三浦貴大「“Winny事件”のイメージがガラッと変わりました」不当逮捕と戦った弁護士役を熱演『Winny』【インタビュー】

2023年3月10日 / 08:00

 3月10日から公開された『Winny』は、実際に起こった映画やゲーム、音楽などの違法アップロードが社会問題化した“Winny事件”の映画化だ。そこで利用されたソフトウェア“Winny”の開発者、金子勇が逮捕され、裁判では「殺人に使われた包丁を作った職人は、逮捕されるのか?」とその正当性が争われることになった。本作で金子(東出昌大)と共に裁判を戦った弁護士・壇俊光を演じたのが、「仮面ライダーBLACK SUN」(22)、『キングダム2 遥かなる大地へ』(22)などで活躍する三浦貴大。撮影の舞台裏や本作を通して感じたことを聞いた。

三浦貴大 (C)エンタメOVO

-最近の日本映画には貴重な、実在の事件を題材にした社会派の力作ですが、オファーを受けたときの気持ちは?

 難しいテーマだと思いました。実在の事件で実在の人物を演じなければいけないので。ただ、僕も昔からインターネットはよく使っていたので、当時から“Winny事件”も概要は知っていたんです。だから、当時の記憶をたどりながらやるのもいいかなと。

-出演の決め手になったのは?

 決め手は、弁護士として現役で活躍している壇先生を演じることに対する役者としての興味です。そういう機会はめったにありませんから。ただ、ご本人とお会いしてみたら、自分とあまりにも違い過ぎて、これは難しい役を引き受けてしまったなと(笑)。関西の方ということもあるんですけど、弁護士だけあってすごく弁の立つ方で、裁判では相手の言葉を引き出すためにわざとあおるなど、いろんな手法を使うそうなんです。でも、僕にはそういう経験がなく、自分にはない思考回路を持っている方だったので。

-映画を見ると違和感なくハマっていますが、役へのアプローチはどのように?

 壇先生の弁護スタイルや日常生活の雰囲気はもちろん大事です。でも、この映画のテーマとしては、壇先生が金子さんにどういうまなざしを向けていたのか、どんな思いで“Winny事件”に当たっていたのか、そこが一番大事だと思っていました。

-なるほど。

 壇先生の中でも特に大変な裁判だったと思うんですけど、金子さんの話をするとき、すごく楽しそうなんです。「金子さんは一つ上の弟」とおっしゃっていましたが、どこか兄弟や親友のように見ていたところもある。もちろん、裁判のクライアントとしても見ていた。壇先生が金子さんに抱いていたそういうイメージを大事にしようと。そこから徐々に、役の輪郭を作っていきました。金子さんと壇先生の話なので、2人の関係性が出た方がいいですし。

-2人の関係は、どのように掘り下げていきましたか。

 金子さんは既に亡くなっているので、壇先生のお話を聞く以外になく、壇先生が書かれた本(『Winny 天才プログラマー金子勇との7年半』)も読みましたが、現場にもいらっしゃったので、直接お話を伺えたことがとても役立ちました。

-具体的にどんな話をしたのでしょうか。

 例えば、「裁判で金子さんが余計ことを言ってしまったとき、どう思っていたんですか?」と聞いてみたら、「いやホンマ、こいつ何やってんねん、と思いましたけどね」と答えてくださったことがあります。それを文字で読むと冷たく厳しい印象を受けるんですけど、実際にご本人から聞くと「しょうがねえな、こいつは(笑)」と面白がっている様子や、体温の温かさみたいなものまで伝わってくる。そんなふうに、言葉の微妙なニュアンスが大事だったので、お話を聞けたのはすごく助かりました。

-金子勇役の東出昌大さんとの関係はいかがでしたか。

 撮影前、当時の裁判を再現した模擬裁判をやる機会があったので、その後に何度か一緒に食事に行きました。おかげで、現場に入ったときは、何かを取り繕う必要もないぐらい、仲良くなっていて。東出くんは自然に懐に入ってきて、なんでも言い合える関係だったので、非常にやりやすかったです。

-現場での東出さんの印象は?

 皆さんよくおっしゃっていますが、役に対する集中力が人並み外れていますよね。すごく自然で、東出くん本人と金子さんとの役の段差が分からないぐらい、滑らかに役に入っていくんです。撮影前に話をしているときは、もちろん東出くん本人なんですけど、現場にいるときは、撮影以外の休憩時間も姿勢や表情、話しかけたときのリアクションが完全に金子さん。外枠は出来上がっているから、「撮影します」と言ったとき、内面だけすっと変えればいい、といった感じで。「すごいな…」と感動したほどです。

-本作は法廷シーンをリアルに再現していますが、三浦さんについて先生が「弁護士の目線を一発で覚えていた」と感心していたとか。

 今回は壇先生が普段、裁判シーンのある作品で不自然に感じていた部分を徹底的に削りましたが、目線にもかなりこだわっていた様子でした。例えば、裁判官が話をしているとき、検事が何をメモしているのか、どういう動きをしているから、今これを言おう、みたいな感じでずっと見ているらしいんです。金子さんがしゃべっているときは、それに対して裁判官がどういう心証を持っているのか、表情を確認したり…。そんなふうに細かく教えてくださったので、そこはきちんとやろうと。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】世界が揺らぐとき、人間は何をするのか…『DIGGER/ディガー』『ディスクロージャー・デイ』

映画2026年10月20日

『DIGGER/ディガー』(10月9日公開)  石油採掘会社のCEOとして君臨するディガー・ロックウェル(トム・クルーズ)の、利益しか考えない強欲な行動によって氷河に亀裂が生じ、地球規模の環境災害が発生する。コンプソン大統領(ジョン・グッド … 続きを読む

堂本光一演出「百鬼夜鏡」、「期待を超える作品を作っていけたら」川﨑皇輝×内村颯太×元木湧×北川拓実×安嶋秀生×松尾龍【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月20日

 堂本光一が構成・演出を務める舞台、EX THEATER ARIAKE OPENING LINEUP「百鬼夜鏡」が、11月3日からEXシアター有明で上演される。本作は、 “人ならざる力”を持ち、恐怖や災いを象徴する鬼と、室町時代にタイムスリ … 続きを読む

芦田愛菜、努力を続けるコツは「一度に大きく飛躍しようと頑張り過ぎない」【インタビュー】

ドラマ2026年10月19日

 芦田愛菜が主演するドラマ「南田南弁護士は天才肌」(カンテレ・フジテレビ系)が、10月19日22時からスタートする。世界的にヒットした韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を日本版にリメイクした本作は、自閉スペクトラム症(ASD)の新人弁護 … 続きを読む

ドラマ「LOST10」脚本・奥寺佐渡子×監督・塚原あゆ子 横浜流星と小栗旬が演じるバディの魅力と制作の舞台裏を語る【インタビュー】

ドラマ2026年10月16日

 横浜流星が主演する金曜ドラマ「LOST10」が、16日22時からTBS系でスタートする。大河ドラマ以来の民放連続ドラマ出演となる横浜が、映画『国宝』の脚本家・奥寺佐渡子と再タッグ。「Nのために」「最愛」などを手掛けた塚原あゆ子監督、新井順 … 続きを読む

磯村勇斗「吉田監督の世界に入れることが楽しみでした」吉田恵輔監督「磯村くんは思考が自分に近い」初顔合わせの舞台裏『mentor』【インタビュー】

映画2026年10月15日

 かつて、花火遊びをきっかけにアパートを全焼させてしまった2人の少年、龍之介(磯村勇斗)と拓海(末澤誠也)が15年ぶりに再会。さらに、その火事で大火傷を負い、妻子を失った被害者・埜本(綾野剛)と交流する中で、2人は運命を狂わせていく…。   … 続きを読む

page top