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昨今、世界中で注目を集める“難民”の問題。幼い頃、故郷を逃れたクルド人の家族と共に来日し、日本の高校に通う17歳の少女サーリャ(嵐莉奈)の目を通して、難民問題をベースに日本の現状を映し出した意欲作『マイスモールランド』が5月6日から全国公開となる。是枝裕和監督率いる映像製作者集団“分福”の新鋭・川和田恵真が商業映画初監督を務める本作で、サーリャと心を通わせる高校生・聡太を演じたのは、鮮烈なデビュー作『MOTHER マザー』(20)で数々の映画賞に輝いた注目の若手俳優・奥平大兼。2年ぶりの映画出演となる本作の舞台裏、役に込めた思いなどを聞いた。
僕は映画で俳優としてスタートしたので、気持ち的には「帰ってきた」という感じで「頑張ろう!」と気合が入りました。この2年、映画の現場がずっと恋しかったので、「戻ってこられた」という思いも強かったです。
クランクインするまではあえて何も調べず、役作りもしないようにしていたので、「クルド人」という言葉以外は一切知りませんでした。実は監督の意向で、莉菜さんの家族(劇中でサーリャの家族を演じているのは、実際の嵐の家族)に会ったのも、現場が初めてだったんです。クルド人や難民を巡る細かい事情については、現場で初めて触れる方がいいのかなと。撮影が進む中で、聡太と一緒に知っていった感じです。
読みました。でも僕は、台本を自分のパート以外は読まないんです。結末を知っておかないと都合が悪い場合はさっと読みますが、基本的には自分のせりふだけを覚えるようにしています。相手のせりふは知らないまま、情報もないまま、撮影のときに初めて聞いて反応するというやり方をしています。ただ、それはこの現場に限ったことでなく、他の現場でもほぼ同じです。
役について、「こうしてほしい」という話はなく、「自由にやってもらって構いません。せりふも好きに変えてもらって大丈夫」と言ってくださったので、現場で感じたまま演じさせていただきました。
監督からは「聡太はサーリャにとって楽しい時間を一緒に過ごす相手で、映像的にも聡太との時間は楽しくしたい」と言われていました。だからと言って、無理に楽しくするのも違うので、僕はシンプルに、サーリャを喜ばせることと、自分が楽しむことだけを心掛けました。その方がサーリャも素直に反応できるんじゃないかなと思ったので。
お芝居の話はしないようにしました。僕も莉菜さんと同じように、お芝居の経験が全くないまま『MOTHER マザー』でデビューしたので、気持ちは少し分かるんです。他の役者さんから、お芝居について「こうしてみたら」と言われても、どうしたらいいのか分からないし、やれる自信もなかったですし。
本人は何も言っていませんでしたが、初めてのお芝居で主演を務め、サーリャという大変な役を演じるのは、ものすごいプレッシャーだったと思うんです。だから、莉菜さんがお芝居をしやすいようにしてあげられたら…とは思っていました。とはいえ、僕もまだ2年目で、他人にアドバイスができる立場でもないので、せめてカメラが回ってないときは楽しく過ごそうと、服や音楽の話で盛り上がっていました。それこそ、「ここは本当に撮影現場なのか?」というぐらいの勢いで(笑)。
川和田監督も初めての商業映画ということで、最初に「皆さんと一緒に作っていきたい」とおっしゃっていましたが、とてもアットホームな現場で、居心地はすごくよかったです。莉菜さんも楽しそうでしたし、みんなで模索している感じがあって、「一緒にものを作っている」という手応えがすごくありました。
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