山口紗弥加「自分が役に乗っ取られたような感覚です」ネタバレ厳禁のミステリーで入魂の演技を披露「私の死体を探してください。」【インタビュー】

2024年9月6日 / 15:40

(C)エンタメOVO

-そういう意味では、麻美の夫・正隆を演じる伊藤さんのお芝居に助けられた部分も?

 もちろん! 伊藤さんのお芝居には本当に助けられました。正隆は最低のクズ男なんですけど、人間力の高い伊藤さんが演じているだけあって、一周回っていとおしくなる瞬間があり、憎んでも憎みきれなくて…。最低で最高のクズ男でした(笑)。

-最低な正隆に伊藤さんの人間味が加わることで、魅力的な部分が出てきたと?

 はい。おかげで、余計に罪悪感を覚えてしまいました。台本を読んだときに感じたのは、得体の知れない罪悪感だったんですけど、実際に正隆を演じる伊藤さんの人間味を目の前にしたら、本当に申し訳ない気持ちになって…。でも、それは麻美には不必要な感情で、絶対に表に出してはいけないし…。ただ面白いなと思ったのは、正隆に肉付けされた"人間味"が、麻美を演じる私に与えてくれたものは罪悪感だけじゃなく、喜びだったり、優越感だったりもして、撮影中はとても複雑な心境でした。もしかしたら、麻美も私と同じようにさまざまな感情に翻弄(ほんろう)されていたのかなって。

-番組の公式サイトで「麻美の心に触れたい、その一心で演じました」とコメントされていましたが、演じてみていかがでしたか。

 彼女が経験したこと、彼女の思いを想像しながらシーンを重ねるたび、体が勝手に反応してしまうというか…堪えるのが、苦しかったです。その一方で、ミステリー作家として自分の人生を最高のエンターテインメント作品として提供する彼女の生きざまは、見事だなと。私もこの世界に身を置く以上、自分の私生活までまとめて「どうぞ楽しんでください」と皆さんに提供できたら楽しいのかも?と思う部分はあるのですが…でもやっぱり、麻美のように生きられない。どうしたって、守りたいものはありますから。信念を貫こうとする麻美の生き方は、本当にかっこいいと思います。極端すぎて、絶対に真似はできないけど…憧れる気持ちはありますね。

-山口さんは数々の作品でさまざまな役を演じられてきましたが、そういう気持ちになることはよくあるのでしょうか。

 こんなことは、めったにありません。それだけ、麻美に心を寄せていたんだと思います。もっと言えば、自分が麻美に乗っ取られたような感覚です。そのくらい、森林麻美という役柄には強力な引力がありました。本当に、出会えてよかったです。

-そこまでの体験ができるのは、役者冥利(やくしゃみょうり)に尽きますね。では、放送を楽しみに待つ視聴者へ、山口さんの考える本作の見どころを教えてください。

 謎解きは謎解きとして楽しみながら、人物描写を深く味わっていただきたいです。登場人物がそれぞれに抱える「執着」に注目していただけたら。私自身、このタイトルからは尋常ならざる、揺るぎない執着を感じます(笑)。誰に目線を合わせるかで、物語の見え方がまるで変わってくると思いますので、ぜひご家族やお友だちとご覧になって考察など“ドラマのその後”を楽しんでいただけたらうれしいです。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)テレビ東京

 ドラマチューズ!「私の死体を探してください。」は、2024年9月3日から毎週火曜 深夜24時30分、テレビ東京ほかで放送。

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ジェイソン・ステイサム ~絶滅危惧種のアクションスター~

映画2025年12月31日

筋肉系スターの最後の生き残り  そう考えると、『エクスペンダブルズ』シリーズの現役の傭兵役というのは、ステイサムにとってはむしろ異色と言っていい。多彩な個性や国籍の寄せ集めチームという設定のおかげで、彼のナチュラルな魅力もしっかり際立ってい … 続きを読む

寺西拓人 声優初挑戦は「とても刺激的で楽しい経験でした」 「マクロス」、「アクエリオン」シリーズの河森正治監督の長編アニメーションに出演『迷宮のしおり』【インタビュー】

映画2025年12月30日

-どんな点が楽しかったのでしょうか。  舞台や実写作品の場合、役を演じていても、どこか自分が残っているんです。でも、アニメーションは外見が自分と全く異なるので、より強い没入感が味わえて。それがすごく楽しかったです。 -そういう意味では、主人 … 続きを読む

織山尚大、芸能活動10周年を迎え「今のこの年齢で演じる意味がある」 舞台「エクウス」で3年ぶりの主演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月29日

 映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーに … 続きを読む

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

【日本映画】  邦画界は、今年も『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』『チェンソーマン レゼ篇』『名探偵コナン 隻眼の残像』など、アニメーション作品が興行成績の上位を占めたが、実写映画でも大ヒット作が生まれた。歌舞伎を題材とした … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 ▽家族を世話する母    ムン・ソリは、「クイーンメーカー」(23年)や「私たちの人生レース」(同)のように、女性の主体性や自分らしさを打ち出す役を担い、エンパワーメントの姿を体現してきた。だが「おつかれさま」では、“肩書きのない母”を真 … 続きを読む

Willfriends

page top