「『転機になった作品』と一生言っているような気がします」吉沢亮(渋沢栄一)「吉沢さんが全身全霊で91歳の最期の瞬間まで演じ切ってくれた」黒崎博(チーフ演出)【「青天を衝け」インタビュー】

2021年12月26日 / 12:00

 NHKの大河ドラマ「青天を衝け」が12月26日、いよいよ最終回を迎える。激動の幕末から近代日本を駆け抜けた日本資本主義の父・渋沢栄一の物語がどのように幕を下ろすのか、別れを惜しみつつも、期待しながら待っている視聴者も多いに違いない。その放送を前に、主演の吉沢亮と最終回を担当した本作のチーフ演出・黒崎博氏が、この1年を振り返ってくれた。

渋沢栄一役の吉沢亮

-いよいよ最終回ですが、1年間この作品に関わる中で、主人公の渋沢栄一に対する思いはどんなふうに変わりましたか。

吉沢 撮影に入る前は、調べれば調べるほど、偉大な功績を残した話ばかりが出てきて、とんでもないスーパーヒーローを演じるんだな、という印象がありました。でも、実際に台本を頂き、現場で演じていくと、物語の主人公としての栄一にはなりますが、抜けている部分や失敗するところがすごく魅力的で、人間くさい男だな、という印象に変わってきました。

-なるほど。

吉沢 もちろん、この物語の主人公は渋沢栄一ですが、彼が91歳まで生きる中で、その瞬間、瞬間の主人公が、いろいろなところにたくさんいるんですよね。そういう人たちが成し遂げてきたことや、何かを失敗した瞬間、散っていく瞬間という時代の変化を、ずっとそばで見てきた人なんだなと。そういうところからいろいろなものをもらい、バトンを渡され、最後まで生き延び、つないでいった。そういう意味で、人に愛された人だったんだな、と強く感じました。僕も大好きでした。

黒崎 吉沢さんがおっしゃった「失敗だらけの人」というのは、すごく大事に作ろうと思っていた部分です。ただの成功者ではなく、失敗だらけの人だったからこそ、この物語の主人公足り得たのかなと。それを吉沢さんがストレートに演じてくれたおかげで、愛すべき栄一になりました。自分の中でも、いつの間にか史実上の渋沢栄一さんと吉沢さんが演じる栄一さんがないまぜになって、どっちが本当なのか全然分からない。でもそんなことはどうでもよくなるぐらい、チャーミングな人になったのではないかと思っています。だから、そこをお客さんに愛していただけたのであれば、とてもうれしいです。

-吉沢さん自身も以前おっしゃっていましたが、「新一万円札の人」という渋沢栄一のイメージが、この番組を通じて大きく変わった視聴者も多いと思います。その点については、どう感じていますか。

吉沢 皆さんが「渋沢栄一といえば『青天を衝け』だよね」と言っていただければ、僕らとしては、それだけで満足です。ただ、僕は演じていて、このタイミングで新しい一万円札になるのにぴったりの人だな、と改めて感じたんですよね。

-というと?

吉沢 経済を発展させた人という意味ではもちろんですけど、「青天を衝け」は、1人の人間がどんな動きをして、どんな思いで働き、そこにお金がついてくるのか、という「人の生活」を描いている大河ドラマだと思ったんです。渋沢さんも、道徳的な視点や合理的な視点など、いろんな視点からお金と向き合ってきた人ですよね。だから、「お金との向き合い方を考える」という意味でも、今の時代の新しいお札にふさわしい人だなと。

-確かにおっしゃる通りですね。黒崎さんはいかがでしょうか。

黒崎 やや異なる角度からの話になりますが、渋沢栄一さんは「ゼロベースの人」だと思うんです。成し遂げたことを見ても、ゼロから立ち上げることをたくさんやっていますし、現代でいえば“ベンチャーの極み”みたいなことを、今も続く大企業や大事業に次々と押し上げていったわけですから。今のはやり言葉風にいえば、“SDGs”的なことを幾つもやっている。それが本当にすごいなと。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】8月の公開映画から

映画2026年9月4日

「ミニオンズ&モンスターズ」(8月7日公開)★★★ 映画のパロディーが満載  最強最悪のボスを求めて旅を続けるミニオンズがたどり着いたのは、1920年代のハリウッド。西部劇の撮影に乱入したことから映画スタジオに入り込み、人気スターと … 続きを読む

山口馬木也 柴田勝家の最期は「不思議な体験でした」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年8月30日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中だ。8月30日放 … 続きを読む

パク・ジョンミン「一人二役は想像以上に大変でした」韓国のヒットメーカーが「ガス人間」に続いて送り出すサスペンス・ミステリーで熱演『顔 -かお-』【インタビュー】

映画2026年8月28日

 日本でも話題を集めた『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)やエグゼクティブプロデューサー&脚本を務めたNetflix「ガス人間」も大ヒットした韓国のヒットメーカー、ヨン・サンホ。その最新監督作『顔 -かお-』が8月28日から全国公開 … 続きを読む

【映画コラム】「生き残る」とは何か『ラスト・サバイバー』『シェルター』が描く極限の人間ドラマ

映画2026年8月28日

『ラスト・サバイバー』(8月28日公開)  謎のパンデミックによって人類の大半が死滅し、生き残った者たちが奪い合い、殺し合う荒廃した世界。  パイロットのヒッグ(ジェイコブ・エロルディ)は、元軍人のバングリー(ジョシュ・ブローリン)と共同戦 … 続きを読む

安田章大「僕が演じられたのは、のんちゃんのおかげ」のん「安田さんとの出会いは衝撃でした」自閉スペクトラム症の兄とその妹役で初共演『平行と垂直』【インタビュー】

映画2026年8月28日

 自閉スペクトラム症(ASD)の大貴は、清掃の仕事に就き、周囲のサポートを受けながら自立した生活を送っている。一方、妹の希は、心理カウンセラーとして働きながら大貴を支えて暮らしていた。長い間、変わることなく続いてきた兄妹の日常は、希の結婚話 … 続きを読む

page top