草なぎ剛「運命的な出会いは、毎日起きている」 「演劇的だねと言いたくなるような舞台」で放つ存在感【インタビュー】

2024年1月5日 / 12:00

 連続テレビ小説「ブギウギ」では主人公・スズ子の音楽の師、羽鳥善一役を好演し、大きな話題を呼んだ草なぎ剛。2023年12月9日からは、舞台「シラの恋文」に主演し、その高い演技力をいかんなく発揮している。京都、福岡公演を終えた今の心境や、1月7日からスタートする東京公演に向けた意気込みなど、公演中の今だからこそ聞ける素直な思いを聞いた。

舞台「シラの恋文」主演の草なぎ剛(撮影:宮川舞子)

ー(取材時は)福岡公演中ですが、これまでの公演を終えて感じている手応えやお客さんの反応を教えてください。

 クリスマスの時期だったので「メリークリスマス!」という感じで会場がにぎわっています(笑)。やはり、舞台はお客さまが入って完成するものなんだということを毎日、感じています。日に日に良くなっているなと、思わずつぶやいてしまうほど、幸せな空気が漂う舞台になっています。

ー近年、草なぎさんは舞台では音楽劇への出演が多かった印象があり、今作は久々の会話劇だと思います。改めて感じている会話劇の面白さや北村想さんの書いたこの戯曲の面白さを教えてください。

 全体的にフワフワとしてつかみどころがない作品です。それは、(草なぎが演じる鐘谷)志羅という役も同じ印象です。このせりふはどういう意味なのか。意味がつながっているのか、いないのか。その時々でせりふから受ける感情も違うんですよ。それくらい不思議な魅力があります。輪廻(りんね)転生ではないですが、丸い縁を描くような舞台という感覚があって、毎回、感じ方が違うことを僕も志羅という役を通して楽しんでいます。

ー最初に戯曲を読んだときに感じたことと、上演を重ねた今では作品に対する印象が変わったところはありますか。

 あまり頭で考える作品ではなくて、感じるものなのかなと思います。「演劇的だね」と言いたくなるような舞台なんですよ(笑)。この舞台を見た後に「演劇的だね」といえば賢く見える、そんな印象です。僕自身、稽古のときから「この芝居は演劇的だよね」って真面目な顔をして言っていましたが、心の中では何が演劇的なのか分かってないし、それも含めて楽しんでいる感じがあります。意味がよく分からない舞台だからこそ、見ているうちにどこかでふに落ちてくる。輪廻転生という大きな宇宙的な話を会話としてせりふに具現化して落とし込んでいるので、(そうした作品をやっていると)頭が良くなっていっている気がします(笑)。

 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。これまで、いくどとなく視聴者を驚かせてきたが、第4 … 続きを読む

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

Willfriends

page top