エンターテインメント・ウェブマガジン
NHK連続テレビ小説「ウェルかめ」をはじめ、数々のドラマ・映画で活躍しながら、第29回読売演劇大賞で優秀女優賞を受賞するなど、舞台女優としても大きな期待が持たれている倉科カナ。2月25日から上演されるKAAT神奈川芸術劇場プロデュース「蜘蛛巣城」では、早乙女太一と共に、破滅へと進む夫婦を演じる。稽古に励む倉科に、本作への意気込みや役作りについて、さらには今後の俳優業への思いなどを聞いた。
映画版よりも武時と浅茅夫婦の愛が深く描かれていると感じました。『マクベス』が根底になっているというのはもちろん知っていましたが、日本ならではの情緒や夫婦愛がしっかりと描かれていたので、この役を演じてみたいというチャレンジ精神が湧きました。
今(取材当時)は、浅茅に対して私がどういうイメージを持っているのか、(演出の)赤堀(雅秋)さんに提示させていただいています。これから「これは違うな」「これがヒットしているかな」と取捨選択をしていくので、今はまだ振り幅を持たせて、多角的に役柄にアプローチしている段階です。
物語の舞台が現代ではないので、その時代の決意の仕方や、感情が高ぶっているが故に抑えながら伝えることが大事だということを教えていただきました。相手を見ずに、でもテンションは高く、心では渦巻いている思いを伝えてほしいと。難易度が高い演出が多いですが、すごく勉強になります。
この作品は、やはり武時と浅茅の愛が軸になると思います。この時代、政略結婚が多い中で、お互いに思いあった同士が添い遂げるというのは、すごく難しいことでした。ですが、武時と浅茅は、親の反対を押し切ってでも一緒になった。それはすごく幸せなことですが、子どもができずに悩んでいました。それが出世にも関わる時代だったので、愛する人に出世してもらいたいのに、それができないというつらさを抱えていたと思います。それに、政略結婚で子どもを産んで幸せそうにしている妹への嫉妬心も根底にあったのではないかと考えていました。ですが、稽古を重ねるにつれて、誰を信じていいのか分からない恐ろしさがあったり、いつ殺されるか分からないという恐怖や欲望もあったのではないかと思うようになったので、そうした思いも織り交ぜながら浅茅を作っていけたらと思います。
あります。誰しもちょっとした欲は持っていると思います。今は今で幸せだけれども、もし、もっと幸せになれるならばそれをつかんでみたくなる気持ちもすごく分かります。子どもができないのは自分のせいかもしれないという忍びなさもあるし…。マクベス夫人は、悪女として描かれることが多いですが、『マクベス』よりも共感できるところが多いと思います。
まさにそうです。赤堀さんが演出をされているからということもあると思いますが、どのキャラクターにもリアリティーがあって、そこに存在して生きているというのが感じられると思います。それに、人々が必死に生きている姿は現代にも通じるところがある。なので、時代劇というよりは、もっと身近で「こんな人いるよね」と思いながら見ていただける作品になっていると思います。
これまで舞台を拝見していて、殺陣が美しく、素晴らしいという印象を持っていたのですが、ご一緒させていただいたら、人柄はもちろんのこと、役や作品に向き合う真摯(しんし)な姿もかっこいいと感じました。殺陣の稽古は早乙女さんが皆さんにつけているのですが、一つ一つの動きが丁寧で、とても繊細なので、だからこそ殺陣がこんなに美しいんだと思いました。
映画2025年11月11日
何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペ(声:佐野晶哉)は、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれている。ある日、ジュゼッペは、公園で風船売りをしているペチカに一目ぼれし、夢中になるが…。作家・いしいしんじの同名小説を … 続きを読む
ドラマ2025年11月10日
草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む
ドラマ2025年11月9日
日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」への出演発表時、“物語の鍵を握る重要な役どころ”という情報のみだった目黒蓮演じる謎の人物。そこから約2カ月、11月2日放送の第4話でようやくその正体の一端が解禁された。男の名は中条耕一、佐藤浩市演じる山王 … 続きを読む
映画2025年11月6日
三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む
映画2025年11月1日
『爆弾』(10月31日公開) 酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。 やがてその言葉 … 続きを読む