「僕たちがこれだけいろいろと頑張ったんだから、とりあえず見てくれ」(笑) 山寺宏一、伊瀬茉莉也『ビートルジュース ビートルジュース』【インタビュー】

2024年9月26日 / 17:47

 ティム・バートン監督が、自身の出世作となった1988年の映画『ビートルジュース』の35年後を描いたホラーコメディー『ビートルジュース ビートルジュース』が9月27日から全国公開される。本作の日本語吹き替え版でビートルジュース(マイケル・キートン)を担当した山寺宏一と、アストリッド(ジェナ・オルテガ)役の伊瀬茉莉也に話を聞いた。

山寺宏一(左)、伊瀬茉莉也 (C)エンタメOVO

-もともと「ビートルジュース」にはどんなイメージを持っていましたか。また、今回吹き替えをしてみてどう感じましたか。

山寺 前作は声優としては全く関わっていませんが、ティム・バートンのヒット作というイメージと、マイケル・キートンが演じるビートルジュースのビジュアルが最初に浮かんで、ホラーコメディーってこういうものだなというのを感じさせる映画だと思いました。実際に吹き替えてみても、「ザ・ホラー・コメディー」だと思いました。

伊瀬 前作が公開されたのが1988年で35年前なのですが、私も1988年生まれなので、前作は自分が生まれた年に公開された映画なんです。作品自体は今回の出演を機に知りました。ティム・バートン監督は、35年前からぶれていないというか、表現したい世界観というものが、初期の頃から確立されていたんだと感じました。35年の時を経ての続編ということで、前作のヒロインだったリディア(ウィノナ・ライダー)がお母さんになって、その娘を演じさせていただけることがすごく光栄だと思いました。ジェナ・オルテガさんが演じたアストリッドというキャラクターには、思春期特有の内向的な部分もあるし、母親とうまくコミュニケーションが取れない葛藤を、みずみずしく、初々しく、表現されていたので、それを表現するのはちょっと難しかったですがとても楽しかったです。

-大ベテランの山寺さんにとっても今回の吹き替えは大変でしたか。

山寺 難しかったです。マイケル・キートンもだいぶ声を作ってやっているので、なるべくそれに寄り添うというか、自分のできる範囲で不自然にならない程度に、同じような発声でできればいいなと思いました。「ヤマちゃん、声を作り過ぎている」と思われるかもしれないけれど、字幕版を見たらマイケル・キートンもそういう声だからって先に言っておきたいです(笑)。それから、昔からのファンの方は、ビートルジュースの吹き替えは、西川のりお師匠のイメージを持っている方も多いと思います。でも、僕は僕なりに長い間吹き替えの仕事をやってきて、こういうふうにやったら皆に楽しんでもらえるんじゃないかなというアプローチでやっているので、のりお師匠みたいなことはできないけれど、声優として精いっぱい頑張りましたので、字幕版も吹き替え版も両方見ていただいて、皆さんに判断してもらいたいと思います。

-今回は“全身吹き替え”が話題になりましたね。

山寺 声の収録は別です。僕の場合は、まず特殊メークのためのかたどりをやって、その後に声を録って、録り終わった後にメークをして衣装をつけて撮影という。だから、「こういう扮装(ふんそう)をしたら役作りに役立ったんじゃないですか」って聞かれるけど、全く役立ってはいないです(笑)。かたどりに4時間、メークに5時間、撮影に3時間もかかりました。

伊瀬 私は普通の人間の役だったので、衣装を着て、メークをして、アストリッドとして、私も映画の一部に出るのかなぐらいな感覚でした。史上初の全身吹き替えということに、宣伝担当者の熱い思いや、作品に対する愛情みたいなものを感じて、一緒におみこしを担がせてくださいみたいな気持ちで、ノリノリでやらせてもらいました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

早見沙織「プレデターの新しい魅力をこの映画から感じていただけると思います」『プレデター:バッドランド』【インタビュー】

映画2025年11月19日

 未熟故に一族を追われた若きプレデターのデクは、生存不可能とされる最悪の地「バッドランド」に追放される。デクはその地で謎のアンドロイドの少女ティアと出会う。「プレデター」シリーズ中、初めてプレデター自身を主人公に据えて描いた『プレデター:バ … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】「ユミの細胞たち」の原作者、ウェブトゥーン作家イ・ドンゴン

インタビュー2025年11月17日

 韓国文化の“今”を再構築し続けるKカルチャー。今回は、デジタル空間で物語を紡ぐウェブトゥーンの世界に焦点を当てる。平凡な会社員ユミの頭の中で繰り広げられる細胞の物語――。2015年に連載を開始した「ユミの細胞たち」は、全512話で32億ビ … 続きを読む

尾上眞秀「お母さんやおばあちゃんが喜んでくれました」寺島しのぶの長男が舘ひろしとの共演で映画初出演『港のひかり』【インタビュー】

映画2025年11月14日

 日本海沿岸の小さな漁師町を舞台に、元ヤクザの漁師・三浦と目の見えない少年・幸太という、年の離れた孤独な2人の絆を描くヒューマンドラマ『港のひかり』が、11月14日から全国公開中だ。  主演に舘ひろしを迎え、『正体』(24)の俊英・藤井道人 … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語』(7)神々がすむ土地を語る

2025年11月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈  銭湯の湯け … 続きを読む

ハリウッド・リメイク決定!インド発ノンストップ・アクション!「日本の皆さんにも楽しんでいただけるはず」ニキル・ナゲシュ・バート監督『KILL 超覚醒』【インタビュー】

映画2025年11月13日

 40人の武装強盗団が、ニューデリー行きの特急寝台列車を襲撃! 刀を手に乗客から金品を奪う強盗団のリーダー、ファニ(ラガヴ・ジュヤル)は、大富豪タークルとその娘トゥリカ(ターニャ・マニクタラ)を人質に取り、身代金奪取をもくろむ。だがその列車 … 続きを読む

Willfriends

page top