「場所と人とのリンクみたいなのものを感じながら見ると面白いと思います」今村圭佑撮影監督『青春18×2 君へと続く道』【インタビュー】

2024年5月9日 / 16:22

 18年前の台湾。高校3年生のジミー(シュー・グァンハン)はアルバイト先で4歳年上の日本人バックパッカーのアミ(清原果耶)と出会い、恋心を抱く。だが、突然アミの帰国が決まり、落ち込むジミーにアミはあることを提案する。現在。人生につまずいた36歳のジミーは、かつてアミから届いたはがきを手に取り、あの日の約束を果たすべく日本へ向けて旅立つ。藤井道人が監督・脚本を手がけた日台合作のラブストーリー『青春18×2 君へと続く道』が、5月3日から全国公開された。本作で撮影監督を務めた今村圭佑氏に話を聞いた。

(C)2024「青春18×2」film partners

-この映画は、18年前の台湾と現在の日本という、2つの場所、2つの時代を描いていますが、今回の撮影で難しかった、あるいは楽しかったと感じたところはありましたか。

 脚本を読んだ時に、時代が変わる、場所が変わるというのを、いろいろな話の中で混ぜていくというのが重要なポイントだと思ったので、その場所の雰囲気や人物の感情に合わせて、映像の質感や撮り方を変えたりしながら表現できればと思いました。また、シュー・グァンハンが、18歳と36歳を1人で演じることになったので、それを映像的に少しでも助けられる部分があればいいと思いましたが、そこが一番難しかったです。映像の撮り方としては、すごく変化させられる部分もあったので、いろいろと考えながら楽しくやりました。

-今回は、台湾は台南、日本は東京から鎌倉、松本、長岡、只見というように、いろいろな場所でのロケーションがありましたが、その中の風景として、海岸や城や雪原が出てきますが、そうしたさまざまなものを撮り入れていく面白さも感じましたか。

 日本の撮影パートでは、日本の風景の中に台湾から来たジミーがいることを、どういうふうに捉えるかというのがポイントでした。なので、感覚的にはジミーに対してカメラは少し遠くから撮っていて、風景の中に彼がいるという撮り方をしています。ある意味、ジミーでアングルを切っていないというか、その場所や背景の中にジミーがいるということを意識しました。逆に、台湾ではジミーが中心にいます。その2つの意識の差みたいなところで、2つの場所が違うというふうに見えればいいかなと。それで見ている人たちには視覚的に積み重なって埋め込まれていくようになればいいと思っていました。

-今回、いろんな風景を撮ってみて、一番印象的だったとか、映画として映えたと思うシーンはどこでしたか。

 日本の鉄道のシーンは、時間的にはタイトな撮影ではあったんですけど、実際に電車をお借りして撮れました。この映画の中では、ジミーが旅をしているということは重要な筋なので、彼自身はそんなに大きく動いているわけではないけれど、どんどん背景が流れていくというのが、この映画の壊している部分だと思ったので、これはすごくいいなと思いました。台湾では、路地を歩いているといろんな人から話し掛けられたりするんですけど、台湾の人々の温かさが道に出ているというか、何でもない路地がすごく美しく見えました。

-藤井道人監督とはずっと一緒に映画を撮っていますが、基本的に撮影監督は監督の意図をくんで撮るものなのでしょうか。それともディスカッションをしながら2人で作っていくような感覚なのでしょうか。

 もちろんディスカッションをしながら作っていくんですけど、 やっぱり脚本が指針になります。文字から映像を作っていくということは、それぞれの想像に頼る部分が多いと思うんです。僕は、脚本に書かれていることが彼の意図だと思っていて、脚本中にどう書かれているのかを、お互いが話し合ってイメージを膨らましていくというよりは、脚本を読んで、その文字から自分の中で浮かんだ映像をお互いに共有したり、この脚本からこういう映像や絵が浮かんだからこういうふうにしようと話し合ったり、というような感じです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「豊臣兄弟!」第12回「小谷城の再会」豊臣兄弟の運命を左右する出会い【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年4月2日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=藤吉郎/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。3月29日に放送された第12回「小谷城の … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(13)道真公左遷の地、太宰府天満宮で

舞台・ミュージカル2026年4月2日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。   ▼太宰府天満宮で神道 … 続きを読む

南沙良 香港との合作映画で本格アクション初挑戦!「とても楽しかったです」『殺手#4(キラー・ナンバー4)』【インタビュー】

映画2026年4月2日

 NHKの大河ドラマ「光る君へ」(24)で注目を集め、今年も続々と出演作が公開されるなど、今最も勢いのある若手俳優の1人・南沙良。さまざまな作品に意欲的に取り組んできた彼女が新たに挑んだのは、アクションの本場・香港との合作映画。  それが、 … 続きを読む

森崎ウィン「ギンギラギンの金を見ているだけで元気になれます」『黄金泥棒』【インタビュー】

映画2026年4月2日

 人生に退屈していた平凡な主婦が金(きん)の魅力にとりつかれ、100億円相当の金の茶わんを盗み出そうとする姿を描いたクライムコメディー『黄金泥棒』が4月3日から全国公開される。実在の事件から着想を得た本作で、主人公の主婦・美香子(田中麗奈) … 続きを読む

片岡凜「花梨が持っている正義すら悪に見えるように演じることを心掛けていました」『鬼の花嫁』【インタビュー】

映画2026年3月28日

 コミック版も人気を博した和風恋愛ファンタジー小説を、永瀬廉と吉川愛のW主演で実写映画化した『鬼の花嫁』が3月27日(金)から全国公開された。鬼と人間との究極のラブストーリーを描いた本作で、ヒロイン柚子の妹の花梨を演じた片岡凜に話を聞いた。 … 続きを読む

page top