ファーストサマーウイカ 演じる清少納言にとって「定子さまは“推し”」【「光る君へ」インタビュー】

2024年7月28日 / 20:45

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。「源氏物語」の作者・紫式部/まひろ(吉高由里子)の生涯を描く物語を彩る重要人物の1人が、「枕草子」の作者・ききょう/清少納言だ。中盤に差し掛かった物語は、敬愛した中宮・藤原定子(高畑充希)が亡くなり、ききょうにとっても一つの転機を迎えた。演じるファーストサマーウイカが、定子とのシーンを中心に、役への思いや撮影の舞台裏を語ってくれた。

(C)NHK

-演じるにあたって、ききょう/清少納言をどんな人物と捉えていますか。

 出演が決まってから、清少納言に関する本をいくつも読みましたが、知れば知るほど、自分に近い考え方をする人だと感じるようになりました。SNSで皆さんから「生まれ変わり」と言っていただくこともありますが、自分でも「そうかも」と思うくらいです。おかげで、最初は大役ということでプレッシャーもありましたが、今ではものすごく親近感を持って接しています。

-第二十九回「母として」では、ききょうが「枕草子」に「定子さまの華やかな部分だけを書く」とまひろに告げました。その点をどのように捉えていますか。

 まひろの言うように「影の部分も書いた方が面白い」ということもわかります。ただこの作品では、ききょうは定子さまを励ますために「枕草子」を書き始めたという解釈になっているので、影の部分を書くことは、その主旨から外れます。さらに、私は定子さまをききょうにとっての“推し”と捉えていますが、現代のアイドルが「お手洗いになんていかない」というように、“推し”の見たくない裏側は不要なんです。何より、定子さまが悲しい思いをしながらも、どれほど歯をくいしばって生きてきたか、本人が夫の一条天皇(塩野瑛久)や兄弟にすら見せなかったものを、自分が書き残して世に広める必要はない。そんなことは野暮だと。そう考えたと解釈しました。

-同じ回でききょうは「枕草子」を「宮中で広めてください」と定子の兄・藤原伊周(三浦翔平)に依頼しますが、第二十五回「決意」で伊周が「これを宮中に広めてはどうだろう」と言ったときは、「これは中宮さまのためだけに書いたもの」と嫌がっていました。その心境の変化はなぜでしょうか。

 第二十五回の時、SNSで「個人的に作った同人誌が大手出版社に目ぇつけられたみたいだ」という感想を見つけたのですが、まさにそんな気持ちで。2人だけの宝物に…と思っていたのに、余計なことはしないでほしい、という気持ちだったんです。

-それが、定子の死を境に変わったと?

 定子さまの死後、家が没落してしまったら、命懸けで家を守ろうとした彼女の人生が、なんの意味もなくなってしまいます。「遺していく子どもたちだけは」と定子さまから託された最後の使命を、兄弟たちには任せておけない、自分が命を懸けて果たすべきだと考えたのでしょう。それには、一条天皇の心を定子さまにつなぎ留めておけばいい。これがその鎖になれば、という思いから、伊周に「広めてください」と頼んだに違いありません。史実でも、清少納言は定子さまの死後も「枕草子」を書き続けていますが、そこから定子さまの素晴らしさを書き残すことに使命が変わったんだろうなと。それが千年後も残っているなんて、格好いいですよね。

-定子の生き方について、ウイカさん自身はどう感じていますか。

 事前に定子さまのお墓を訪ね、関連する本もいろいろ読みましたが、25歳で世を去ったとは思えないほど立派で、素晴らしい生き方をされた方だったんだなと。

-定子を演じた高畑充希さんの印象は?

 充希さんはたたずんでいるだけでもう定子さま以外の何者でもないという説得力がありました。充希さんのまなざしが素晴らしく、一対一で見つめ合ってお芝居させていただくときは、何度も自然と涙がこぼれてきましたし、初対面の場面ではみやびな風が吹いてくるようで…。でも、あの定子さまを前にしたら、誰でもそうなると思います。そのシーンを収めた「定子さまVR」を作って、皆さんにもその雰囲気を体感してほしいくらいです(笑)。

(C)NHK

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

渡辺大知「僕が演じた駒井という人物そのものがカメラの役割を果たしています」『道行き』【インタビュー】

映画2026年2月23日

 大阪から奈良に移住してきた青年・駒井は、御所市に代々暮らす老人・梅本から購入した古民家の改修工事を進めている。たびたび様子を見に訪れる梅本が語る昔の町や家に流れてきた時間の話が、駒井に大切な風景を思い出させる。『おばけ』でPFFアワード2 … 続きを読む

吉田恵里香氏「寅子の視点では描けなかったものを、どれだけ描けるか」「虎に翼」スピンオフに込めた脚本家の思い「山田轟法律事務所」【インタビュー】

ドラマ2026年2月23日

 2024年に放送されたNHKの連続テレビ小説「虎に翼」。女性として日本で初めて法曹界に飛び込んだ佐田寅子(伊藤沙莉)の歩みを描いた物語は大きな反響を呼ぶと共に、第62回ギャラクシー賞テレビ部門大賞に輝くなど、高い評価を受けた。そのスピンオ … 続きを読む

【映画コラム】2月前半の公開映画から『ほどなく、お別れです』『クライム101』『ブゴニア』

映画2026年2月21日

『ほどなく、お別れです』(2月6日公開)  就職活動に苦戦する美空(浜辺美波)には、亡くなった人の姿が見え、声を聞くことができるという秘密があった。そんな彼女の能力に気付いた葬祭プランナーの漆原(目黒蓮)は、美空を葬祭プランナーの道へといざ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(12)道明寺天満宮と歴史の英雄たち ~野見宿禰、白太夫、そして道真~

舞台・ミュージカル2026年2月19日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。     ▼相撲 … 続きを読む

小林聡美、名作ドラマ「岸辺のアルバム」 舞台化は「今の時代も共感できる」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年2月19日

 小林聡美が主演する舞台「岸辺のアルバム」が、4月3日から上演される。本作は、数々の名作ドラマを世に残した山田太一が原作・脚本を務め、1977年に放送された連続ドラマを舞台化。一見平和で平凡な中流家庭の崩壊と再生を描く。ドラマでは八千草薫が … 続きを読む

Willfriends

page top