桐谷健太、役作りで大事にしているのは「直感」 イヤミスの名手が作り出す“黒い感情”を体現「連続ドラマW 坂の上の赤い屋根」【インタビュー】

2024年3月3日 / 08:00

(C)WOWOW

-直感から役を育てていくということですね。

 必ずしも毎回、直感的に分かるわけではなくて、台本を読んでも全然理解できなくて、衣裳合わせで衣裳を着た瞬間に分かることもあれば、動物が思い浮かぶ時もあります。実は人間の皮をかぶっているトカゲみたいなイメージだなとか。あとは、友達のあいつに似ているなとか。毎回、そのアプローチの仕方は違いますね。

-本作では、新人作家・小椋沙奈役の倉科カナさんとのシーンが多かったと思いますが、倉科さんとの共演はいかがでしたか。

 3回目の共演だったということもあり、待ち時間にくだらない冗談を言い合えて、すごくやりやすい環境を作ってくださいました。カナちゃんは、役に入る姿勢がすごく真摯(しんし)な人なので、一緒にやっていて楽しかったです。初めてご一緒した時は、彼女が中学生で僕が高校生という兄妹の役だったのですが、その後、10年以上経って婚約者の役をやり、今回は編集者と作家という役。それぞれ全く感覚の違う関係性で演じてきたので新鮮でもありました。

-本作では、SNSも重要なツールになっていますが、桐谷さんはSNSを使う際に気を付けていることはありますか。

 そもそも僕は、ほとんどSNSは見ないんですよ。ネットニュースもあまり見ないです。なので、SNSは僕の人生の一部ではないですね。きっとSNSの問題点を感じている人はたくさんいると思います。僕は自分が見て気持ちいいものを見ていけばいいんじゃないかなとは思います。SNSも良いと思いますが、僕はそれよりも散歩したいなとか、おいしいものを食べたいなとか、例えば芝居のための役作りで体を絞っていこうとか、そういうのが好きで楽しいのでやっています。自分が楽しいと思えることをやれば良い。

-では、橋本だけでなく、登場する人物たちの二面性が描かれている本作ですが、桐谷さんはご自身の中の二面性があると考えていますか。

 自分では分からないですね。例えばバラエティーに出演していた姿を見た方が、こうなんだろうというイメージを持っていて、それで実際に会った時にまた印象が違うと言われることはありますが、僕自身としては、自分のどの面を見ているのかによって違うだけだと思うので。そういう意味では、自分の中に二面性があるから人にも二面性を感じるのだろうと思います。もし、自分の中に一面性しか見なかったら、人に二面性を感じないんじゃないかなと思います。トーク番組に出ていればもちろん話をしますが、自分の中には静かな部分もあって、一人が好きでボケっとしている時間も好き。テレビに出るからには必ずどこかでスイッチは入れているので、そうしたテレビとは違うところはあるのかなとは思います。

-役者の場合、演じている役柄のイメージもあるのかもしれませんね。

 それも大きいと思います。悪い役とか、逆に明るい役が続く時は、そのイメージで見られがちです。自分は自分でも、どんな役を演じたかで印象は全く変わります。なので、そうした人の視点というものは、客観的に見るようにしています。

-最後に改めて、本作の見どころを教えてください。

 登場人物たちの渦が渦を呼び、どんどん大きな渦になってくるこの感覚は、見ている人にとってはすごく居心地が悪かったり、かたや懐かしさや親近感を覚えたりする。そんな作品になっていると思います。ぜひ巻き込まれてほしいです。きっと目が離せない作品になってるので、楽しんでいただけたらと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 「連続ドラマW 坂の上の赤い屋根」は3月3日から、毎週日曜午後10時にWOWOWプライム、WOWOW4Kで放送スタート。WOWOWオンデマンドにて同日に配信スタート。(第1話無料放送)

「連続ドラマW 坂の上の赤い屋根」

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

▽長い時を刻む、大衆文化とは異なる魅力 -Kカルチャーが世界で注目される今、今回のような舞台表現はKカルチャーの中にどう位置づけられると思いますか?  K-POPや映画などの大衆文化も素晴らしいですが、伝統芸術はそれよりもはるか以前から続い … 続きを読む

毎熊克哉「桐島が最後に何で名乗ったのかも観客の皆さんが自由に想像してくれるんじゃないかと思いました」『「桐島です」』【インタビュー】 

映画2025年7月3日

-実際に演じてみて感じたことや、演じる上で心掛けたことや気を付けたことはありましたか。  自分が桐島を演じる上で一番重要だと思ったのは、(偽名の)「ウチダヒロシ」として、1人の部屋で朝を迎えて、窓を開けてコーヒーを飲んでというシーンでした。 … 続きを読む

磯村勇斗&堀田真由、ともにデビュー10年を迎え「挑戦の年になる」 ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」【インタビュー】

ドラマ2025年7月2日

 磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少 … 続きを読む

蓮佛美沙子&溝端淳平「カップルや夫婦が“愛の形”を見直すきっかけになれたら」 グアムで撮影した新ドラマ「私があなたといる理由」【インタビュー】

ドラマ2025年7月1日

 ドラマ「私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間~」が、7月1日からテレ東系で放送がスタートする。本作は、グアムを訪れた世代が違う男女3組のとある1週間を描いた物語。30代の夫婦(蓮佛美沙子、溝端淳平)、20代の大学生カップ … 続きを読む

風間俊介「横浜流星くんと談笑する機会が増えてきたことがうれしい」蔦重と和解した鶴屋喜右衛門役への思い【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年6月29日

-それが変わってきたということでしょうか。  物事は、ある程度加速がつき、歯車がスムーズに回り始めれば、少ないエネルギーで進んでいくようになりますが、スタートするときは膨大なエネルギーが必要です。この作品もそういう過程を経て、ようやく彼が笑 … 続きを読む

Willfriends

page top