渡辺謙「俳優の人生って、面白い」日本を代表する名優が、40年のキャリアを振り返る「役者道~渡辺謙があなたに語る仕事と人生~」【インタビュー】

2023年2月18日 / 08:00

-話は変わりますが、番組の中で『GODZILLA ゴジラ』(14)に出演したとき、最も大事にしていたシーンをカットされたことを悔しそうに語っていたのが印象的でした。そういう経験をすると、ご自身で監督をしようという気になりませんか。

 クリントの作品(『硫黄島からの手紙』(06))をやったとき、「僕の気持ちを全て酌み取ってくれる優秀なスタッフが全部署にいたら、やってもいいかも」と一瞬血迷ったことはあります(笑)。でもやっぱり、僕はただの俳優なんですよね。編集が苦手で。どうしても演者の気持ちになっちゃうので、無慈悲には切れない。

-編集は他の方に任せることもできますよね。

 そうすると、「なんであれ切ったの? それは俺の作品じゃない」って文句言っちゃうから(笑)。

-なるほど(笑)。

 実はちょっとさかのぼるんですけど、僕が主演したフジテレビの時代劇「御家人斬九郎」(95~02)で監督をしたことがあるんです。でも、それは最終回だったし、主人公を主観的に見る話にしてもらったので、やれただけで。

-クリント・イーストウッドは、俳優から監督になりましたが。

 あそこまでは、割り切れないですね。クリントの割り切り方はすごいですよ。あと、僕らが思う以上に俳優を信頼してくれるから、すごく責任を感じる。だから、ニノ(二宮和也『硫黄島からの手紙』で共演)にも、よく「映画は100年ぐらい残るから、ちゃんとやろうぜ」と言っていたんだけど(笑)。それに対応できるところが、ニノの良さでもあるんですよね。クリントもそういう部分をうまく見分けて、ちゃんと差配している。あれはちょっと、僕にはできないです。

-『明日の記憶』(06)、「TOKYO VICE」(22)などで、プロデューサーは務めていますね。

 これぐらい続けていると、作品をよくするためにはどういう方法論を取ればいいのか、ということに関しては、多少なりとも手助けできるわけです。俳優だけやっているときでも、似たようなことをする機会はあるので。例えば、現場で、「もうすぐ日が落ちるから、今日は撮影を先に進めないと駄目だと思うよ」みたいなことを言ったり。それはある意味、プロデューサー的な目線なので、その辺で僕が力を発揮できることはあると思うんです。でも、監督は「集めた素材を、イエスかノーかでぶった切る」みたいな、もうちょっと冷酷な判断が求められるので。

-だから、そこまでにしておこうと。

 はい。ブレーキを踏んでいます(笑)。

(取材・文・写真/井上健一)

「役者道〜渡辺謙があなたに語る仕事と人生〜」

役者道〜渡辺謙があなたに語る仕事と人生〜

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

吹越満 俳優になった理由は「映画に出たかったから」昭和の文豪・谷崎潤一郎原作の『鍵』で主演【インタビュー】

映画2026年6月10日

-久しぶりの主演作を経験し、お芝居について改めて気づいたことはありますか。  今後は、今までとは違うお芝居のアプローチに挑戦していってもいいのかな、と考えるきっかけになった気がします。現場で「ああすればよかった」、「こうすればよかった」とい … 続きを読む

【映画コラム】5月の公開映画から

映画2026年6月5日

『サンキュー、チャック』 (5月1日公開)★★★ チャックとは一体何者なのか  大規模な自然災害と人災が次々と地球を襲い、世界は終わりを迎えつつあった。すると、街頭やテレビ、ラジオに突如として、「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第21回「風雲!竹田城」小一郎を際立たせる2人の軍師の知恵比べ【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年6月4日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=羽柴秀吉/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。5月31日に放送された第21回「風雲! … 続きを読む

穂志もえか「かなりユニークな、今までに見たことがないような映画になっていると思います」『Never After Dark/ネバーアフターダーク』【インタビュー】

映画2026年6月4日

-ジョーダン・ピールの映画は、アメリカではブラックコメディーとして捉えられていますね。その点は日本人とは感覚が違うと思います。穂志さんはドラマシリーズの「SHOGUN 将軍」にも出ていますが、外国人の監督やスタッフと一緒に仕事する時に違いを … 続きを読む

伊藤健太郎&GACKTの人生を変えた出会いを語る 「連続ドラマW コンサルタント―死を執筆する男―」で初共演【インタビュー】

ドラマ2026年6月3日

 韓国発のダーク・サスペンス小説を実写化したドラマ「連続ドラマW コンサルタント―死を執筆する男―」が、6月7日からWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドで放送・配信される。本作は、ミステリー小説家志望の冴えない男・伊崎耀が謎の組織“カ … 続きを読む

page top