ダイアモンド☆ユカイさん、カバーアルバム『Respect』発売

2012年7月30日 / 17:00

レコーディングで初めて“シンガー”に徹することができた

自分の色に染めて、自分の物にするのがカバー

Q 他にユカイさん自らが提案した曲は?

A 自ら提案したのは「紅い花」が唯一で、「人間の証明」、「夜霧よ今夜も有難う」は一応、候補には挙げていたんだよね。

Q この2曲にはどんな思い入れがありますか。

A ジョー山中さんの「人間の証明のテーマ」って曲は、映画『人間の証明』の主題歌なんだけど、そのテーマにあるのは、“男はみんなマザコンだ”っていうのなんだよね。俺の青春時代に映画がはやって、主題歌も、当時にしては珍しく英語の歌なのにヒットした。そのことを思い出して、選曲の候補に挙げておいたんだ。石原裕次郎さんの「夜霧よ~」は、結構昔から好きだった。日本の曲の中でもよくできている楽曲だと思う。まあ、アレンジを変えちゃったんだけどさ。本当はジャジーに歌いたかったんだけど、ちょっと冒険しちゃったね(笑)。

Q 冒険というのは?

A プロデューサーが、「マイケル・ブーブレ(カナダ出身のシンガーソングライター)みたいな感じで歌ったらいいんじゃない?」って言ってきたから、「じゃあ、そのアレンジでやってみようか」と思って。本当はもっとジャジーに、ムード歌謡のように歌いたかったんだけどね。でも確かに、今の時代にこの曲をムード歌謡風に歌うっていうのは普通だから、そこをあえて、スタンダードのリズミックな曲として歌うっていうのは挑戦だなと。だから、本当にアレンジが大幅に変わっているのは、10曲目(「情熱の薔薇」)と11曲目(「夜霧よ今夜も有難う」)。あとは、ものすごく原曲を尊重してというか、忠実だったね。

Q 他に大胆なアレンジを加えた曲は?

A 浜田省吾さんの「もうひとつの土曜日」は、原曲には当時の風潮が強く出ていたので、ちょっと歌い方を変えて、完全にダイアモンド☆ユカイ色に染めちゃったかもしれない。この曲は、俺たちの世代の人はみんなすごく好きな曲だったらしいんだけど、俺はそのころ洋楽一辺倒だったから全く聴いてなかったの。だから、思いっ切り変えられちゃったのかもしれないね。あと、覚えているのが、同じ事務所だった尾崎豊が、浜田さんの歌をすごく好きだったこと。「尾崎のもとって浜田省吾さんだったんだよな。だったらカバーしてみようかな」って思ったのもある。

Q 楽曲カバーの難しさとは?

A 自分の色に染めて、自分の物にするのがカバーだと思っているから、全曲に対して“VS”の気持ちがある。もちろん、その曲の良さを知っているわけだから、前提として原曲へのリスペクトはあるけれど。ただ単に原曲の良さをまねするんだったらコピーになっちゃうから、そこにどうやって自分が入り込めるかが勝負だよね。でも、本当に好きなシンガーの曲は、やっぱりカバーするのに抵抗もあったね。例えば、「悲しい色やね」の上田正樹さんは、俺が日本のシンガーの中で一番好きな人だったんだ。だから、初めは「悲しい色やね」を“VS”で歌う自信はないなって思ってたんだけど、みんなに言われてしぶしぶ歌ってみたら、詩もいいし、「いい曲だな」ってぐっときちゃってさ。やって良かったと思ってるよ。

Q レコーディングで苦労された部分は?

A 俺は、ソングライター、ミュージシャンである前に、まずシンガーであって、もう25年以上も歌を中心にやってきているから、“苦労”はしなかったかな。ただ、自分の曲だったら、レコーディングで歌もどんどん変えていけるけど、カバーの場合、歌はもう決まっているから、シンガーの部分に集中するしかないわけ。だから、『Respect』は、初めて“シンガーとして魅せる”ことに百パーセント力を注げたアルバムかな。

Q 今回のアルバム制作を通して、あらためて感じたことは?

A アーティストとして、ぐっとくる曲を自分でも作れたら…そりゃあいいよね。最近は、自分の過去のアルバムを聴き直したりしてる(笑)。

Q オリジナルアルバムの制作予定は?

A 今のところはないね。まずはこのアルバムを売るために奔走するよ。今は選挙にでも立候補しないとCDが売れない時代だからね。自分でもすごくいい物ができたと思ってるから、せっかく作ったからには皆さんに聴いてもらいたいね!

Q ユカイさんの考える“カッコいい大人の男”とは?

A うーん。進んでカッコ悪いことができる人、かな。カッコつけることって、やろうと思えば結構できるもんね。人間には、自分をカッコ良く見せたいっていうのが本能的にあって、恋人同士でも、若ければ若いほど、自分のいいところしか見せないしさ。それで実際に結婚してみると、「あれ? この人、こんなとこあったの? なんだこの人、全然カッコ悪いじゃん!」みたいなね(笑)。俯瞰すると、カッコ悪いことを一生懸命やっている人の方がカッコいいような気がするよね。


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