白洲迅「この家族がどうやって壁を乗り越えていくのかを見ていただきたいです」 映画『向田理髪店』【インタビュー】

2022年10月13日 / 11:21

 九州のさびれた元炭鉱町「筑沢」にある理髪店の親子の葛藤を軸に、家族の絆や人と人とのつながりの大切さを描いた『向田理髪店』が、10月14日から全国公開される。この映画で、突然東京から帰郷した息子の向田和昌を演じた白洲迅に、映画への思いや見どころなどを聞いた。

白洲迅(写真:Fujimoto Kazuhiro/ヘアー&メークアップ:Moteyama Tacaco/スタイリスト:Mochida Yosuke)

-東京の出身なので、今回の九州弁のせりふは難しかったですか。

 簡単ではなかったですけれど、思ったよりも、イントネーションは案外標準語と変わらない感じがして、関西弁よりは難易度は低いかなと思いました。僕の勝手な印象ですけど。

-今回、演じる上で気をつけたことは何かありましたか。

 脚本を読んで、大事なのは、ちゃんと親子に見えるようにすることだと思いました。(父親役の高橋)克実さんとも、(母親役の)富田(靖子)さんとも「はじめまして」だったのですが、撮影の初日から、すぐに親子になれた感じがして、心配はなくなりました。

-この映画のテーマの一つは、父と子の対立や葛藤でしたが、それについてはどう思いましたか。

 この映画は、僕が演じた和昌が、仕事を辞めて、東京から帰ってくるところから始まります。もちろん、新しいことを始めたいとか、親を思って「床屋を継ぐ」という、その言葉にうそはないと思います。ただ、東京から逃げてきたという気持ちもあるから、面と向かって、おやじとはなかなか素直には話せない。そういう空気感は、克実さんにも助けられながら出せたと思います。いいセッションができたと思っています。

-和昌に共感する部分はありましたか。

 ものすごくありました。年齢的に近いせいもあったのですが、20代の後半は、一度立ち止まって「このままでいいのかな」と考える時期だと思います。この時期は、学生が終わって、初めての悩む時期なのかなと。なので、和昌は、そういう若者の代表のようなキャラクターだと思います。僕は今年で30歳になりますが、和昌と同じ年頃だった2、3年前は、本当によく悩んだり考えたりしていました。だから、とても共感できる役でした。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。謎の絵師“写楽”が、蔦重の下で歌麿(染谷将太)ら当 … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。これまで、いくどとなく視聴者を驚かせてきたが、第4 … 続きを読む

Willfriends

page top