【インタビュー】舞台「ライフ・イン・ザ・シアター」高杉真宙 勝村政信との“二人芝居”に初挑戦「俳優としての不安や焦りみたいな気持ちは、すごく理解できる」

2022年3月1日 / 08:00

 舞台「ライフ・イン・ザ・シアター」が、3月3日から上演される。本作は、アメリカの劇作家、デビッド・マメット作の、90分間の二人芝居。ベテラン俳優のロバートと、無限の可能性を秘めた若手俳優のジョンが、舞台上や楽屋裏など、「劇場」のあらゆる場面で交わす会話をオムニバス形式で描くヒューマンドラマだ。ロバートを勝村政信、ジョンを高杉真宙が演じ、俳優としても活躍する千葉哲也が演出を担当する。本作で、二人芝居に初挑戦する高杉に、舞台の見どころや、勝村の印象、理想の俳優人生のプランなどを聞いた。

ジョン役の高杉真宙 (C)エンタメOVO

-舞台の話が決まったときは、どんなことを感じましたか。

 二人芝居の緊張感は半端じゃないなと、マジかと思いました(笑)。勝村さんとは、以前に2度ほど作品でご一緒したことがあったのですが、ガッツリと共演させていただくシーンはなかったので、勝村さんと共演できるうれしさもありました。

-ジョンを演じる上で、意識していることは?

  ジョンは、ひょうひょうとした、素直で誠実な青年になればいいなと思いながら演じています。勝村さんとの二人芝居なので、どの場面も、空間の全てを2人だけで作っていかなければいけないんだなという緊張感を感じながら稽古しています。

-勝村さんの印象は?

 勝村さんは、舞台上で自分をコントロールして、その中でどう爆発させるのかを考えて、計算した上で動いているので、全てがすごいなと思わされます。お客さまに対しての「見え方を考えた方がいい」とか、「せりふを話す上での動機を考えた方がいい」ということをお話してくださったり、たくさんのことを教えてくださいます。

-「俳優の生きざま」が描かれる作品ですが、物語に共感する部分はありますか。

 ロバートが感じている俳優としての不安や焦りみたいなものは、すごく理解できるなと思いました。出る側の人は、皆焦りや焦燥感のような気持ちはあると思いますし、じゃあ、どうするかというのを考える作業が、ずっと付きまとう職業なので。でも、「演じること」が面白いんですよね、だから演じるんだろうなというところも共感しています。

-高杉さんが演じるジョンの方に、共感するところは?

 あまりない気がします(笑)。ジョンのように積極的に先輩に対して行くことができていたら、僕の人生は変わっていたなと思うので、本当にうらやましいなと思います。

-10代の頃から、まさに「ライフ・イン・ザ・シアター」のような生き方をしている高杉さんですが、芸能の世界でも、歌手やアイドル、モデルなどのさまざまな道がある中で、俳優の道を選んだきっかけは、どんなことだったのでしょうか。

 単純に僕は、歌と踊りができないんです(笑)。そもそも僕は、テレビで、ドラマや映画、バラエティー番組などを見たことがなくて、アニメ以外の時間は、全くテレビがついていない家で育ったので、俳優という職業の存在自体がよく分からなくて、憧れる職業ではなかったんです。そういう中で、スカウトをしていただいて、いろいろな作品に携わっていくうちに、作品作りの面白さに触れることができて。16歳のときに出演した映画『ぼんとリンちゃん』が、演技が面白いなと思い始めるきっかけになりました。

-劇中では、老いに不安を抱えるロバートの姿も描かれますが、高杉さんの理想の俳優人生のプランを教えてください。

 生意気な発言だと思うのですが、50歳から60歳の頃には、自分で「この作品に出たい」と願ったら、出られる人になっていたいなと思います。出たいと思う作品があっても、自分のスキルやスペックが間に合わないことは結構あるので、そういう作品に出会ったときは、ちゃんと選ばれる人になっていられるように頑張りたいです。

-ジョンがロバートを慕うように、高杉さんが慕っている先輩の俳優はいますか。

 周りには、たくさんすてきな先輩方がいるので、これからは積極的に分からないことを聞けたらいいなと思います。今ご一緒している勝村さんは、いつか自分が先輩になったときに、後輩にこんなふうにできたらいいなと思える先輩だなと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第三回「千客万来『一目千本』」天職”本作り“と巡り会った蔦重の喜び【大河ドラマコラム】

ドラマ2025年1月24日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。1月19日に放送された第三回「千客万来『一目千本』」では、主人公の“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)が、改めて吉原を救うため、入銀本『一目千本』の出版に奔走する様子が描かれた。 … 続きを読む

島太星、北海道からミュージカル界の新星が誕生 「フランケンシュタイン」抜擢に「命懸けで挑みます」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年1月24日

 北海道を中心に活躍するボーイズグループ「NORD」のメンバーで、近年は数々のミュージカル作品にも出演している島太星。4月10日から上演されるミュージカル「フランケンシュタイン」ではアンリ・デュプレ/怪物役を加藤和樹とダブルキャストで務める … 続きを読む

【週末映画コラム】今時代劇が熱い 多くの人々を疫病から救った実在の町医者『雪の花 -ともに在りて-』/初めて武士階級として一揆を起こした男『室町無頼』

映画2025年1月24日

『雪の花 -ともに在りて-』(1月24日公開)  江戸時代末期、有効な治療法がなく多くの人の命を奪ってきた痘瘡(とうそう=天然痘)。福井藩の町医者・笠原良策(松坂桃李)は、痘瘡に有効な「種痘(予防接種)」という予防法が異国から伝わったことを … 続きを読む

杉田雷麟、平井亜門、森田想「ジャパニーズホラーが好きな方にめちゃくちゃ刺さるホラーが戻ってきたと思います」『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』【インタビュー】

映画2025年1月23日

 山中でのかくれんぼ中に、弟が行方不明になった過去を持つ兒玉敬太(杉田雷麟)。ある日、彼のもとに母から弟がいなくなった瞬間が映った古いビデオテープが届く。霊感を持つ同居人の司(平井亜門)はそのテープにまがまがしさを感じて深入りしないよう助言 … 続きを読む

岡本圭人がギリシャ悲劇の最高峰に挑む思い「自分がクレオンとして前回とは違う旅路へ導くことができたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年1月23日

 2018年のアメリカ演劇学校への留学後、近年は舞台でめざましい活躍を見せており、2024年に第五十九回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した岡本圭人。その岡本が、2025年2月21日から上演する舞台「オイディプス王」に出演する。古代ギリシャの三大 … 続きを読む

Willfriends

page top