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井上芳雄が主演する舞台「奇蹟 miracle one-way ticket」が、都内・世田谷パブリックシアターで上演される。本作は、劇作家・北村想が書き下ろした新作舞台。記憶を失くした名探偵とその相棒が、どこからか届いた謎の依頼を受けて、深い森へと出向いていく。本作で、謎の女性・マリモを演じるのは井上小百合。井上は、2020年に乃木坂46を卒業後、本作の企画・製作も行っている芸能事務所シス・カンパニーに移籍し、俳優として本格的に活動をスタートした。本作は、井上にとって念願のシス・カンパニー制作舞台への出演となる。井上に稽古を通して感じたことや、本作への意気込み、さらには俳優業への思いを聞いた。
夢のようでした。今でも夢を見ているんじゃないかなと思っているほどです(笑)。ですが、うれしかったのと同時に、シス・カンパニーに所属している役者として、この公演に出演するということで、「新しい子が(事務所に)入ったみたいだけど、微妙だったね」と思われてしまったら、先輩たちに申し訳ないと思うので…。なので、今(取材当時)は、うれしい気持ちとプレッシャーとを両方抱えながら、毎日を大切に過ごそうと思って稽古に臨んでいます。
最初に台本を読んだときは、小説のように楽しく読み進めることができる作品だと思ったのですが、逆にいってしまえば、それはすでに台本だけで完成しているようにも感じました。なので、これを役者がどう演じれば舞台としてやる意義があるのだろうということはすごく悩みました。さまざまな解釈ができる物語で、それがこの作品の面白さでもあると思うのですが、役者が舞台に立って演じると、ニュアンスが違ってしまうのではないかという懸念もあって…。それぞれの価値観と解釈で表現していくのもいいのかもしれませんが、そうすると謎が謎を呼んでしまうので、今は、道筋を立ててやろうと、カンパニー一丸となって進めています。
これまでさまざまなミステリー作品を映像で見たり、舞台で見たり、本で読んだりしてきましたが、この作品は私が出会ったことがないようなミステリーでした。脚本の北村さんが「そもそもつじつまが合うものを作ってしまったらつまらない」とおっしゃっていたのですが、いかようにも解釈できるし、見方によっては全く違う作品になります。それが面白いと私は感じました。ミステリーと言いながらも面白いシーンも出てきますし、井上(芳雄)さんが歌うシーンもありますし、てんこ盛りです。これまで見たことがないものを稽古場で作り上げているので、ミステリーと呼んでいいのだろうかというぐらい斬新で、前衛的な作品になるんじゃないかなと思っています。
この作品は、井上さんが演じる探偵と、鈴木浩介さんが演じるその助手が“迷いの森”に迷い込むところからお話が始まるんですが、私が演じるマリモちゃんは、その“迷いの森”にいる謎の女性です。善なのか悪なのか分からない女性ですが、彼女の過去や人生をひも解いていくと、少しずつ(マリモの)物語が見えてきます。純粋でピュアなのか、それとも計算しているのかも見方次第だと思いますが、私自身は、彼女は純粋な女性だと今は解釈しています。真っすぐでピュアだから人を信じてしまい、結果としてこうなってしまったと、マリモちゃんを通して、人間の未熟さをお客さんに感じていただけたらいいなと思います。
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