城定秀夫監督「山田裕貴さんは主人公の慎一にぴったりでした」 注目の映画監督が人気若手俳優とのタッグで佐藤泰志作品に挑戦『夜、鳥たちが啼く』【インタビュー】

2022年12月9日 / 17:00

-慎一や裕子、アキラたちが劇中で何度か繰り返す「だるまさんが転んだ」は、原作にない要素です。これも映画化する上で、人と人との距離感を象徴する遊びとして取り入れたのかと思ったのですが。

 これは、脚本の高田亮さんのアイデアです。その意味について詳しく聞いてはいませんが、話してしまうのはなんとなく野暮だと思ったのかもしれません。僕としては、単純に子どもと仲よくなっていく過程にちょうどいいので、選んだという程度で、そんなに深い意味は込めていないつもりです。分かりやすいメタファーを使ってしまうと、原作のテイストとも違ってきてしまいますし。

-なるほど。

 作り手が「こうだ」と言ってしまうと、それだけになってしまうので、僕としては「そうとも取れますね」ぐらいの感じにしておきたいところです。ただ、作品をご覧になった方がいろいろ考えてくれるのはうれしいです。全く思ってもいなかったことを言われて、「そういう意味もあるな」と気付かされることも多いので。

-人と人との距離感は今、すごくデリケートな問題になっているので、そういった点で時代にマッチした作品だと感じたものですから。

 そうですね。「家族の在り方」が多様化している中で、「これがいい」「ああいうのは駄目」みたいなことは言わず、もう少し大らかに「こういうのもいいんじゃない」ぐらいの気持ちでやったつもりです。

-話に出た「家族」というテーマについてはどの程度、意識していたのでしょうか。

 いつ自分の暴力性が再び爆発するか分からずに不安を抱える慎一と、夜になると孤独に耐えられなくなる裕子。どちらも家族を作るのが怖くなってしまい、「自分たちは家族を作る資格がない」と思っている。これは、そんな2人がある結論にたどり着くまでの物語なんです。「家族の在り方」とは言いましたが、そのぐらいに受け止めてもらえればいいんじゃないかと思っています。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)2022 クロックワークス

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

丸山隆平「きっと誰も見たことがないものになる」 舞台「water」で挑む半自伝的作品【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月14日

 丸山隆平と、演劇団体マームとジプシーの主宰を務め、劇作家・演出家として注目される藤田貴大が企画し、作り上げる舞台「water」が9月27日から上演される。本作は、丸山の記憶の断片を散りばめながら、藤田の視点で見つけた京都という土地、そして … 続きを読む

倉悠貴 豊臣兄弟を支える軍師・黒田官兵衛を好演中「最後までしっかり演じ切りたい」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年9月13日

-本作では戦国時代の過酷さが描かれる一方で、ユーモアのあるシーンも多いですが、その辺もお二人が空気感を作っているのでしょうか。  その点は、お二人と一緒に現場を引っ張ってくださる蜂須賀正勝役の高橋努さんの存在も大きいです。この作品は、戦国時 … 続きを読む

安田章大、『髪結いの亭主』の初めての舞台化に「人間たちの退廃感がより響くのではないか」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月9日

 1990年に公開されたパトリス・ルコント監督の代表作『髪結いの亭主』が、安田章大主演で初めて舞台化される。原作となる映画は、一人の男の純粋で偏愛的な恋心を描いたフランス映画の傑作。今回の舞台化では、原作映画を大胆にアレンジし、物語を195 … 続きを読む

【映画コラム】8月の公開映画から

映画2026年9月4日

「ミニオンズ&モンスターズ」(8月7日公開)★★★ 映画のパロディーが満載  最強最悪のボスを求めて旅を続けるミニオンズがたどり着いたのは、1920年代のハリウッド。西部劇の撮影に乱入したことから映画スタジオに入り込み、人気スターと … 続きを読む

山口馬木也 柴田勝家の最期は「不思議な体験でした」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年8月30日

-劇中では、秀長と秀吉に対する「認めたくないが、認めざるを得ない」という勝家の複雑な心情が見事に表現されていました。秀吉役の池松壮亮さんとのお芝居はいかがでしたか。  仲野太賀さんと池松壮亮さんは、周囲に対する気配りを欠かさない素晴らしい俳 … 続きを読む

page top