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女性ばかりの大学のシーンは、とてもにぎやかです。例えば、寒がりの桜井ユキ(華族のお嬢さま、桜川涼子役)さんが、みんなに防寒グッズを配ってくれたときは、「温かい!」と盛りあがったり、韓国出身のハ・ヨンス(留学生、崔香淑役)さんには、難しい日本語をみんなで説明してあげたり…。ただ、盛り上がりすぎて注意されることも多いんですけど(苦笑)。
たくさんの本や資料をいただいた上、三淵嘉子さんの母校・明治大学で、4回ほど授業を受けさせていただきました。そうしたら、寅子が「なぜ?」と疑問を感じるのも当然だな、と思うような法律が、今も当たり前に存在していることが分かって。離婚したときの子どもに対する親権も、昔は父親だけにしかなかったり…。そういう背景を知ることができたのは、演じる上でとても参考になりました。大学にも通ったことがなかったので、楽しかったです(笑)。
私は今まで、法律は当たり前のようにあるものだと思っていましたが、今回初めて、いろんな疑問を持つ方たちがいたおかげで、現在のような形になってきたことを知りました。しかも、今も決して完璧なわけではなく、まだまだ改善の余地があるんだなと。そんなふうに、皆さんが大変な思いをしながら、法律をよりよい形に変えてきたおかげで、私たちが今、平穏に暮らすことができている。そういう成り立ちを知ることができたのは、演じる上ではもちろんですが、私自身にとっても勉強になりました。
「ひよっこ」は、基本的に(泉澤祐希さんが演じる)三男と一緒の場面が多かったので、三男とのグルーヴでその場面が面白くなれば…という感じでした。でも今回は、シーンごとに考えるのではなく、トータルのバランスが大事だなと。撮影が長期にわたるので、「このシーンはここにつながるから、ここではこのくらいがいいかな…」と全体的な計算をしていかないと、混乱しそうで。午前中に出産シーンを撮ったその日の午後、高校生の場面を演じるようなことも多いですし。そういうブレが生じないように思考を働かせるのは、初めての経験です。ただ、朝ドラ特有のスピード感は「ひよっこ」で経験していた分、戸惑わずに済みました。
確実に代表作になると思います。後々、自分の人生を振り返った時、絶対に外せない期間だろうなと。とても面白い作品ですし、寅子には自分に近いところがあって楽しい一方で、挑戦的な部分もあって。同時に、人との関わり方や物の伝え方も撮影を通じて学んでいるので、人間的にも成長できる期間ですし。私自身が撮影期間中に30歳を迎えるというタイミングなど、いろんなことが重なっているので、生涯で一番大事な作品になると思っています。
(取材・文/井上健一)
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