渋沢栄一と慶喜の最後のシーンは「同志として、役を超えたところで吉沢亮くんとお芝居ができた気がします」草なぎ剛(徳川慶喜)【「青天を衝け」インタビュー】

2021年12月5日 / 20:50

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「青天を衝け」。12月に入り、いよいよ物語は最終盤を迎える。ここまで、主人公・渋沢栄一(吉沢亮)と共に物語を盛り上げてきたのが、江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜だ。将軍を退いた後は静かに隠居生活を送る慶喜だが、栄一との主従の絆は変わらず、クライマックスに向けて再び活躍の場が増えてくる。全編の撮影を終えた慶喜役の草なぎ剛が、吉沢との共演や1年以上に及ぶ撮影について振り返ってくれた。

徳川慶喜役の草なぎ剛

-クライマックスに向けて慶喜が再登場してきました。これからの見どころを教えてください。

 まず、将軍を退いた後の慶喜が描かれること自体、珍しいと思います。栄一は慶喜を慕って何度も会いに来てくれるんですが、その中でも見どころになるのは、一線を退いた後の2人の友情の中に隠れた男の哀愁というか、枯れていく感じです。その中に、栄一と共に過ごした日々の輝きを感じている。そういう役は、僕自身もやったことがありませんから。

-栄一にとって慶喜は特別な存在だったと思いますが、慶喜にとっての栄一とは?

 年も二つぐらいしか変わらない同世代なので、違う場所で育っていても、「運命共同体」みたいな思いを持っているんですよね。そばになくてはならない人というか、人生を全うする上で、なくてはならない相手だったんだろうなと。

-晩年になってからの栄一との場面では、どんなことを感じましたか。

 やっぱり、長く一緒に撮影しているので、2人の空気感が出来上がっているんですよね。これが大河ドラマの醍醐味(だいごみ)なんだなと。僕のお気に入りの家臣たちは、途中で命を落とす人も多かったんですけど、共に生き残って同じ時代を歩いてきた栄一との間には、言葉を交わさずとも出来上がっている2人の空気感がある。それがうれしかったです。

-吉沢さんが草なぎさんについて「小学生のときからいろんな作品で見てきた大スターなので、栄一が慶喜を尊敬する気持ちと、僕が草なぎさんを尊敬する気持ちがリンクしている部分があるかも」とおっしゃっていました。逆に草なぎさんは吉沢さんをどんなふうに見ていましたか。

 亮くんがいろんなところで褒めてくれるので、本当にありがたい限りです。僕の方が長く生きているので、一応、先輩ではあるんですけど、役になるとそういうことは全く関係ありません。栄一を演じるときの亮くんの真っすぐなまなざしが本当に素晴らしくて、栄一役に懸ける思いや、いろんなものが伝わってくる。それに僕も感化されて、余計なことを考えず、すごくピュアなお芝居をすることができました。

-吉沢さんとのお芝居について、もう少し詳しく教えてください。

 栄一役はせりふの量も膨大ですし、すごく大変だったと思うんです。僕なんか、たまに出てくるぐらいであたふたしていたのに、毎回あんなにしゃべって。きっと1年間、台本を手放さずにやっていたんでしょう。そういう彼の努力や本番での瞬発力を目の当たりにすると、ものすごく刺激を受けました。「お芝居にはもっと可能性があるんだな」と思わされましたし、「僕ももう一度頑張る」という気持ちにもなりました。それも全て亮くんのおかげです。

-いよいよ終盤ですが、2人が最後に対面するシーンを撮影したときの感想を聞かせてください。吉沢さんは「この作品のテーマを語っている場面で、グッとくる」とおっしゃっていましたが。

 感慨深いものがありました。自分の中で、静かにこみ上げてくるというか。役を通り越して亮くんを見ていた感じで、同志として、役を超えたところで亮くんとお芝居ができたような気がします。1年間、お互いに楽しみながら演じてきたことをねぎらうような感じもありましたし。今の時代や世の中をどこか代弁するような、人間の核心を突いたようなことを語る慶喜のせりふもすごく印象的でした。

-それは楽しみです。ところで、撮影や役を離れたところで、吉沢さんと話をする機会はあったのでしょうか。

 「おはよう」のあいさつくらいで、他はほとんど話をしていません。本当はもっと話をしたかったんですけど、亮くんは膨大なせりふの練習に忙しそうだったので、邪魔したら悪いと思って。でも、直接言葉を交わさずとも、2人の間で会話が成り立っていたような気がします。

 
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