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『そこのみにて光輝く』(13)、『きみの鳥はうたえる』(18)で知られる佐藤泰志の小説を映画化した『夜、鳥たちが啼く』が、12月9日から全国公開された。内に秘めた破壊衝動に葛藤する売れない小説家・慎一と、離婚を機に幼い息子アキラを連れて慎一の下へ身を寄せたシングルマザーの裕子。人間関係で傷ついた過去を持つ2人の交流を描いた物語だ。人気若手俳優の山田裕貴が主演する本作の監督は『アルプススタンドのはしの方』(20)、『女子高生に殺されたい』(22)などで注目を集める城定秀夫。作品に込めた思いや山田との初タッグの印象などを聞いた。
佐藤泰志さんの小説は幾つも映画化されていて、どれも傑作ぞろいですが、今回は「生きる厳しさ」みたいなことを描いた今までの作品とは、ちょっと違うテイストのものをやりたかったんです。そういった中で、疑似家族をテーマに、子どもも出てきて、前向きに終われる温かな作品にしたいと思って、短編集『大きなハードルと小さなハードル』に収録されている『夜、鳥たちが啼く』と『美しい夏』をミックスして一つの物語にしました。
そうですね。最初のきっかけは、『海炭市叙景』(10)を見たことです。あの映画に非常に感銘を受け、それから佐藤さんの小説を読むようになり、自分でもいつか佐藤さんの小説を映画化したいと思っていました。だから、お話を頂いたときは、すごくうれしかったです。
山田さんの起用はプロデューサーからの提案です。僕は最初、山田さんに、「鋭さ」みたいなイメージを持っていたので、この役に合うのか、やや不安な部分もありました。でも、実際にお会いしてみると、温かさもありつつ、物静かで鋭く見える部分もある。それが、暴力性や葛藤を内に抱えながらも、子どもに優しい一面もある慎一にぴったりだなと。
山田さんも「この主人公の気持ちがよく分かる」と言って、すごく乗って演じてくれました。だから、なるべく山田さんが作ってきた慎一の人物像を生かす形でやっていきました。現場でも、カメラが回ってないところで(裕子役の)松本まりかさんや(アキラ役の)森優理斗くんと雰囲気づくりをしてくれて、撮影が進むにつれ、だんだん本当の家族のようになっていく感じがありました。
山田さんはたぶん、一つ一つの物事をものすごく深く考えるタイプなんですよね。哲学や倫理など、思考実験みたいなものが好きなようで。森優理斗くんから、例えば「人はなんで生きているの?」みたいな子どもらしい質問をされたときも、ものすごく真面目に答えているのが、すごく印象的でした。そういう意味では、人間の在り方や生き方みたいなものに意識が行っているんじゃないかと思います。
それはあるかもしれません。あまり分かりやすいメタファーになると、底が割れる気がするので、それほど意識しているわけではありませんが。ただ、「関係性の変化」みたいなものは、そういうところに当てはまりますよね。ドラマの基本は関係性の変化ですし。
ものにもよりますが、自然とそうなっていくのかもしれません。あまりテーマを先行させないので、出来上がった後に、ふと「こういうテーマだったな」と気付くことの方が多いんです。そもそも、スケジュールの問題などもあり、先に決めてしまうとなかなか思い通りに行かないことが多くて。それと、俳優部や撮影部など、各パートのプロが作り上げた成果を作品として一つにまとめるとき、前もって完成図を用意しておかない方が面白いんですよね。
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