田中泯「日本の政治に対する僕自身の憤りに通じる部分も多かった」世界配信となる初主演のポリティカル・サスペンスに意気込み「フクロウと呼ばれた男」【インタビュー】

2024年5月9日 / 16:00

(C)エンタメOVO

-その中で、次男の龍だけは龍太郎に反発し、父親と対照的な人生を歩もうとします。龍を演じる新田さんの印象は?

 僕も海外でいろんな経験をしてきましたが、彼も俳優になるまでは、世界中を旅した経験を持つ青年なので、その懐の広さは通じ合う部分があるような気がします。正義感を持って社会と向き合う龍という役も、彼にぴったりではないでしょうか。

-演出に『宇宙兄弟』(12)の森義隆監督、『月』(23)の⽯井裕也監督、『Winny』(23)の松本優作監督という3名がそろった豪華な布陣も注目のポイントです。

 日本映画界の第一線で活躍される皆さんが、よく引き受けてくれたと思います。発想もそれぞれ個性的だったので、現場は面白かったですね。その一方で、作品としての統一感が損なわれないように、皆さんで綿密に打ち合わせしながら撮影を進めていたようです。おかげで、完成した作品を見ても、違和感は全くありません。お三方が協力することで、作品のクオリティーがグッとアップしたのではないでしょうか。

-完成した作品は世界配信されますが、どんな期待を持っていますか。

 世界配信というお話には驚きました。最近は、同じディズニープラスで独占配信中の『SHOGUN 将軍』(24)のように、日本を題材にしながら、海外で評価される作品もあるので、この作品を海外の方がどうご覧になるのか、気になるところです。ただ、僕としてはまず、一人でも多くの日本のお客さんに見てもらいたいと思っています。

-というと?

 実は脚本を書いたのは、日本人ではなく、エグゼクティブ・プロデューサーを務めるデビッド・シンという外国の方です。でも、日本でのビジネス経験があり、日本を心から愛する彼が書いた脚本は、まるで日本人が書いたのではないかと思うほど、違和感のない出来栄え。それどころか、日本人が気付かなかった、あるいは見過ごしてきたことを指摘するような視点の鋭さもある。特に、政治家の扱いはかなり辛辣(しんらつ)で、「こんな政治家いるな」と思わされます。最近のおかしな日本の政治に対する僕自身の憤りに通じる部分も多かったので、納得感もあり、躊躇(ちゅうちょ)なく演じることができました。

-それでは最後に、本作にかける意気込みをお聞かせください。

 今回、全10話のドラマということで、今までにないほど長い間、大神龍太郎について考える時間があり、僕にとって新鮮な体験でした。とはいえ、まだまだ彼に対する興味は尽きず、さらに掘り下げてみたい人物です。また、龍太郎だけでなく、彼の家族にもさまざまなドラマが待ち受けているはずなので、ぜひシーズン2,3と続けていければと思っています。皆さんにも楽しんでいただけたら幸いです。

(取材・文・写真/井上健一)

『フクロウと呼ばれた男』

配信:ディズニープラス「スター」で 独占配信中

出演:田中泯 新田真剣佑

安藤政信 ⻑谷川京子 中田⻘渚 / 萬田久子

二階堂智 ハイディ・バーガー 池田良 結城貴史 柳英里紗 あこ

大坊健太 尚玄 淵上泰史 忍成修吾 土屋キュウ 久藤今日子 浦浜アリサ 大⻄信満

野村祐人 片山萌美 川瀬陽太 吉澤健 / 中野英雄 / 木村多江 / ⻑塚京三

大友康平 益岡徹 / 原田美枝子 中村雅俊

エグゼクティブ・プロデューサー&脚本:デビッド・シン

演出:森義隆、石井裕也、松本優作

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

-ルンメイさん、夫・賢治役の西島秀俊さんの印象はいかがでしたか。 ルンメイ 今回西島さんと一緒にお仕事ができたことはとても光栄でした。西島さんは経験豊かな方なので、私は現場でとても安心して演技をすることができました。西島さんがいろんなエネル … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

-小学生の頃、絵画教室に通われていたそうですが、演じる上で役立った部分はありますか。  僕は子どもの頃から、絵画教室に通ったり、自宅では粘土で架空のモンスターを作ったりしていました。そういう創作を楽しむ部分は、嵩に通じるものがありました。前 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

-なるほど。そうして前に進んだ先に、どんな未来をイメージしていますか。  先のことはあまり考えていないです。友達たちが家を建てたり、子どもが生まれたりしているのを見ると、そうした未来を自分が持ったらどうなるんだろうなと考えることはありますが … 続きを読む

広瀬すず「この女性たちの化学反応は一体何なんだという、すごく不思議な感覚になります」『遠い山なみの光』【インタビュー】

映画2025年9月9日

-年を取ってからの悦子を見て、いろいろとふに落ちたところがあったと聞きましたが。  そうですね。羊さんの悦子さんを通して見ると、被爆体験にはこういう形もあるのかという痛みを突きつけられるような感じがしました。多分、人それぞれに見え方や感じ方 … 続きを読む

Willfriends

page top