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成田 この間テレビで、宝塚音楽学校を目指す女の子たちを追った番組をやっていたんですけど、宝塚音楽学校って最大4回しか受験できないらしいんです。その中に最後の一回に挑む方がいて、すごく練習して、「こんなに努力したことない。だから、何も後悔はないです」って言っていたのに、結局、落ちちゃったんですよね。でも、まだ18歳ぐらいで夢破れた女の子が、泣き崩れながらも「私はこの経験ができたから…」って胸を張る。それが無茶苦茶かっこよくて、見ているこっちまで泣きそうになって。
伊藤 「夢」って、生きる上で一番大きな理由になると思うんです。何かを追い掛けている最中って、夢中だからとにかくがむしゃらに生きるじゃないですか。生きる理由が一つ増えるだけでも、「夢」にはとんでもない価値がある。
成田 そんなふうに夢を追う素晴らしさがある一方で、途中でやめる勇気にもすごく価値があると思うんだよね。この作品も「夢を諦める勇気」とその先の人生を描いているわけだし。
伊藤 むしろ、夢がかなわなかった人より、夢のない人の方が自分の価値を見失ったりする恐れが高いと思う。そんなときは、ちょっとした目標を「夢」ってことにしちゃえばいいんじゃないかな。普段、何げないときに、ふと「こうなったらいいな」とか「こうなりたいな」と思ったこととか、なんでもいい。そんなに大それたものだと構えず、「一つぐらい持っといたら楽しいかも」ぐらいに考えて。そうすれば、多少なりとも人生の彩りが増したり、新しい刺激をもらえたりするんじゃないかと思います。世の中大変なことも多いけど、やっぱりみんなに生きていてほしいですから。
(取材・文・写真/井上健一)
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