柄本佑「道長にとってまひろは、本音を打ち明けられる唯一の相手」演じる藤原道長と「源氏物語」執筆に着手したまひろの関係は?【「光る君へ」インタビュー】

2024年8月18日 / 20:45

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。中盤を迎えた物語は第三十一回「月の下で」で、ついに主人公・まひろ/紫式部(吉高由里子)が「源氏物語」の執筆に着手することとなった。そのきっかけを作ったのは、これまでまひろと固い絆で結ばれてきた藤原道長。朝廷の最高権力者となった道長自身も大きな転機を迎えつつある今、演じる柄本佑が、まひろとの関係を中心に役への思いや撮影の舞台裏を語ってくれた。

(C)NHK

-第三十一回で、道長がまひろに物語の執筆を依頼したことが、「源氏物語」の誕生につながりました。執筆を依頼する際、道長の中には、一条天皇(塩野瑛久)の目を娘の中宮・彰子(見上愛)に向けさせたいという政治的な思惑やまひろに対する個人的な思いなど、複雑な感情があったと思いますが、演じる上でその辺をどう意識しましたか。

 演じている最中は、それほど細かく計算していたわけではありません。ただ、今改めて振り返ってみると、政治的な思惑がまったくないとはいえませんが、やっぱりそれとは違うベクトルで頼みに行ったような気がします。道長は元々、自分の家族を政に関わらせたくなかったにもかかわらず、安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)や姉の詮子(吉田羊)の勧めにより、彰子を入内させることになりました。しかし、そうなった以上は、娘に幸せになってほしいとも思っているわけです。

-なるほど。

 結局、道長も娘の幸せを願う1人の父親なんですよね。そんな道長にとって、他の人には見せられない弱さや本音を打ち明けられる唯一の相手がまひろです。だからこそ、「帝のお渡りもお召しもなく…」と、彰子のことをまひろに相談できたわけです。「お前が最後の一手だ」とも語っていますが、「最後に頼れるのはまひろしかいない」という思いで執筆を依頼したのでしょう。僕自身も、「うちの娘のために頼む!」と懇願する父親になったつもりで演じていました。

-これまで、離れていても互いに月を見上げるシーンの多かったまひろと道長ですが、第三十一回ではその点について2人が語り合うシーンもありました。

 あそこで道長が語る「誰かが、今、俺が見ている月を、一緒に見ていると願いながら、俺は月を見上げてきた」というせりふにある「誰か」は、明らかにまひろを意識しています。さらに、亡くなった直秀(毎熊克哉)に思いをはせるくだりもあり、今までの2人の関係を一度決算し、改めて前に進む推進力を得るようなシーンでした。長いシーンだったこともあり、撮影には時間をかけ、吉高さんとも協力しながら切磋琢磨(せっさたくま)して作り上げました。おかげで、僕にとっても印象的なシーンになりました。

(C)NHK

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】どちらもだまされる楽しさが味わえる『ヒットマン』/『スオミの話をしよう』

映画2024年9月13日

『ヒットマン』(9月13日公開)  ニューオーリンズで暮らすゲイリー・ジョンソン(グレン・パウエル)は、大学で哲学と心理学を教える傍ら、偽の殺し屋に扮(ふん)して依頼殺人の捜査に協力していた。普段はさえないゲイリーが、「顧客」に合わせたプロ … 続きを読む

鈴木伸之「何かを諦めてしまった人や挫折した人に響く作品にしたい」 戦力外通告を受けた元プロ野球選手役【インタビュー】

ドラマ2024年9月13日

 鈴木伸之が主演するドラマ「バントマン」(東海テレビ・フジテレビ系)が10月12日23時40分から放送スタートする。  本作は中日ドラゴンズの全面協力で実現したスポーツ・エンターテインメントドラマ。元プロ野球選手の主人公・柳澤大翔(鈴木)が … 続きを読む

「これは江戸時代のアイヌの話ではなく、今に通じる話だということです」寛一郎、緒形直人『シサム』【インタビュー】

映画2024年9月12日

 北海道の大自然を背景にアイヌと和人との歴史を描いた『シサム』が9月13日から全国公開される。本作で、蝦夷地に交易の旅に出た先でアイヌの人々に命を救われる松前藩士・高坂孝二郎を演じた寛一郎と、孝⼆郎の先輩の松前藩⼠・大川を演じた緒形直人に話 … 続きを読む

「光る君へ」第三十三回「式部誕生」人々を動かす「源氏物語」の存在【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年9月7日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。9月1日に放送された第三十三回「式部誕生」では、「源氏物語」の続きを執筆するため、内裏に出仕した主人公・まひろ(吉高由里子)の日常と、中宮・彰子(見上愛)との出会いが描かれた。  彰子の住まいで … 続きを読む

山口紗弥加「自分が役に乗っ取られたような感覚です」ネタバレ厳禁のミステリーで入魂の演技を披露「私の死体を探してください。」【インタビュー】

ドラマ2024年9月6日

 ベストセラー作家・森林麻美が、自身のブログに「私の死体を探してください。」と自殺をほのめかす投稿をして消息を絶つ。麻美の夫・三島正隆(伊藤淳史)や正隆と不倫関係にある麻美の担当編集者・池上沙織(恒松祐里)がその行方を探す中、次々にブログが … 続きを読む

Willfriends

page top