「この先、義時は毎回シビアな決断を迫られる状況になっていきます」小栗旬(北条義時)【「鎌倉殿の13人」インタビュー】

2022年5月7日 / 08:00

-義時の変化には、頼朝の存在が大きく関わってくると思いますが、その影響をどう捉えていますか。

 難しいところですが、義時がここまで頼朝に従ってきた理由の一つに、「坂東武者の世を作り、その上に北条が立つ」と言っていた兄・宗時(片岡愛之助)の言葉がまずあります。でも、宗時の言葉だけをモチベーションにして20年近くやってきたのかというと、たぶんそうではないだろうと。途中から、兄の思いはありつつも、頼朝に対しても「この人を支えなければ」という思いがだいぶ強くなっていったと思うんです。

-というと?

 頼朝と過ごす時間の中には、義時にとって納得いかないこともありましたが、その向こうには、いつまでたっても誰も信用できずにいる頼朝を支えられるのは自分だけ、という思いもあったんじゃないかと。もちろん、頼朝を支える人は他にもいたと思います。でも義時は、自分が頼朝を裏切ったら、すべてが崩れてしまうということを信じていた。だから、頼朝に最後まで付き合うことにしたと思うんです。そういうことがうまく伝わったらいいな、と思いながら演じているところです。

-義時はこれからますます大変な状況に追い込まれていきそうですね。演じる小栗さんのメンタル面はいかがでしょうか。

 正直、結構しんどいですね(笑)。最初の頃は、明るく楽しい北条一家、みたいな感じでしたが、そういうものもだんだんなくなってきていますから。ただ有難いことに、現場では楽しく撮影が進んでいるので、気分がドーンと沈むようなこともなく済んでいます。

(取材・文/井上健一)

北条義時役の小栗旬 (C)NHK

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

-戦場で、田丸が絵や漫画を描くことにどのような意味があったと思いますか。  功績係に任命された田丸には、もちろん何かを書き記すという使命感もあったでしょうが、いつ自分や仲間が命を落とすか分からない状況の中で、自分の世界の中で向き合えるものが … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  -雰囲気のいい現場だったようですね。  中でもしのぶさんは、「これはこういうことなのかな?」といった感じで、積極的に質問をされるんです。その上、「私、緊張しちゃう」などと、ご自身の気持ちを織り交ぜながら現場にいてくださるので、私も質問が … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  ―確かにその通りですね(笑)。  ただ、大半は史実通りですが、(小田)新之助(井之脇海)とふく(=うつせみ/小野花梨)ととよ坊の一家、序盤に登場した蔦重の恩人の花魁・朝顔(愛希れいか)など、一部に私が創作したオリジナルキャラもいます。と … 続きを読む

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

Willfriends

page top