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朝ドラヒロインも務めた国民的女優・有村架純は、一体休日に何をしているのだろうか…? そんな誰もが気になる姿を、気鋭のクリエイターたちが妄想を膨らませて描き出す1話完結のオムニバスドラマが、3月20日からWOWOWでスタートする。その名も「有村架純の撮休」。ときには帰省して母と再会したり、ときには人間ドックへ行ってみたり…。全8話にそれぞれ違った顔を持つ8人の有村架純が登場し、趣向を凝らしたユニークな物語が繰り広げられる。その中の2話を監督したのが、日本を代表する映画監督・是枝裕和。主演の有村と是枝監督に、作品の見どころを聞いた。
有村 これまで、等身大の女性を演じる機会がとても多かったので、自分の中で「それぞれ、どう違いを出していけばいいんだろう?」という状態になっていたんです。「こういう役が続くと、もう出すものがないかも…」というほどで。そんなところにこのお話を頂き、「いろいろなことを試せるいい機会かもしれない」と思いました。「有村架純だけどそうでない人物を、いいバランスでどう演じるか」ということに挑戦してみてもいいかな…と。だから、なるべく8通りの自分を演じることを心掛けました。
有村 是枝さんの「ただいまの後に」(第1話)が、すごく自分に近かったので、それを軸に、他をどうするか考えていきました。それぞれ脚本を読んだ印象を基に、「これはこういう部分を出してみたらいいかな…?」と、なるべく自分の中に潜んでいるものを出すようにして。ただ、そこから離れ過ぎると、有村架純ではなく、別のキャラクターになってしまうので、行き過ぎないように気を付けました。そういう意味では、どの作品もどこかに私らしさは出ていると思います。
是枝 僕も2本やらせていただき、津野愛(第7話監督・脚本)さんの現場ものぞかせてもらいましたが、「いかにも」といった演じ分けではない形で、きちんと違うものを出している。さすがだなと思いました。
有村 「ただいまの後に」(第1話)は、久しぶりに帰省して母親と再会する話ですが、母親役の風吹(ジュン)さんとのやり取り全般がすごく好きです。親子とはいっても、離れて暮らしていると、見えないものがありますよね。だから、久しぶりに会うと、状況もいろいろ変わっている。そういうところは、すごく分かるな…と。たまに会うと、背中が小さく見える…みたいな経験は私にもありますから。1人の人間として向き合うことになった親子が、よそよそしい感じでお互いの状況を探り合うやりとりが、すごくリアルに感じられました。
是枝 有村さんが言ったように、母が違う生き物に見える瞬間があり、そこで関係や言葉遣いが変わってくる。そういう娘の目線の中に芽生えるイラつきやいたわり、さらにはその感情が自分に跳ね返ってきたときの戸惑い…みたいな微妙なものを、きちんと捉えたいと思っていました。
是枝 「ただいまの後に」の、有村さんと風吹さんの芝居は、撮っていて楽しかったです。特に印象的だったのが、けんかが始まって、台所にいる母親の背中を見ながら文句を言って近づいていくところ。画面の隅で切れる瞬間、有村さんが「ふんっ!」と鼻で笑ったんです。「ふんっ!」の最後には、もう本人が画面から消えているぐらいのタイミングで。その絶妙な感じが素晴らしくて(笑)。
有村 (笑)。
是枝 「人間ドック」(第3話)は、病院のエコー室で再会した元カレの検査技師との会話が中心ですが、2人の距離感が変化していく様子を、なるべくいろいろな形で撮ろうと思っていました。ずっと検査用のベッドに横たわったままなので、シチュエーションは変わらない。でも、その中で恋愛ドラマとして、2人の距離感の変化を表現したいと。有村さんは期待通り、患者から女になる瞬間を表現してくれたと思います。ただ、あんなに長く人の“おへそ”を撮ったのは、初めてでしたけど(笑)。
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