【インタビュー】ドラマ「あなたに聴かせたい歌があるんだ」成田凌「燃え殻さんの文章を読んでいると、忘れていた記憶がよみがえってくる」 伊藤沙莉「夢は生きる大きな理由になる」ベストセラー作家・燃え殻原作の群像劇に出演

2022年6月1日 / 12:00

 役者、アイドル、小説家、バンド、物まね芸人…。それぞれの夢を追って高校を卒業した若者たちは、10年後、どんな人生を歩んでいるのか…? デビュー作「ボクたちはみんな大人になれなかった」が幅広い層に支持され、ベストセラーとなった注目の作家・燃え殻。彼が書き下ろした完全オリジナルストーリーを原作に、夢をかなえる人生から降りた若者たちの姿を、17歳の高校時代と10年後の27歳を軸に描いた全8話の群像劇、Huluオリジナル「あなたに聴かせたい歌があるんだ」が5月20日からHuluで全話独占配信中。豪華キャストがそろった本作に主演する成田凌と、同級生役の伊藤沙莉が、原作者・燃え殻の印象から、夢を追うことの意味まで、縦横無尽に語り合った。

成田凌(左)と伊藤沙莉 (C)エンタメOVO

-燃え殻さんの作品について、どんなイメージを持っていますか。

成田 僕らは燃え殻チルドレンだと思っています(笑)。

伊藤 朗読劇(燃え殻原作の『湯布院奇行』)やってましたものね(笑)。私も映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』(21)でお仕事をさせていただきましたし。

成田 燃え殻さんと初めてお会いしたとき、いろんなお話を聞いて、「この人は何人分の人生を生きてるんだろう?」と思ったんです。20代ならではのモヤモヤがありつつ、高校生のモヤモヤもすごく鮮明に表現されている。僕の方が、高校生は近い記憶のはずなのに、燃え殻さんの文章を読んでいると、忘れていた昔の記憶が「ああ、確かに…」って感じでよみがえってくる。

伊藤 きっと観察力がすごいんですよね。たくさんの方とお会いして、お話を聞くのも好きなんだと思います。そこから「こういう人だったら、こう考えるんだろうな」とか、いろんなものをヒントにして書くのがすごく上手で。

成田 しかも、自分目線だけじゃなく、いろんな視点から描いている。どういう感覚で人生を歩まれているのか、すごく気になります。記憶力がすごいのか、ちゃんと一個一個の物事を記憶して、自分の心に深く刻んでいるんだろうな、という印象です。

伊藤 ご本人もおっしゃっていましたけど、普通は当てないところにスポットを当てて、それをすごく魅力的に描かれますよね。「夢をかなえるサクセスストーリー」を書く人は多いけど、夢がかなわなかった人を描くのって、落ちをどうするかも含めて、とても難しいと思うんです。でも、そういうところに光を当てつつ、きちんと寄り添って描いている。それがすごいですよね。

-この作品ではそれぞれの夢を追う若者たちの17歳と27歳を軸に物語が進みますが、その10年のギャップから人生のほろ苦さがにじみ出すあたり、まさに燃え殻さんの本領発揮といった感じです。登場人物たちと同世代のお二人は10年前、どんな人生を送っていましたか。

成田 ひたすら高校のサッカー部で走っていて、つらい毎日でした。今日の撮影のスタイリストさんが当時の同級生なんですけど、毎日一緒に過ごして、部活が終わって帰る途中、彼が必ず「12時間後にはここにいるんだな」と言ってて(笑)。

伊藤 あはは…(笑)。

成田 あまりに練習がキツくて、顧問の先生に「辞めたい」と言ったこともありました。結局、辞めませんでしたが。将来の進路だって、先生から「進路どうするの?」と聞かれたとき、隣にいた友人に「俺たち、専門学校行きます」って一緒に手を挙げられて決まっていました。この世界に入ったのも、古着屋でバイトをしているときにマネジャーさんから声を掛けられたことがきっかけなので、当時は今みたいな10年後は想像もしていなかったです。

伊藤 私は9歳からこの仕事をやらせていただいていて、17、8歳の頃は、このまま職業として続けるのか、続けないのか、自分が向いているのか、向いていないのか、そんなことを一番考えた時期でした。当時はそれほど仕事が多かったわけでもないですし、むしろ小、中学生の頃の方が、オーディションには受かっていたんです。ただ、学園ものが多く、ある大人から「学生服を着ている姿しか想像がつかない」と言われたこともありました。そうなると、この先、学生でなくなったら、できる役がなくなる、という先の見えない怖さもあって、そんなことをずっとぐるぐる考えていました。

成田 大人じゃないですか。僕なんか、「12時間後、ここにいるのか」ってやっていただけなのに(笑)。

伊藤 大人じゃないですよ。12時間後には私も学校にいましたし(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

俳優デビュー25周年の上戸彩が15年ぶりの写真集を発売 台湾で幻想的な夜市でのロケから寝起き姿まで多彩な魅力満載

イベント2025年7月14日

 俳優デビュー25周年を迎えた上戸彩の写真集『Midday Reverie(ミッドデイ・リヴァリー)』(宝島社)が、7月10日に発売された。発売記念イベントが、7月12日(土)に大阪で、そして7月13日(日)に東京・紀伊国屋書店 新宿本店で … 続きを読む

JT・モルナー監督「この映画の実現は厳しいと言われた時に、『羅生門』を見れば分かると言いました」『ストレンジ・ダーリン』【インタビュー】

映画2025年7月11日

 シリアルキラーの恐怖に包まれた街を舞台に、とある男女の出会いが予測不能な展開へと突き進んでいく様子を、時系列を巧みに交錯させた全6章の構成で描いたスリラー映画『ストレンジ・ダーリン』が7月11日から全国公開される。米映画批評サイトのロッテ … 続きを読む

鹿賀丈史「演じることよりも感じることの方が先だったかなと思います」『生きがい IKIGAI』【インタビュー】

映画2025年7月10日

 2024年の元旦に発生した地震で甚大な被害を受け、さらに8カ月後の豪雨によって2度目の災害に見舞われた能登で、ボランティア活動に参加した宮本亞門監督が、復興支援を目的に製作したショートフィルム北陸能登復興支援映画『生きがい IKIGAI』 … 続きを読む

千賀健永、頭が良くてゲームが上手な弟に「かわいい復讐心はありました」【インタビュー】

ドラマ2025年7月7日

 トリンドル玲奈が主演するドラマ「レプリカ 元妻の復讐」が、7日23時6分からテレ東系で放送がスタートする。本作は原作・タナカトモ氏、作画・ひらいはっち氏による同名漫画を映像化。整形して別人として生きる主人公・伊藤すみれ(トリンドル)が、人 … 続きを読む

安田顕「水上くんの目に“本物”を感じた」水上恒司「安田さんのお芝居に強い影響を受けた」 世界が注目するサスペンスで初共演&ダブル主演「連続ドラマW 怪物」【インタビュー】

ドラマ2025年7月5日

 韓国の百想芸術大賞で作品賞、脚本賞、男性最優秀演技賞の3冠を達成した極上のサスペンス「怪物」。WOWOWが世界で初めてそのリメイクに挑んだ「連続ドラマW 怪物」(全10話)が、7月6日(日)午後10時から放送・配信スタート(第1話・第2話 … 続きを読む

Willfriends

page top