【インタビュー】「女の一生」大竹しのぶ&高橋克実&段田安則&風間杜夫「一言一言がじんわりとお客さんの心に染みわたっていく作品に」

2020年10月20日 / 08:05

 昭和20年、終戦直後に森本薫が書き下ろし、杉村春子が初演した「女の一生」。杉村は、その生涯で、947回にわたって主人公の布引けいを演じ、観客から圧倒的な支持を得た。今回、その布引けい役に大竹しのぶが初めて挑む。段田安則が、けいが拾われる堤家の長男・伸太郎役を演じるとともに、演出も担当。堤家の次男・栄二を高橋克実、伸太郎や栄二の伯父・章介を風間杜夫が演じる。大竹、高橋、段田、風間に、公演への思いを聞いた。

大竹しのぶ、(後列左から)高橋克実、段田安則、風間杜夫

-明治・大正・昭和という、激動の時代を強く生き抜く布引けいの一生を描いた本作ですが、令和の今、公演することについてどう考えていますか。

段田 新型コロナウイルスの世界的な流行という初めて経験する事態の中での公演で、さまざまな思いはありますが、過去を振り返れば、戦争で生きるか死ぬかという時代もありました。布引けいは、まさにそのような大変な時代を生き抜いた女性です。コロナを経験した今だからこそ、布引けいの人生がより浮かび上がるのではないかと思っています。

大竹 人生には想像もしていないことが起こります。一般市民からしたら、戦争もまさにそうです。この物語の中では、第1次、第2次世界大戦に巻き込まれていくけいたちの姿も描かれていますが、けいは、その中でも前を向いて生きてきました。コロナは戦争ではありませんが、同じようにみんながさまざまな思いを抱えて生きている今だからこそ、ぜひ劇場で生の声を聞いてほしいなと思います。

高橋 まさに、今のコロナの状況とリンクする物語だと思います。この物語の最後に、栄二が焼け野原を見て、「ひどい目に遭ったけれど、新しいこれからの世の中を見てみたいんだ」と前を向くシーンがあります。マイナスばかりを見ていても仕方ない。少しでも前に向かって歩いていくしかない。そんな気持ちを表すシーンですが、この芝居を見たお客さんが、少しでも自分の未来に希望を持てたらいいなと思います。

風間 僕は、2009年と2011年に、新派公演の栄二役でこの作品に出演しました。そのときも、東日本大震災が起こり、日本全国の人が心をふさがれるような思いをしていた時期でした。当時、全国で公演させていただいたのですが、そのときのお客さんから、「芝居には力がある、明日に向かってさらに生きよう」という思いを感じられました。今、またコロナという大変な災害の中、この作品を上演することで、見た方の心に届くものになるのではないかと思います。

-段田さんは、今回、演出も担当されますが、けいをどのように見せていきたいですか。

段田 女の一代記というと、若い頃から女の子がいじめられながらも頑張って、その努力が実って成功するという物語が多いのですが、この本は、それだけではない、けいという人間の影の部分もしっかりと描かれているんです。それは、時代や環境がそうさせている側面も大いにあるとは思いますが、良い部分だけを描いているのではないからこそ、魅力的だと感じました。大竹さんは、素晴らしい感性を持っていらっしゃるので、僕が言うまでもなくきっと魅力的に演じてくださるのだろうと思いますが、そういったけいの陰と陽を見せていきたいと思っています。

-それぞれの役柄について、どんな点を大切に演じたいですか。

大竹 なかなか巡り合えない、素晴らしい本だなとやればやるほど思います。杉村さんが昭和20年から始めて、40年以上も掘り下げていったものです。そのぐらいすごい戯曲なんだなって思います。一言一言がじんわりとお客さんの心に染みわたっていく作品になればと思います。

高橋 僕の演じる栄二は、(劇中では)19歳から59歳までが描かれます。今、僕は59歳なので、実年齢と同じ年齢の役柄を演じるわけです。若い年齢から、この年まで、どうやって演じていくのかが課題です。特に、昔の方は今よりも落ち着いている方が多いと思うので、時代に合わせてどう寄せていくのかというのは、意識していきたいです。

風間 章介おじさんは、めいっ子、おいっ子たちがかわいくて仕方がないんです。それから、けいに対しては、経営上手なできる女という以上に、1人の女性としても魅力を感じていたんだと思います。それはもちろん、最後まで言い出せないのですが、目を開かされたところがあったんだろうな、と。それも含めて、堤家をこよなく愛している、大変魅力的なおじさんだと思って演じたいと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【大河ドラマコラム】「麒麟がくる」 第三十四回「焼討ちの代償」信長の一瞬の表情ににじむ光秀とのすれ違い

ドラマ2020年11月30日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「麒麟がくる」。11月29日放送の第三十四回「焼討ちの代償」では、織田信長(染谷将太)の比叡山焼き討ちに反発した反信長派の摂津晴門(片岡鶴太郎)が、将軍・足利義昭(滝藤賢一)を後ろ盾にした筒井順慶(駿河太郎) … 続きを読む

【インタビュー】「十三人の刺客」中村芝翫「ぜひまた克典さんと共演を」高橋克典「家族に近い感覚でできたことが楽しかった」幼なじみの2人が、名作時代劇のリメークドラマで初共演

ドラマ2020年11月27日

 昭和の名作時代劇が、令和の時代によみがえる。昭和38(1963)年の公開以来、映画やテレビドラマ、舞台劇として何度もリメークされてきた「十三人の刺客」が、NHK BSプレミアムで11月28日(土)午後9時から新作テレビドラマとして放送され … 続きを読む

【インタビュー】『記憶の技法』石井杏奈「自分も華蓮と一緒に旅をした気分になって、自然と成長していけたと思います」

映画2020年11月26日

 東京に住む女子高校生の鹿角華蓮(かづの・かれん=石井杏奈)は、奇妙な記憶喪失癖に悩んでいた。幼少期の記憶の断片が不意に脳裏をよぎり、しばしば意識が飛んでしまうのだ。ある日、華蓮は自分が養子であることを知る。真実を知りたいと考えた華蓮は、同 … 続きを読む

【インタビュー】「23階の笑い」小手伸也 三谷幸喜演出の舞台で「全力で恩返しをするときがきた」

舞台・ミュージカル2020年11月25日

 三谷幸喜が演出する、ニール・サイモン作の「23階の笑い」が、12月5日から上演される。本作は、熾烈(しれつ)な視聴率戦争で各局がしのぎを削っていた1950年代のアメリカのテレビ業界が舞台。ある高層ビルの23階の一室に集まった人気コメディア … 続きを読む

【大河ドラマコラム】「麒麟がくる」 第三十三回「比叡山に棲(す)む魔物」光秀を比叡山焼き討ちに導いた運命の歯車

ドラマ2020年11月23日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「麒麟がくる」。11月22日放送の第三十三回「比叡山に棲(す)む魔物」では、朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)と比叡山の天台座主・覚恕(春風亭小朝)の同盟に苦杯を喫した織田信長(染谷将太)が、家臣たちに比叡山 … 続きを読む

page top