演じさせていただいた時に、タレーランの最後の演説をやってみたくなったんです。それと、後輩が演じるタレーランが「おい、若造」と僕の演じるナポレオンに言うんですけど、僕を先輩として普段仕事をしてきた人からすごく言いにくいという声を聞いたので、それは気の毒だなと思ったから言う側に回ってみようかと(笑)。

-本作の魅力や面白さをどう感じていますか。

大塚 音楽朗読劇として生の音楽と絡み合いながら行く感じがとても楽しいです。役者が作ったものに音楽が加わるわけですけど、それが1足す1が2じゃなくて、3以上になる。セリフに音や音楽、効果音が入ることで空間が埋まっていくという感覚がとても楽しくて、この世界で泳いでいたいという感じなんです。

山寺 とにかく藤沢文翁作品というのは全て傑作、全て名作と思っています。なぜ毎回こんなに素晴らしい作品を書けるんだと驚かされます。その中でも『スプーンの盾』は、食をテーマにしていて、食で国を救うという題材がまず面白い。そして、現実で世界で戦争や紛争が激しくなっていて、そういう意味でも今やるべき作品なんじゃないかと感じています。

-演じる役の見どころは?

大塚 ナポレオンに関しては、戦争しか知らない戦争の天才というところです。軍人らしいナポレオンとしてだけでなく、リアルな1人の人間なんだという部分もちゃんと台本に書いてあってストーリーは綴られていくんですけど、書いてない部分がどうなっているのかというのを作るのが演じ手だと思っています。その中で、ナポレオンの勇ましさなんかじゃなくて、ダメさみたいなところをご覧になっていただきたいです。そこを感じていただけるとうれしいですし、皆さんが知っているナポレオン像があるでしょうけど、それよりもうちょっとナポレオンを好きになってくれるといいなと思っています。

山寺 どこがフィクションで、どこがノンフィクションなのか、これが藤沢文翁作品の特徴で、ナポレオンの腹心で天才外交官のタレーランは「裏切りのタレーラン」と史実で言われていて、彼が行った料理外交というのも本当にあった。でも、ナポレオンとどんな会話をしたのかというのは記録として残ってないわけなんですけど、この作品を見ると、実際はこうだったんじゃないかと感じさせられるんです。演出ノートに藤沢さんが「食えない男」と書いているんですけど、本音がどこにあるかよく分からなくて、うさんくさい感じでやってくれと言われています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

小泉堯史監督、松坂桃李「この話は、今だからこそちゃんと残す意義があると思いました」『雪の花 -ともに在りて-』【インタビュー】

映画2025年1月18日

 江戸時代末期の福井藩を舞台に、数年ごとに大流行して多くの人命を奪う疫病から人々を救うために奔走した実在の町医者・笠原良策の姿を描いた『雪の花 -ともに在りて-』が1月24日から全国公開される。本作の小泉堯史監督と主人公の笠原良策を演じた松 … 続きを読む

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第二回「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸』」魅力的な俳優陣が奏でる出色のアンサンブル【大河ドラマコラム】

ドラマ2025年1月17日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。1月12日に放送された第二回「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸』」では、主人公・蔦屋重三郎(横浜流星)が、吉原に客を呼ぶアイデアとして、ガイドブック「吉原細見」の序文の執筆を、有名 … 続きを読む

上白石萌音、プロ棋士を目指していた弁護士役で「初めて壁にぶち当たりました」 ドラマ9「法廷のドラゴン」【インタビュー】

ドラマ2025年1月17日

 女性初のプロ棋士誕生を期待されながらも弁護士に転向した主人公が、存続の危機にひんする弁護士事務所の若き所長とともに奔走するリーガルドラマ、ドラマ9「法廷のドラゴン」(テレ東系・毎週金曜よる9時放送)が、1月17日より放送スタートする。本作 … 続きを読む

【週末映画コラム】“お試し移住”の結末は…『サンセット・サンライズ』/ドナルド・トランプの若き日を描く『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』

映画2025年1月17日

『サンセット・サンライズ』(1月17日公開)  新型コロナウイルスのパンデミックにより日本中がロックダウンや活動自粛に追い込まれた2020年。東京の大企業に勤める釣り好きの西尾晋作(菅田将暉)はリモートワークをきっかけに、南三陸に見つけた4 … 続きを読む

イ・ジュニョン 強烈な悪役は「僕にとって大きな収穫でした」痛快アクションで存在感を発揮『勇敢な市民』【インタビュー】

映画2025年1月16日

 高校を舞台に元女子ボクシング王者の非正規教師と極悪セレブ生徒の対決を描いた痛快アクション『勇敢な市民』が1月17日に公開となる。  有力者の両親を持ち、教師の干渉すら許さない凶悪な生徒ハン・スガンに支配されたムヨン高校。正規雇用を目指す非 … 続きを読む

Willfriends

page top