サム・ワーシントン「愛する者を守ることが描かれている」スティーブン・ラング「とてもミステリアスでパワフルな世界」『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』【インタビュー】

2022年12月14日 / 08:00

 ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』13年ぶりの続編で、舞台を森から海に移した『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が、12月16日から全国公開される。今回は、ジェイク(サム・ワーシントン)とネイティリ(ゾーイ・サルダナ)との間に新しい家族が増え、家族の愛と絆の物語がエモーショナルに描かれる。主人公ジェイクを演じたワーシントンと、海兵隊の大佐からナヴィに転生したクオリッチを演じたスティーブン・ラングに話を聞いた。

スティーブン・ラング(左)とサム・ワーシントン (C)エンタメOVO

-この映画のテーマの一つは、ジェイクとクオリッチの対決と、対照的な2組の親子の関係性にあると思いますが、演じていてどう感じましたか。

ラング クオリッチはジェイクに対して怒っています。自分が兄弟のように感じて、友情を結んだと思っていた人に裏切られたからです。それから、クオリッチはすごくフラストレーションがたまってイライラしています。それは自分が死んでしまったのに、それを覚えていないからです(笑)。今回、彼はナヴィとして再生されたわけですが、その怒りを増幅させて、ジェイクと相対しています。

ワーシントン もともと海兵隊というのは、ファミリーのようなものです。ジェイクにとってクオリッチは、自分の過去を象徴する存在であり、脅威でもあり、なかなか殺せない相手なのです。人は過去を消すことはできず、それに向き合うしかない。もしかしたら、この先続くジェイクの物語で、そうしたことが描かれていくのかもしれません。

-お二人にとって、『アバター』という作品はどのような存在になっていますか。

ワーシントン 家族について描いた感動的なドラマだと思っています。それが、自分が選んだ家族の形であれ、惑星であれ、愛する者を守ることが描かれていると思います。僕にとっての最初の『アバター』は、新しい文化、人々、世界、愛といったものに目を開くことでした。今回は、それらを守ることを学んでいる状態を描いていると思います。

ラング とてもパワフルな視点をくれるものだと思います。自分が対処しなければならないものを学ぶ世界だと感じます。とてもミステリアスでパワフルな世界ですが、自分をオープンにしてそれに合わせなければなりません。パンドラが自分に合わせるのではなく、自分から適合しなければならない。とてもミステリアスなものだと思っています。

-ラングさんは、初めてパフォーマンスキャプチャーを体験した感想を、2度目のワ―シントンさんは、技術的に進化したと思ったところを聞かせてください。

ラング この映画では、パフォーマンスキャプチャーが支配的な役割を果たしています。私は、前回も自分の役が大好きでしたが、実写だけだったので、今回、パンドラの世界をしっかりと体験するには、パフォーマンスキャプチャーをしなければなりませんでした。実際にやってみると大変でしたが、とても楽しかったです。とてもいい指導者がいましたし、前作でやった人たちもいたので、彼らにもいろいろと聞いて参考にしました。

ワーシントン もちろん技術面では進化していていますが、同時に自分の演技力も進化していていればいいと思います。撮影のプロセス自体には大きな変化はありませんでしたが、以前に比べるとキャプチャー力が高まったと思います。なので、演技のちょっとしたニュアンスやディテールを、しっかりとキャプチャーされることを信頼できるようになりました。僕たちが役者としてやっている演技の品格のようなものを、決して損なうことなく守ってくれる。それが観客にも伝わる。そうした信頼感を持って臨むことができました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】映画は原作を超えたか 沖縄の現代史を背景に描いた力作『宝島』/純文学風ミステリーの趣『遠い山なみの光』

映画2025年9月18日

『宝島』(9月19日公開)  1952年、米軍統治下の沖縄。米軍基地を襲撃して物資を奪い、困窮する住民たちに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。  村の英雄でリーダー格のオン(永山瑛太)と弟のレイ(窪田正孝)、彼らの幼なじみ … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

 朝鮮の文化を近代日本に紹介した民藝運動家の柳宗悦や陶芸家の河井寛次郎。彼らが1930年代に見た朝鮮の風景に憧れ、1970年に韓国の農村を訪れたのが写真家の藤本巧さんだ。以来50年以上にわたり、韓国の人々と文化をフィルムに刻み続けてきた。 … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

 世界的なスター指揮者のティボ(バンジャマン・ラべルネ)は、突然白血病を宣告され、ドナーを探す中で、生き別れた弟のジミー(ピエール・ロタン)の存在を知り、彼の隠れた音楽的な才能にも気付く。兄弟でありながらも異なる運命を歩んできた2人。ティボ … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

Willfriends

page top