「大きなスクリーンでこの大自然を楽しんでもらえたら」「いい時代の邦画の匂いを感じていただけたら」杉田雷麟、寛一郎『プロミスト・ランド』【インタビュー】

2024年6月26日 / 09:00

 マタギの伝統を受け継ぐ東北の山間の町に、役所から今年の熊狩りを禁止する通達が届いた。違反すれば密猟とみなされ、マタギとして生きる道を閉ざされてしまう。だが、20歳の信行は、兄貴分の礼二郎から2人だけで熊狩りに挑む秘密の計画を打ち明けられ、一緒に山に入るが…。飯嶋和一氏の同名小説を飯島将史監督が映画化した『プロミスト・ランド』が6月29日から公開される。本作でマタギの信行と礼二郎を演じた杉田雷麟と寛一郎に話を聞いた。

(左から)寛一郎、杉田雷麟(C)エンタメOVO

-まず、最初に脚本を読んだ時の印象からお願いします。

杉田 信行が現状から動こうとしないところから、礼二郎やいろんなキャラクターと関わって心情は変わるけど、結局、居場所は変わらないという決断をするんですけど、キャラクターとして結局そっちを選ぶというのがすごく面白いと思いました。

寛一郎 前半はある程度せりふがあったけど、後半はト書き(登場人物の動作や行動、心情などを指示した文章)だけなんです。「山の中で歩く礼二郎。周りを見渡す」みたいな。ただ状況の描写だけがト書きで書いてあって、これはどうしたものかという印象でした。その脚本とは少し違った形で映画が完成したんです。だから僕らが意図せずに撮ったシーンが最後に使われていたり、そういうことは監督の采配ですけど、やっぱりどうあがいても自然込みの映画なので、自然がどうなってくるかで、この映画の良し悪しも大半が決まってしまうという意味で、これはどうなっていくのだろうというのはありました。

-実際に演じてみて変わったことは

杉田 せりふがあれば、それへのリアクションとかで変われるんですけど、せりふがなくてただ歩いていくシーンでそれを表さなきゃいけない。山の中で2人で話す前の歩いているシーンと話した後で歩いているところは、実際であれば変わっているはずですけど、順撮りではなかったので、そういうつながりを気にしながら、せりふがない芝居をするのはすごく難しかったです。

寛一郎 もちろん自分が想像していたものと、実際に相手がいてやることというのは変わっていくし、変わらなければいけないものだと思います。彼が言った通り、せりふのないシーンが多かったのですが、山で僕ら2人が歩いているだけで、絵になり得てしまうし、自然と僕らもそこの空間にいる人になります。だから山が助けてくれたという意味では、歩き方がどうのとかではなく、彼と僕との距離感、山と僕らとの距離感みたいなのが、変わっていったのかなと思います。

-ロケがすごく大変だったという想像はつきますが…。

杉田 僕は、『山歌』(22)という映画で山での撮影は経験済みでしたし、実家は栃木なので山には慣れていると思っていたんですけど、雪山となると全く話が違いました。ただ、撮影地まで1時間かけて歩いて行ったりする時間もとても貴重だと思って、すごく楽しかったです。撮影をしながら自然と共存していると心の底から思えたし、すごく環境に恵まれたと思います。

寛一郎 大変でした。インの日はものすごく寒かったんです。しかも僕らが着ていたのは80年代の服ですから、防寒機能もあまりなくて。震えるぐらいの寒さで、こんなに寒いなんて聞いてないってなって。ところが、次に山に入ったのが3日、4日ぐらい後だったんですけど、そこからはもう暑過ぎて…。たまたまインの日が悪天候だっただけなんです。でも最初に洗礼を浴びたというか、本当に凍えそうな中で、山で合宿するみたいな感じになって。ああいう経験は普段はあまりできないし、東京で撮影するのと自然の中で撮影するのとでは違います。さらに山で撮影するのはもっと違いました。いい経験でした。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

三山凌輝、「愛の不時着」でミュージカル初挑戦 「これまでのパフォーマンスの集大成でもある」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年5月3日

 元BE:FIRSTのメンバーで、朝の連続テレビ小説「虎に翼」でヒロインの弟役を演じて話題を集めた三山凌輝が、ミュージカル「愛の不時着」でミュージカル初主演を果たす。韓国の財閥令嬢と朝鮮人民軍軍人の国境を超えた愛を描いた本作は、2019年か … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第16回「覚悟の比叡山」“守られる側”の農民から“守る側”の侍になった小一郎と藤吉郎の覚悟【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年4月28日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=木下小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=木下藤吉郎/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。4月26日に放送された第16回「 … 続きを読む

ゆうちゃみ「るり子が現実にいたらめっちゃ親友になれそうやなっていう感じでした」『アギトー超能力戦争ー』【インタビュー】

映画2026年4月28日

 仮面ライダー生誕55周年記念作『アギトー超能力戦争ー』が4月29日から全国公開される。本作で主要キャストの1人である葵るり子を演じたゆうちゃみに、映画初出演への思いなどを聞いた。 -出演が決まった時の心境は?  「マジ、ドッキリ?」みたい … 続きを読む

千葉雄大、「映像の人」「舞台の人」という「垣根をなくしたい」 友近と挑む二人芝居・リーディングドラマ「老害の人」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月25日

 内館牧子によるベストセラー小説『老害の人』が、リーディングドラマとして舞台化される。出演者は、友近と千葉雄大の二人だけ。登場人物のすべてを、二人が自在に演じ分ける。  物語の主人公は、小さな玩具屋を大企業に育てた元社長の福太郎。老いてなお … 続きを読む

小手伸也、「映像ではテンションの7割しか出していない」 リミッターを解除して臨む舞台初主演作「コテンペスト」

舞台・ミュージカル2026年4月25日

 小手伸也が舞台初主演を務める「俺もそろそろシェイクスピア シリーズ『コテンペスト』」が、6月27日から上演される。公演に先立ち、小手が取材に応じ、本作への思いを語った。  本作は、シェイクスピアの最後の作品「テンペスト」の設定を現代に置き … 続きを読む

page top